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閑話1 フロイド

俺の名前はフロイド・クレイベルク。


生まれはアイルランドの片田舎に住む小さな貿易商の家柄だ。

海賊だったご先祖様が貿易商に転身してそれが大当たり。

騎士爵位を時の陛下に賜り辺境の片田舎を拝領され現在では地元ではそれなりの商家だ。


俺は毎日を自堕落に過ごし、やりたくもない家業を任され辟易としていた。


そんなある日、俺の運命は突然変わった。


昼寝から覚めた俺の目の前には突如白い空間が広がっていた。何もない空間、何もない場所で何分、何時間、或いは何日過ごしたのかも分からない。しかし不思議と空腹感や眠気などは感じない。これは夢の中なのだろうか…そんな考えが頭に過るが、そんな事ある訳がない。自分の頬をつねり仄かに感じる痛みが現実なのだ、と示す。


何か行動を起こすべきだ。そう奮起し、立ち上がると先程まで視線を向けていた方向に変化が起きた。


木製の何の変哲もない舵輪と一枚の羊皮紙がそこに落ちていた。


舵輪を握ると、俺は自分が何をすべきか直接脳に刷り込まれたかのような激痛と共に成すべき事を知る。


気が付くと俺は海を漂う船の上に居た。


そのまま気絶も出来ず悶絶しながらも羊皮紙に視線を通す。


目が霞み涙が滲んでよく見えないがそこには良く知る人物の名が書かれていた。


アレイン・クレイベルク。


俺のご先祖様の名だ。


海賊を辞め貿易商をして富を築いた男。


今の自分があるのは彼のお陰なのだと親から言われ続けて育った、その名は家族や親しい友人の次に頭に刷り込まれている。


声を出して先祖の名を呼ぶ。


光が満ち、視界を焼く。


目を開くと神経質そうな三白眼の海賊服を着た男が立っていた。


屋敷に飾られた肖像画より若く、その眼光は凄まじい。


ギラギラと燃え、まるで獣のようだった。


先祖…アレインは俺に傅くと命令をしろと言ってくる。



そして俺の中に眠る海賊の血が目覚める。


俺の野望が始まった。


大海原を漂う船群。


その各々の船には大海賊達が乗り込んでいた。


ジョン・ラカム、

メアリー・リード、

アン・ボニー、

スティード・ボネット、

チャールズ・ヴェイン。


全員俺の英雄だ。そして一際大きな船には俺の先祖、アレインを船長とした約五百人もの軍が完成していた。


今日が初戦だ。俺は生き残り先祖の成し得なかった大海賊を率いる海賊…七海の覇者になる!


意気軒昂、士気は上々。皆俺の夢を叶えるためと頷いてくれた。


しかし、悪魔は突然舞い降りてきた。日本の侍衣装に身を包んだ一人の少女。


その少女が弾丸のように船へと飛び移りあっという間に俺は捕まった。


戦争のいざこざで先祖は倒れた…おれの心の柱は根本から折られた。


そして俺は侍少女に捕縛され、あっという間にその主の元へ献上された。


その問いはシンプルだった。従うか、出ていくか。


俺は生きる事への執着を見せた。


それから数日、俺は馬番としてこの城で働いている。


新人も何人か来ておりその教育係として教えることもある。


田舎に居た頃の無気力感も失くなり親父やお袋が今の俺をみたら腹抱えて笑うだろうな…


だが、遣り甲斐はある。


俺はここから一歩一歩上がって見せる!



12時にもう一話更新します

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