二十五話
中は何かの魔法が施されているのか、とても広く感じる。
あちこちの棚には在庫だろうか、沢山の商品が積まれているが綺麗に整頓されていた。
「これはこれは、ナグモ様!ソウウン様も態々お越しいただき有り難うございます!」
出迎えたのは銀髪の若い女性 エマ・ヘンドリクセンその人であった。
「やぁ、エマさん!商館…というより店舗になってしまったけど開店祝いに来店したよ!とても素敵な店だな。」
「有り難うございます!これもナグモ様のお陰でございますよ!ささっ、奥へどうぞ!」
「ありがとう。さっ、ソウウン行こうか?」
「えぇ。腕を組んだ方がいいのかしら?」
「先導しよう、お嬢様。」
と、おちゃらけながら二人で先を進むエマの後に続いて奥へ進む。
奥には控えめな装飾の施された応接室があった。
ソファに腰掛けると身体がほどよく沈み、リラックスして話せる様なきちんと考えられた設計となっている。
ノックの音が聞こえエマが応えると紅茶を持った茶髪の若い女の子が入ってくる。
エマより若い。
ソウウンと同じ年頃(14才ほど)だろうか?
俺と目が合うとアワアワしながら紅茶を猫足のガラステーブルの上に置こうとして何もないところで足を掬われ躓いた。
危ない!
俺はソウウンを護るように背で庇った。
お茶が俺に全部掛かる。
・・・
「熱っちゃッ!!」
「主殿…!」
熱い…
と思ったのは最初だけでそこまで熱くない。
急に感覚が変わるってどういうこと?まぁいいや。
「すみませんすみません!」
「こら、アンナ!お客様になんて事を…!申し訳ございませんナグモ様、此方で責任を持って処罰を…」
「いや、ビックリしただけだ。アンナちゃんもそこまで怒ってないから謝らなくていいよ?それより俺用の服とかあるか?流石に着替えたいんだが…」
「勿論ですとも!少々お待ちを…此方が目録となります。」
・着物 色選択▼
・洋服 シャツ ジーンズ 柄選択▼
・パンク
・ロック
・スーツ
・水着
等々色々あったが、無難にシャツとジーンズを選択した。
柄有り無しがあるが、早く着替えたいので一番上のやつを選ぶ。
ピンクのシャツにアイアムキングと書かれている。
下は白いジーンズだ。
す、凄いダサい…まぁいいや。
「着替えるところは何処かあるか?」
「アンナ、案内なさい。」
「はひぃ~!こ、こっちでしゅ!」
アンナちゃんに着いていくとエマのプライベートスペース…私室だろうか?
部屋中に女性物の下着や服が散乱した場所に案内される。
ここって入っちゃいけない所なのでは?
とりあえず着替えを始めようと服を脱ごうと…
したらアンナちゃんがじっと此方を見つめている。
手のひらで覆っているが指の隙間から此方を覗いて…
ま、まぁ、良いか。
マルも似たような事をしていたが、別に見られて困るものじゃないし。
さっさと着替えてからアンナちゃんに戻ろう、と伝えるとその表情は真っ赤だ。
お年頃だろうか…
まぁ十才も離れてるからそこまで気にすることじゃないな。
俺はその気はないし。




