二十三話
腹が減ったな。
菓子パンを購入、窓から見える生えたピラミッドを見ながら、モソモソ食べてショップを閲覧…色々解放されているものがあるな…
あ、これ便利そうだな。
自動召喚器 GP25000
ちょいと高いが設置しちゃえば延々と召喚獣を出してくれる便利なやつだ。しかも自動メンテ付きで不壊属性も付いてる。
こりゃ良い、買います。
昇王戦で入った賞金もあるし、二個買った。
広場に設置すると早速稼働し始める。
ん?なるほどな。
何を召喚するのか選ぶことが出来るし、ランダム召喚も可能な様だ。
あ、そういや商人エマから貰ったUR確定チケットどうしようかな?
ソウウンは使っていいって言ってたけど。
召喚器見て思い出したわ。
二回目の昇王戦が終わってガチャ台が何処でも出せるようになってすごい便利だ。
うおー、ガチャ台見てたら抑えられねえ!
引くしかないな!
【UR以上確定従者ガチャチケット】を引きますか?
はい/いいえ
勿論、はい一択だ。
へぇ、確定だと紫から始まるんだ!
紫、赤、銀…
銀で止まる。
そういえばこれ何のピックアップだ?
マイナー武将?
特に何も書いてないか…誰が出るんだろうな。
何処からか聞こえる、
殺せ…殺せ…という怨嗟の声。
燃え盛る炎、宗教服と兵装に身を包んだ者達。
そして磔にされた金髪、碧眼の美しい女性。
下には枝や燃え種が置かれていた。ローブを纏った男が松明を持ち周りの者は油を撒いている。
火が放たれた…その時…!
その女性と目が合う。
瞬間、周囲を荒々しい業雷が響き渡った。
そして目の前には、白い鎧に身を包んだ先程の女性が、顔半分を痛々しく火傷した姿で俺の足元に来て…跪き手を組み祈っていた。
「私はジャンヌ・ダルク。君を護るため馳せ参じた。神の加護を…!」
その姿に思わず息を飲む…!
神聖というか何と形容して良いのか分からないオーラを感じる。
これが本物のーー
「せ…じょ…」
驚きすぎて声が出ない。
息が詰まる。
こんな形で対面するとは思ってなかった。
運営?が居るのか知らないが俺にはマイナー武将なんて用意しといて、確定ガチャでこんな素晴らしい偉人を出すとはなんとけしからん…
いいぞ!もっとやれ!!
聖女 ジャンヌ・ダルク
フランスの英雄であり魔女と呼ばれこの世を去った世界でとても有名な女傑だ…!
「御屋形様~!凄い音がしましたが大丈夫ですか?…この方は?」
驚いていたらまるでコンビニにやってくるかのような気軽さでマルがやって来た。
愛いやつよ、ほんとに。
「私はジャンヌ・ダルク。神の導きにて彼を護るためにやって来たの。」
「おお!同じ召喚器から生まれた新しい家族ですね!宜しくお願いします、じあんぬ殿!わたくしはランマル…マルとお呼び下さい!」
「ふふ、家族か…いい響きだ。うん、私は貴方の家族になりたい。宜しくマル。それと私はじあんぬじゃなくてジャンヌだよ。」
マルさんコミュ力高過ぎませんかねえ?
何か見ててソワソワしながら逆に冷静になったよ。
「おほん、改めて宜しくジャンヌ。後で君の歓迎会をするから楽しんでほしい。俺の名前はシゴウだ、頼りにさせて貰う!」
「宜しくね、シゴウ。私は君とも家族になりたい!」
「あぁ、マルの他にも何人か従者は居るんだ。今日は城の中をマルに案内して貰ってくれ。今夜か明日、ジャンヌと新しく仲間になった者達の歓迎会を行う。その時ジャンヌを改めて紹介しよう。マル、頼めるか?」
「ありがとう!楽しみにしているよ。」
「わたくしにお任せ下さい!ではじあんぬ殿行きましょう。」
「だからジャンヌだってば!」
マルはジャンヌの手を引き本城の方へと歩きだした。




