二話
カプセルを開けると中には黄色い一枚の紙が入っていた。
〈SR〉森蘭丸(女体化)
ん?スーパーレアで森蘭丸で女体化?
まるで意味が分からんが、理解出来ない内に紙は中空へと浮かび上がり、光の粒子となって消えた。
法螺貝の音が突然響くと甲冑を身に纏ったポニテ女子が俺の目の前に現れる。
「召喚に応じ顕現しました。わたくしは森蘭丸、又の名を森成利。御屋形様、どうぞ良しなに…!」
俺の前に跪く甲冑ポニテ美少女。
森蘭丸…確か信長のお付き…確か小姓だったか…の名前だよな。
全然マイナーな気がしないんだが…
本能寺の変で亡くなったと習った記憶がある。
「オヤカタ様…?えっと何かの勘違いじゃ?俺は普通の会社員で人に敬われる様な存在じゃ…」
「いえ、その召喚器を使いわたくしを呼んだのは他ならぬ貴方様なのです。ですからわたくしは貴方様を御屋形様とお呼びし、粉骨砕身を持ってその命に従いましょう。」
これドッキリとかじゃないよな?
蘭丸を名乗る美少女は俺を真剣に見つめており、照れ臭くなり周囲を見渡してカメラを探したけど相変わらずがらんとした空間のみが広がっているだけだった。
「…分からんがとりあえず置いとこう。ランマルちゃんだったか?君は俺に何をして欲しいんだ?」
「ラン、もしくはマルで構いませんよ、御屋形様。そうですね…わたくしは御屋形様を真なる王へ導くためにこうして恥を偲びつつもこうして黄泉路より舞い戻りました。上総介様には申し訳ありませんが、今の主は御屋形様なのです!」
上総介って信長の事か?
なんか聞いたことがあるけど、歴史の成績はあまり良い方ではなかったのが悔やまれる。
「ランマルちゃ…マル…と呼ばせてもらうけど、君の言いたいことは分かった。けど真なる王とは何なんだ?もしかして俺が国を創って治めるってこと?中高大と成績不振で三流会社の営業の俺が?…ハハハ、面白いこと言うな、君は。」
「何も面白いことなど言っては居りませんよ。御屋形様、貴方様は王足る器であり、召喚器に選ばれし御方。それこそが何よりの証拠なのです。しかし未だ貴方様とは仮契約の身…今すぐにでも本契約を果たしたいと思います。如何でしょうか?」
召喚器…先程も出てきたが、もしかしてガシャポンの事か?
そんな御大層な名前で呼ばれる物なのだろうか…だが、ランマ…マルは真っ直ぐに俺を見つめ、そして真剣な瞳で俺を見ている。
冗談とか騙そうとしている雰囲気はない。
「俺は構わないけど…」
なんか怪しいセールスに遭っているような境遇だが…今のところ現状を把握するにはマルの協力が必要だ。背に腹は変えられないと俺は少し考え頷いた。