十一話
俺は一つ疑問を持った。ハルの能力はどの程度なのか?
紫色…UR相当の力を持つハルはどの程度戦えるのだろうか?と。
「それでハル、君の力を見せてくれないか?」
「……良いけど。」
何処か自信無さげに答えるハルに俺は頷くとスマホを操作してミッションを受けるか。
GPで購入した腕時計(襲撃時間を教えてくれる機能付き)を見るとまだ襲撃の時間までは時間がある。
ホワイトキャット五体の依頼を受ける。
可愛いふりしてメチャクチャ狡猾なコイツら相手にハルはどう戦うのだろうか?
「じゃあハルをメインに陣形を組むか。ハルの実力を確認するからマルと召喚獣は待機な?」
「承知しました!皆、動いてはダメですよ?」
ワンワンガウガウヒヒーンと召喚獣達が返すとハルの一歩後ろに下がった。
こいつらどんどん頭良くなっていくな。ランマル幼稚園恐るべし…!
「主…あたしの能力は周囲に影響を及ぼすんだ…一人協力者が欲しい。あたし単体の戦闘力はかなり低い…」
「そうなのか。それじゃ俺がーー」
「御屋形様!その任、ぜひわたくしに!!」
目がキラキラしてハイテンションモードのマルがハルに飛び付く。
対してうざったそうな目を俺に向けてくるハルに俺は首を降った。
「ハル。頼めるか?」
「……分かった…」
ハルの手から炎が現れる。
マルに触れるとその炎はマルを包み込み消えた。
「おぉ、これは…!行きますよ!」
マルが飛び出す。
いつもより早く駆け出したマルは二体に刀を薙ぐと横に飛び、散っていたホワイトキャットを追いかけ始める。
すぐに追い付くと刀を突き刺し、一撃で仕留めた。
次の獲物へ駆け出すマル。
速い!
強い!
「あたしの能力は味方を強化し、敵を弱体化させる。例えばこんな風に…」
ハルが炎をデコピンの要領で飛ばす。
マルの追っていたホワイトキャットが急に鈍化し、マルが驚いた表情をしているが直ぐに気を取り直して最後の一体を切り伏せた。
「ははは…!ハル、凄いな君の能力は!最高だ!」
ゲーム用語で言うバフデバフを扱う専門職だ。
チームに一人は欲しい人材だ。
俺は無意識のうちにハルの頭を撫でた。
「はえっ?!あ、あ、あの…主…頭…撫で…」
「ん?あぁ、すまん。嫌だったか?すぐ止めーー」
「いい!もうちょっと…その…まま…」
手を退けようとするとハルに掴まれる。
まぁ、本人が良いならそれで良いのだが。
「あぁ~!ズルいズルい!御屋形様、わたくしも!マルにもやって欲しいのですッ!」
嫉妬したのかマルが俺の左手に抱き着いてくる。
しゃあない、撫でてやるか。
にへへ~、とだらしない顔をして喜ぶマルにおしまいだ、と軽くデコピンすると俺はハルに向き直す。
尚、極楽なマルは一瞬チラ見すると絶望の表情を浮かべていた。
その反応が可愛すぎた、けど今はハルと話したいんだ。
「これからハルの歓迎会だ。皆好きに飲み食いして良い。ハル、これから宜しく頼むぞ?」
「え?あ…うん。よろ…しく…」
その後ハルとマルは自分のペースで楽しみだした。