私には…。俺には…。“絶対!!!!” vol.003 「無理でしょ。これで何回目ですか、課長!!!」
そんな瞳美を見て春香、
「ん…???…ててててって~。おいこら。私をどうして、そんな目で見る???」
「な~んてね。冗談よ、冗談。さっ、飲もう~。…って~お代わり、まだ来てないし。すいませ~ん。」
その声にようやく気付く店員。
「…ったく~。そんな目でいきなり見つめられたら、こっちがドキっとするじゃない…。」
春香。
「ははは…。ごめん、ごめん。」
瞳美。
「…私だって…。何とか手伝ってあげたいけどさ…。私の方が、あんたより数年遅く…。しかも、今の会社…まだ入社して一年経ってないんだから…。」
「…だよね~。」
新しく運ばれてきたジョッキを持ちながら…。
「この就職難の中で…。とほほほ…。どうすりゃ良いのよ…。」
「ふん…。こりゃ、こりゃ…。」
「もう~、飲むしかない。食うしかない…。はぁ……。どうしよ…。」
「気持ちは…分かる。けど…。瞳美~~???」
「…ん…???」
「色気なし。」
「ぶ~~~っ。」
「ふ~~、やれやれ…。ど~しても…、ダメ…かっ!!!将史!!!」
企画課長、品川行男。
「はい。決めましたから。」
品川の顔を見ながら、
「考えは変わりません。止めても無理です。」
きっぱりと将史。
「桐生ちゃ~ん。そこを何とか曲げて…踏みとどまってくれると…、私ぁ…、助かるんだけどね~。」
机の上に置かれた退職願を見ながら…品川。
「無理でしょ。これで何回目っすか、課長!!!」
「…んな事言ったって…、上が通してくれないんだから…。そりゃ…分かってるよ、発想も良くて、しっかりと売れると…私も思う。」
「何度目っすか、それ。正~直言って、やってられません。…だって、そうでしょうが~…。」
「わ~かった、わ~かった。お前と押し問答してたら…。全く、時間がなんぼあっても足りん。」
「失礼します。」
踵を返して、その場を離れ自分のデスクの下から鞄を取り出す将史。
隣の藤井翔太、
「おい、将史!!!」
「おぅ。悪ぃ、先、帰るわ。」
「マジで…、辞めんのかよ…。え~~!!!」