私には…。俺には…。“絶対!!!!” vol.002 「今日、飲むよ~。付き合って。」
街中、アチコチ歩き回り…。けれども、何をどう見てるのか、全く頭の中には入って来ない。
「んもう――――――っ、あったま来る~~。」
そのとき、会社から飛び出した時に留守電して置いた相手からスマホに着電。
そして瞳美、
「あ、春香~~、今日、飲むよ~。付き合って。」
電話の向こう、山本春香。
「え…、ええ、別に…いいけど…???…な…何かあったの…瞳美…???」
「え――――――っ!!!リストラ―――――っ!!!!」
春香。
「声、大きい…。」
ムスッとした顔で瞳美。
「…ったく、これからどうすんのよ、私…。もう…、泣きたくなっちゃう。……。」
いきなり泣きながら…瞳美。
「…いや…。何が…どう…なって…、あんたが…リストラ…???え~~???」
ハンカチで鼻を押さえて、
「もう…。」
春香、
「私の話し…聞いてる…、瞳美…???」
「全く、訳分かんないし…。」
「…って…、理由くらいあるでしょ。いくらなんでも…。社員一人の生活掛かってるんだから~。」
チュウハイを飲みながら春香。
そして、こちらは、残ったビールを飲み切って、
「すいませ~ん。お代わりお願いしま~す。…結婚してないのは眞叶…お前だけだ。…だってさ~。ったく~。」
腕組みしながら瞳美。
「はい…???…結婚してないのは眞叶…、お前だけだ…。…って…、それって普通…パワハラじゃん。」
いきなり瞳美に言い放つ春香。
こうなると、一気に意気消沈して瞳美。
「あっ…、いや…。今のはちょい…誤解…産んじゃうよね~…。」
春香の前でちょっぴり気恥ずかしくなりながら…、舌を出して…。
「瞳美ちゃん…。分かってくれよ。瞳美ちゃん以外は、みんな…家庭持ってるんだよ~…。ってさ~。あ~ああ~。どうしよう…。」
空のジョッキの端を人差し指で撫でながら…。
「あっちゃ~。それ言われたら…、何も言えないじゃん。」
「うん、そうなの…。可哀想な眞叶瞳美に、愛の手を…。」
…と、膨れっ面をして、下を向いて、春香の顔を見る瞳美。