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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

包丁

 これはとある小学生の話......。

両親が外出して子どもが一人、家に残された。

その子供は自分の部屋でfpsをしていて、ナイフで敵をザクザク切って舐めプすることを楽しんだ。

イヤホンを装着してそれをひたすらして、飽きてきた頃のこと。

子供はゲーム内の音から少し意識を離した。

じーっと耳を澄ました子どもは、リビングの方から物音がしたんだ。

最初は換気扇の音だろうと気にせずいたけど、段々とfpsで負けて苛立ちが出るとその物音のせいだと考えたらしい。

子供は換気扇を消そうとしたが、リビングの換気扇は止まっていた。

他に物音を出しそうな物はなく、子供はゲームのしすぎによる耳鳴りだと自分を納得させた。


 しかし、自室に戻ると再び物音がする。

今度はイヤホンを外していたので、先程よりもクリアに聞こえた。

この時、子供はその音が換気扇のカタカタしたものではなく、ザクザクと木を断ち切るような音だったことに気づいた。

確実に誰かいると、子供は部屋にあった折り畳み傘を武器代わりにしてもう一度リビングへ向かった。

リビングに入ると、やはり何も変化はない。

いやあるとすれば、まな板があったごとぐらいだ。

どこかに犯人がいると怪しむも、見回しても居場所がわからなかった。


 子供はリビングを去り、扉越しに再び物音が響くのを待つ。

案の定、ザクザクとした音が鳴り始めた。

子供は今度こそと、慎重に扉を開ける。

しかし、それでもやはりリビングに変化は起きなかった。

いや、一つあった。

まな板の上には包丁が刺さり、刃に血が垂れていた。

子供は不審に思ったものの、それに触れるのを踏みとどまった。

生唾を飲み、子供はリビングをさろうと背を向けた。


 すると今度は背後でザクザクと切断する音がなる。

子供はそれに耳を傾けると、音は木ではなく骨を切断しているのではないかと改める。

振り返ったら確実に何かいる。

子供は確信しながらもそれをためらった。

しかし、音が段々と近づいてささやける距離になって咄嗟に振り返った。

するとそこには誰もいなかった。

だが、まな板の上には肉のこびりついた骨が置かれていた。


 恐ろしくなった子供は部屋へ帰り、ベッドに隠れる。

早く母と父が帰ることを願って数分、ようやく玄関のベルが鳴る。

母たちは鍵を忘れたから開けてほしいと叫ぶ。

子供は部屋を出たくない気持ちでいっぱいだが、このままでは埒が開かないと勇気を振り絞って走った。

玄関につき、子供が呼吸を整えていると母たちはまた催促する。

今度はベルではなく、ドンドンと扉を叩く音だ。

軽いものではなく打ち壊すような力強いものだった。

子供が顔を上げると、扉のガラス越しに人影が映った。

人影は、ガンガンと手に持つ何かでガラスを強く突く。

その異様な光景に目を疑った子供は、ガラスが砕けるまでその場に立ち尽くした。

穴の空いた場所からは、ニタリと笑みを浮かべる黒い顔と血の垂れる包丁だった。

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