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鍛冶師奮刀記〜鍛冶師の俺は妹を守る為、底辺で落ちぶれた名家の名誉を取り戻しながら、天下とって成り上がる〜  作者: 月見里さん
第一章「四季家初陣」

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第10話「研ぎ」


 入学式の最中、四季透は月見高校で唯一の工房で、刀の最終チェックをしていた。



 薄暗い鍛冶場に、白色の電灯一個が照らす中、桜色の豪華絢爛な鞘から刀身を抜く。

 ジジジと、鞘と刀が擦れ合う僅かな音から覗くのは、綺麗な傷一つない銀色に輝く鋭い光である。


「そこそこにはなったけど……」


 小声で、呟きながら曲がりがないか。

 歪みはないか。視認していく。


 見た感じ、綻びもないまっさらな状態ではある。

 ただ、刀というのはいくら外側を綺麗にしても内側がボロボロな時がまあまあある。

 研ぎもして、手入れもしたが、いざ実戦となった時、鍔迫り合いで折れるなんてこともよくある。


 鍛錬が足りなければ折れやすいし、玉鋼との配合が上手くできなければ簡単に曲がってしまう。

 そんなめんどくさい彼女たちは、綺麗な明暗を描いていた。


「後は、試し次第かな。異常もなさそうだし、誰に渡すべきか考えておこう」


 刀身を鞘へと納め、誰が持つのに相応しいか考える。


「別に、フィーリングが合ってくれれば誰でもいいんだけど、叶も夢も望へ真っ先に譲るだろうし」


 四季叶も四季夢も、末っ子でもあり養子でもある望へ甘い。なんでも譲る。

 大好きなおやつであろうと、大好物であろうと、好きなゲームだろうと。

 望が望んでいなくとも譲ってしまう。


 たった一人の妹分でもあり、家族へ馴染みにくい養子だからこそ、居場所ができるように考えた結果がその譲りの精神だ。


「そうなると、望は拒否するから刀の居場所が無くなるていうね」


 何でもかんでも、譲られ続けると居場所のできた望は拒絶反応を示すようになる。

 甘やかさないでという突っぱねよりも、自分の為に不利益にならないで欲しいという姉思いから。

 自分は、居場所もある。

 自分は、好きな物を与えられなくとも大丈夫だと。

 だから、姉にはわざわざ譲るような真似をして欲しくないと。


 それゆえの修行をサボったり、刀に興味がない素振りの原因となっているわけだろう。


「まぁ、流石に物ならともかく、修行時間まで譲られ始めたら嫌になるよな」


 自分は養子だから、血は通っていない。

 だからこそ、血筋のある人へ修行や鍛錬の時間は譲るべきだと考えている中で、無邪気に押し付けられると嫌にもなる。

 それで四季家の評判に関わるのは嫌だし、衰退に繋がるようになってしまうのはもっと嫌だ。

 だからこそ、姉には打ち込んで欲しい。

 姉の全てを奪いたくない。


「そんなこと思っていそうだからな〜望のやつ」


 別に、叶も夢も、鍛錬を少し休んだ程度で(なま)るような剣筋はしていない。

 むしろ、逆だろう。


「休めば休んだ時間の倍、鍛錬するから休ませたくないんだよな」


 叶も、夢もピンキリなのだ。

 一時間休めば二時間鍛錬する。

 睡眠時間をとれば、その倍の鍛錬をする。

 できなければ、より負荷の大きいものを選んでいく。

 そうやって、常に追い込みがちな人間だからこそ、なるべく疲れさせて無理やり休ませる方法になっている。

 幼児のような扱いではあるが、そうしないといつまでも働き続けるブラック社会人になってしまう。


「休むのも修行の一環だと言ってもあいつら聞かないし、体を壊したことないのが唯一の救いだけど」


 それもいつまで続くかは分からない。

 いつ選手生命が絶たれるかは、誰にも分からない。

 競技中に、アキレス腱断裂した選手だっている。試合中に、骨折した者だっている。プロ野球選手だって、登板できなくなるほどの肩になって引退することだってある。

 頑丈は取り柄でもあり、セーフティラインが曖昧になる危険な特性なのだ。


「とりあえず、誰に渡すか考えながら作刀書仕上げるか……」


 鍛冶場内に設けられた休憩所。

 四畳程度の和室へ入っていく。面倒くさい書類へ筆を走らせながら、所持者の欄を空けながら。

 鍛冶場に漂う鉄が焼けた匂いを嗅ぎながら。

 着実に、戦いへ向け準備は進んでいた。

こちらではお久しぶりですね。

読んでいただきありがとうございます。

しばらく更新できず申し訳ございません。

好き勝手書いている弊害と言いましょうか。

単純に、計画力のなさと言いましょうか。


ようやく、曖昧だった物が定まったので知識をかき集めて書いています。

もし、訂正するべき点があれば教えていただけると嬉しいです。

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