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魔女とバイクと暇人と  作者: 林道大好き侍
1/1

薪と畑と根菜と

「頭が痛い...」

目が覚め、痛む頭を押さえつつ起き上がる。

噎せ返る様な獣臭、辺りは薄暗く、寝起きで霞む眼を堪え周りを見る。

藁が敷かれ斜向かいに馬がこちらを見てぶるぶる言っている。

「馬小屋かよ...」

そう言ってもう一度寝転ぶ。

瞳を閉じ、さっき見ていた夢を思い出す。

オフロードバイク部を大学で作る夢だ。

きっと楽しいだろう。

そう思い寝るのを少し待つ。

....


もう一度体を起こし、周りを伺う。

「馬...臭ぇし...おかしいよな?....夢か?」

一人ごちるもおかしい事にだんだんと頭が冴えてくる。


恰好を見るとブルーのド派手なモトクロスジャージ。

胸部に首、肘膝にもプロテクターが付いている。


そこで思い出す。


崖から飛び出したことを。



俺は某林道を快速で走っていた筈だ。

そこで石にフロントを取られ崖側にぶっ飛んだところまで覚えている。


そこで最後に胸が苦しかった事を思い出し胸を触る。

胸のブロテクターは折れ曲がり砕けていた。


動悸が怪しくなってくる。

辺りを見回すとバックパックも置かれており中を見る。

ぐしゃぐしゃに折れ曲がった椅子に穴が開いているガスバーナー。

それもそうだ尾根沿いを爆走してたんだ、結構滑落しただろう。

ブーツもプロテクターも大きな傷が沢山ついている。

段々と目が慣れて行きヘルメットも見つけた。


ヘルメットは傷が思いっきり付きバイザーも無くなっていた。

「高ったのに...いやいや、死んでるだろ俺」

砕けたゴーグルを外しため息をつく。


鞄から煙草を取り出し火を付ける。

すると馬が嘶き驚いた。

「ごめん、ごめん、外出るから落ち着いてくれ」

そう言って外にフラフラと出る。


外にはハンドルが少し曲がったオフロードバイクが寝ていた。

「おいおいガソリン漏れるって」

そう言いつつ起こしスタンドを立てる。

壊れている所はナックルガード、ミラーは両方無くなっていた。

あとサイドバッグとシートバッグも無くなっている。

歪んでいたハンドルは蹴飛ばすと治った。


燃料タンクの蓋を開け中を確認する。

「あれ? 多い気がする,,,」

中身は無事な様で満タン入っていた。

空がしら..」

目が覚め、痛む頭を押さえつつ起き上がる。

噎せ返る様な獣臭、辺りは薄暗く、寝起きで霞む眼を堪え周りを見る。

藁が敷かれ斜向かいに馬がこちらを見てぶるぶる言っている。

「馬小屋かよ...」

そう言ってもう一度寝転ぶ。

瞳を閉じ、さっき見ていた夢を思い出す。

オフロードバイク部を大学で作る夢だ。

きっと楽しいだろう。

そう思い寝るのを少し待つ。

....


もう一度体を起こし、周りを伺う。

「馬...臭ぇし...おかしいよな?....夢か?」

一人ごちるもおかしい事にだんだんと頭が冴えてくる。


恰好を見るとブルーのド派手なモトクロスジャージ。

胸部に首、肘膝にもプロテクターが付いている。


そこで思い出す。


崖から飛び出したことを。



俺は某林道を快速で走っていた筈だ。

そこで石にフロントを取られ崖側にぶっ飛んだところまで覚えている。


そこで最後に胸が苦しかった事を思い出し胸を触る。

胸のブロテクターは折れ曲がり砕けていた。


動悸が怪しくなってくる。

辺りを見回すとバックパックも置かれており中を見る。

ぐしゃぐしゃに折れ曲がった椅子に穴が開いているガスバーナー。

それもそうだ尾根沿いを爆走してたんだ、結構滑落しただろう。

ブーツもプロテクターも大きな傷が沢山ついている。

段々と目が慣れて行きヘルメットも見つけた。


ヘルメットは傷が思いっきり付きバイザーも無くなっていた。

「高ったのに...いやいや、死んでるだろ俺」

砕けたゴーグルを外しため息をつく。


鞄から煙草を取り出し火を付ける。

すると馬が嘶き驚いた。

「ごめん、ごめん、外出るから落ち着いてくれ」

そう言って外にフラフラと出る。


外にはハンドルが少し曲がったオフロードバイクが寝ていた。

「おいおいガソリン漏れるって」

そう言いつつ起こしスタンドを立てる。

壊れている所はナックルガード、ミラーとスマホ、

サイドバッグにシートバッグも無くなっている。

歪んでいたハンドルは蹴飛ばすと治った。


燃料タンクの蓋を開け中を確認する。

「あれ? 多い気がする,,,」

中身は無事な様で満タン入っていた。

エンジンが掛かるか鍵を捻りセルを押す。

キュルキュルと嫌がるので、揺すっているとエンジンに火が入る。

低く煩いエンジン音を響かせる。

「良かった壊れてなかった」

場所も分からない所で動けないのは怖かった。

すぐにエンジンを切る。


空が白み始めた時間を見ると朝なのだろうが、バイクの時計を見ると午後3時を指している。

考えない様にしていたが、馬小屋で起きた所を見ると、よっぽど汚い俺を家に入れたく無かったか、死体だと思って馬小屋に入れたか。

煙草を取り出そうと煙草を出し火を付ける。

馬小屋の隣のロッジから人が出るのを待つことにした。




それから暫く待っていると家の明かりが点き、起きたのが分かった。

吸っていた煙草を揉み消し鞄についている携帯灰皿に入れ扉をノックする。

「すみませーん、助けていただいた者なんですが」

そう言い少し待つと歩いて来る音が聞こえ扉が少し開く。

「いやぁ申し訳ない、こんな朝早くからすみませんね」

なるべく明るい声で話す。

何で救急車呼ばなかったとか家に入れなかったとかグッと堪える。

呼べない事情が有るんだろう、山奥で住んでるんだ真面な人じゃあるまい。


「すみませんねほんとに、ああ、お礼ですが、これだけしか持ってなくて」

扉の隙間から万札を二枚滑り込ませる。

「すみませんね、ヘヘッ、んじゃあ私はこれで」

そう言って踵を返し離れようとすると、喉に衝撃が走り後ろ向きに倒れる。

噎せ思いっきりせき込み苦しみを地面に叩きつける。

「ゲホッゲホッ! オエ! ジヌ゛!」

ネックガードの隙間を突いた一撃は結構重く痛かった。


片手を地面に付き開いた手でネックガードを外す。

そのネックガードを掴み思い切り俺は見ているで有ろう顔に向かって振り上げる。

「くたばれ!」

その一撃は堅い物を捉えたかと思うと手が弾き飛ばされた。


その時見えたのは若い女性、手には杖が有りゾッとするような目でこちらを見ていた。

「糞ったれ! 覚えとけ!」

そう言い俺はもう一度逃げる。

山の中と言ってもこっちはバイクだ、伊達に乗ってる訳がない。


ダッシュでバイクに飛び乗りエンジンをかける。

凄まじい音と共にアクセルターンを決め砂利や砂を女に掛けるように空転させ逃げた。


いや、逃げようとした。

木のフェンスの隣を通ろうとすると硬い物に体当たりをしてしまった。

フォークがフルボトムしリアが跳ね上がる。

俺はバイクに背負い投げをされバイクと硬い物にサンドイッチされ意識を失った。






そしてまた目が覚める。

次はしっかり覚えていた。

痛い気がする。

そう思いながら体を起こすとジャラジャラと音が鳴る。

首に金属の枷が付けられまた馬小屋に居た。

繋がっている先は太い大黒柱。

一応引っ張るもとれる気配すらない。


すると入口から誰かが覗く影が見えた。

流れるように土下座する。

「待ってください! 絶対此処の事は誰にも言いません! 銀行のカードの番号は××××! クレジットは××××! あと一応ツ〇ッターでどこ行くか言ってたんで殺したらバレますよ!」

そう言いつつ少し頭を上げ確認する。

するとそこには、相変わらずゾッとする目の女性が立っている。

思わず息を飲む。

別嬪だが顔に大きな火傷、あと目がヤバい、死んでいるって言う目を見たこと無かったがガチで死んでいる様に見える。

目の前にドサッと何かを落とす。

見ると斧だ。

デカい斧。

切れ味は悪そうな斧だが俺を殺すには十分だろう。

「待て待て待て! 落ち着け! 俺には家族が居るんだ!」

すると女性が指パッチンをする。

すると首の枷がごとりと落ちた。

「ヒッ! マジかよ!」

そう言って体を丸め馬小屋の端に逃げる。

ドキドキと見ていると女性が初めて声を出した。


「付いてこい」

ゾクリとする声、思わず息を飲む。

そして女性は目の前から居なくなった。

「は、...はぁ」

それに答える俺もバカだが、斧を拾い付いていく。


場所はバイクがひっくりかえったままだが、その少し隣に薪が積んでいる小屋根が有った。

「割れ」

「わ、分かりました」

そう言って俺は割られていない薪を割った。

錆びた斧は切れ味が悪く食い込ませた後何度も叩きつけて割った。

隣でいつの間にか出した椅子でこちらを見る彼女。

「いやぁ、えらい叩き込みがいが有る斧で良いですね」

疲れとストレスで変な京都風の嫌味がでた。

「ちょっと水でも」

そう言って馬小屋に戻り鞄からア〇エリアスを取り出し飲みながら戻り何本も割っていく。

戻ると彼女は居なくほっとしながら薪を割る。

すると段々と声も漏れ始める。

「この! ボケ! どこだ! 此処は! 帰せ! 俺を! あのアマ! 死ね!」

そう言って愚痴を言っているといつの間にか彼女がまた椅子に座りこちらを見ていた。

「いやぁ! 美しい! 別嬪! 最高! 楽しい!」

ブルーカラーの体力で無理やり進めていたがだんだんと手も上がらなくなり切れなくなってきた」

「疲れました! ちょっと休憩」


まだ切っていない丸太に腰掛け煙草を取り出す。

「煙草吸っていいですか?」

「ああ」

「ヘヘッじゃぁ遠慮なく」

そう言って煙草に火を付ける。

「....」

「.....」

「........」

「いやぁ! こんな山奥で住んでて大変ですねですが意外とハイテクでさっきの枷も指パッチンで」

そう言って俺も指を鳴らす。

「あんな枷でも使ってるって事は家の中も相当ハイテクなんですね」

立ち上がりバイクを見る。

「おお、意外と壊れてない...またハンドル歪んでるな」

そう言い蹴飛ばそうとするも蹴るのをやめ鞄を取りに行き鞄から工具を取り出す。

一度ハンドルを緩め、元の位置に戻し、次はオーバートルクで締める。

「ネジ穴馬鹿になりそうだ」

そう言いエンジンを掛ける。

少し嫌がるもすぐにエンジンが掛かった。

さっきあった見えない壁までバイクで近づき叩く。

硬い感触が有るもの音も鳴らない。

その壁に近づかない範囲でバイクに乗る。


フロントアップをして丸太を越えたりストッピーをしたり...

見られているのに少し浮かれウィリーからのストッピーをしてみる。

すこし彼女にこのままバイクで突っ込んで殺そうかとも思ったが見えない壁とか今朝の渾身の一撃を交わされた所を見ると、陰陽師とか八百万とかそっち系の凄い人なんだろうと思う。

まぁ俺は宗教一切信じずに生きていた一般ピーポーだ、だが正直わくわくする。

そしてバイクを止めまた薪割に戻る。

「よし、これ終わらせたら帰って良いですか? あ、ダメですね知ってます」

日が傾き影が伸びてきた頃だろうか、いつの間にか彼女は居なくなり、薪割もギリギリ終わった。

「キッツ....大ハンマーで切ってる感覚だったわ」


彼女が座っていた椅子に座り煙草に火を付ける。

ぼーっと空をみながら煙草を吸う。

「できればキャンプ場で見たかったなぁ」


そうして煙草を吸い終わり鞄の中から菓子パンを取り出そうとすると漁っていると彼女の声が聞こえた。

「飯だ、入れ」

そう言われ掴んでいた菓子パンを手放し鞄を締める。

「いやぁ申し訳ないですね、へへッ有難うございます」

中に入ると、女性の良い匂いと何かの水炊きがよそわれていた。

「ポトフですか、私好きなんですよ、いただきます」

そう言ってスプーンで掬い飲む。

不味い! 味が何もしない!

「いやぁ美味しいですね! 素材の味が生きています、素材由来の味を全て出し切ってますね」

素材の味しかしねぇよ! と言いたいがぐっと我慢し啜る。

「よし、有難うございました、 あっしが寝る所は....そうですね、女性の部屋で寝るってね、危ないですもんね、あっしは外でお休みさせて頂きますね ハイ」

毛布を渡され外に出る。


一応見えない壁を叩きに行き馬小屋に入る。

「ボロがボロボロってね、糞!」


そうして俺は藁を涙で濡らした。



また空が明るくなってきた。

暗くなってからすぐ寝たせいだろうか、明るくなるとすぐに目が覚める。

馬を見ると寝転んで寝ていた。

「良いよな...馬って...俺も鉄馬に乗ってんだ....もう乗れないかもしれないけどな」

そう言いつつ菓子パンを出して食べながら椅子に向かう。

自然の匂いを楽しみながらパンを食べ煙草を取り出そうとすると有る事に気が付く。

「減ってない....いやいや、気のせいか?」

携帯灰皿を開けると中は空っぽだった。

「....気色悪!...いやいや妖精さんだな、そう言う事にしておこう」

ぶつくさ一人で言っていると彼女がこちらを見ていた。

「お早うございます! 私、加賀爪 聡 と申します今まで名前言ってませんでしたね」

そう言いつつ煙草に火を付ける。

「ヴィーリアス・バリ・ヴェルエント」

「そうでしたか、外人、いや、お美しいお顔でして何処ですかねヨーロッパぽいお名前で」

「...」

「へへッ今日のお仕事はなんでございましょ」


すると彼女はまた指パッチンを行い遠くを見る。

「へぇ! 今日は畑仕事ですね、分かりやした」

馬小屋の隣の納屋に入り鍬を取り出す。

「何処まで....って分かりました、全部ですよね分かってやす」

鍬を振り上げ耕されて無かったところを耕していく。

昨日より広い所に出れたのでまた後で範囲を確認しよう。

暫く耕しているとバイク使ったら楽にならないか考える。

ダメだな、爪を押さえる人が要るし力仕事が出来なさそうな腕だ、手が綺麗だった。

バイクを任すかと思っても彼女が着ているのはスカートだ、ズボン履けと言っても聞いてくれないだろう。

馬用の爪も無かったしどうやっていつも耕してるんだろうな...ああ、魔法か。


ざっくざっくと耕し太陽が真上に来る頃だろうか、ある程度耕し終えた。

次は掘った土を砕く作業だ、バイクにエンジンを掛ける。

気分はダートトラッカーバイクでドリフトをしまくる。

土を掘り返しバラバラに砕いて行く。

するといつの間にか彼女がこちらを見ていた。

バイクを止めると彼女はまた言う。

「飯だ」

「いつもすみませんねぇ」

そう言いバイクを止め家に入る。

ポトフだ、元気が湧かない。

「美味しい、ほんとに美味しい涙も出てくる旨さ」

肉の一欠けらも入ってないところを見ると巷で噂のヴィーガンって言うやつだろうか俺としては全ての肉を寄越せと言いたいのだが...」

「肉食いたいですね....ああそう言えば」

自然な流れで鞄から塩胡椒(徳用)を取り出す。

「これをぱっぱとね少しねはいヴィーリアスさんにも」

そう言って塩胡椒を渡す。

「調味料入れない派ですか? いやぁね、他にもマヨネーズも有るんでねああ、未開封ですよ勿論」

俺の真似をして彼女も少しポトフに入れる。

そしてそれを掬い口に入れる。

それをじっと見つめる。

両目の睫毛は長く、鼻もスッと通っているが右鼻の横と下唇後耳に掛けて痛々しい火傷の後が有る。


見られている事に気が付いたのだろう、大きな目でこちらを見る、死んでいるけど。

「すみませんね、へへッそれは差し上げるんで好きに使ってください、後マヨネーズと、ポン酢、これだけで大概の物はその味に染まります」

そして気づく暗に不味いって言ってる事に。

失敗したと思っていると。

「分かった、試してみる」


ほっとした、あの杖でしばかれたら絶対痛いから本当にほっとした。

「じゃあね、食べ終わったんで行ってきますね、はい」

そう言って畑に戻った。


次することは畝を作る事だ。

これを作るか作らないかで若干変わる。


鍬で畝を固めているとまた彼女いや、ヴィーリアス、ヴィーと呼ぼうヴィーがこちらを見ていた。

「何を作っている?」

「畝ですね、水はけ用の溝ですよ土質が結構良さげなんでね有ったら少し楽なんでね」

そう言いながら少し手を止める。

「此処に何植えるんですか?」

そう言うとまた指パッチンをする。

ふわっと俺に向かって袋が飛んできた。

「これですか? 分かりました、何だろな、トマトが良いな、ナスでもピーマンも好きだな」

「人参だ、あとこれも」

そう言って指パッチンをするとまた飛んできた。

ドサッと次は落ち中を見ると種イモが沢山入っている。

「これ全部ってジャガイモと人参っだけって....」

「それで十分だ」

しかもジャガイモは切ってない。

「少し藁貰いますね」

そう言って馬小屋に行く。

「ちょっと貰うね」

馬にそう言いつつ二掴み程藁を貰い畑の横で火を付ける。

藁を燃やし横でジャガイモをスイスアーミーナイフでジャガイモを二つに切っていく。

「何をしている」

「これをするとね変わるらしいんですよね、うちのじいちゃん曰く」

そう言い切ったジャガイモの断面に灰を付け埋めていく。


粗方終わり人参の種も植えた。

「数が少ないな」

「一人なら十分ですよ」

そう言うと此方を見る。

「ですよね、二人なら少ないですよね、明日は開墾しますね」

「分かった、あと飯を手伝え」

「分かりました、手伝わさせていただきますね」

そう言って家に入る。


有るのは、玉ねぎとジャガイモ、ニンジン、玉ねぎ以外は自家栽培なのだろう。

ふと、思い出したかのように鞄を漁る。

出てきたのは今朝食べたはずの菓子パン、ちなみにアンパンだ。

「戻ってる....妖精さんありがとう」

とりあえず菓子パンは置いておいて

カップ麺を取り出す。

1.5倍とでかでかと書かれたカップ麺を取り出し蓋を開ける。

先に野菜を入れ少し崩れたら麺を入れる。

味が薄くなりそうなので胡椒も足しポン酢も少し入れる。

木製のスプーンで味見をするとまぁマシだ、うん。

後ろでヴィーがこちらを見ているのでパパっと済ませる。


ヴィーの器に麺と野菜を入れ薄いチャーシューも入れてあげる。

「できました」

そう言いながら自分の所にも入れ半分に切ったアンパンも皿に乗せ渡す。

「頂きます」

無言で食事が進む。

不味くは無いが美味しくも無いスープ。

アンパンは美味しいこれは当たりだ。

「どうですか?」

「.....」

「麺はちょっとふやけちゃいましたね、明日はもう少し硬くなるようにしますね」

「....」

「アンパンは美味しいですよ、私の好きな菓子パンの一つ」

「....」

「コメも食べたいですね種もみと水が沢山必要なんですが....そう言えば個々の水ってどこから?」

そう言うとヴィーが指パッチンをする。

なみなみと勝手に水がコップに注がれる。

「便利ですね、じゃあ俺も」

そう言って指パッチンをするも何も起こらない。

「ですよねぇ知ってました」

何度も試したが俺には何も起こらない。


「じゃあ食べ終わったし、そろそろおいとまさせて頂きますね」

そう言って戻ろうと机に手をつき立ち上がろうとすると杖で手を押さえられた。

ばっちくないぞ俺の手は

「待て....なぜ何も聞かない?」

聞かないって言うか聞けない雰囲気出してませんか?

「聞きたい事は山ほど有るんですけどね...怖いじゃないですか」

「怖い?」

「そう、怖い、私はたぶん死んでいてここが死後の世界とか、なんで魔法が使えるんだとか、煙草と言い菓子パンと言い何で戻ってるのだとか...他にも家の皆心配してるんじゃないかとか、仕事クビには...なってないと思うけど、心配されてるだろうなとかさ」

「違うここh」

「いえ、いいですよ、多分私は此処から、いや貴女から離れられない事と自分の世界じゃ無いって事は薄々気が付いてるんで...ああ、あと聞かないって事を聞いてくるって事は聞いてほしいんですか?」

「っ....」

「良いですよ、貴女が何者でももう死んだ身と考えた方が気が楽になりますよそりゃ最初は腹が立ちましたよ杖を首に引っ掛けるって殺す気かとも殺されるとも思ったしね、こんな山奥で住んでるって事は真面じゃない人が住んでるんだろうなとも思うし」

「ああ、私はまともじゃ無いな」

「ですよね、目が死んでますもん顔の大火傷と言い色々ね、まぁ聞きませんよ少しは気になりますがね、ですが今日じゃなくていいですよ何時か私の混乱が治ってからお願いします、まぁ暫くしたら治ると思うんでその時にでも」

そう言って俺は扉に向かう。

「まぁ、貴女の事は嫌いじゃないですよ、気楽に行きましょ楽しかったら何でも良いですよ」







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