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真っ白な白衣が血に染まる   作者: 原案:ひな月雨音/作者:菜須よつ葉
8/10

カルテ08

挿絵(By みてみん)


 あまりの恐怖に、私は気付いていなかった。



「患者さん達が……誰もいない」



(あれっ? どこに行ったんだろう?)



 ここは本当に、いつもの病棟なのか、静まり返った辺りの様子をうかがっていると……。



 ズズズっ──


 ズズズっ──


 ズズズっ──



 何かを引きずるような音が、暗がりの中から聞こえてきた。



 あ……ああ……あぁぁ……。



 低く響き、耳に残るそのうめき声に、私は心当たりがあった。



「……先輩」



 血の気の無い顔に、吸い込まれるほどの暗闇を宿した目。


 さっきまで一緒に働いていた先輩であった“それ”は、私の知る“人”ではなかった。



「きゃあ〜! なに? どうしたらいいの? 誰か助けて!」



 そう叫んだ私の背後から……。



「……誰もいない。見て……私を……」


「見ないの! 見たらいけないの!」



 距離を取ろうと一歩踏み込んだ瞬間──


 私は声の主に腕をつかまれ、動くことが出来なくなってしまった──



「見ない見ない見ない見ない見ない!」



 姿は見えていないが、私の後ろから長い髪の毛が、体を這って動いているのが分かる。



「助けて……」


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