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カルテ07
咄嗟に瞼に触れる“何か”を振り払い、私は目を閉じたまま駆け出した。
(見ない見ない見ない見ない……)
心の中で何度も繰り返し呟き、ナースステーションに駆け込んだ。
「先輩っ!」
しかし、ナースステーションには誰も居らず、さらに……。
「きゃあ! なに?」
急に蛍光灯が点滅し、灯りは自分が持っている、懐中電灯以外なくなってしまった。
「先輩? せんぱーい!?」
助けを呼んでも声は誰にも届かない。
(何が正解なの? どうしたらいいの? ドクターでも良いからここに来て!)
心の中で叫び続ける。
その時だった──
ナースコールを押したことを知らせるランプが点灯した。
「……えっ……いや。どうして! もういやっ!」
全ての病室のランプが一斉に点灯していた。
プツッ──
通常、ナースコールが鳴ったら、ナースステーションにあるインターフォンを繋いで、会話が出来るのだが……。
「…………み……見つけた」
それは、先程現れた、何者かの声だった──