第45話
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「こんにちは。今日はどのようなご用件でしょうか?」
「魔石などの素材を売りにきました」
早速、商人ギルドに来てみました。
ここに来るのは、奴隷商人がこの街に来ましたの登録をしたときぶりです。
正直、中の様子とかテンパってて殆ど覚えてません。
「それではこちらへどうぞ」
商人ギルドの建物に入ると、正面に受付カウンターがあり、何人かの人が、整然とした感じで働いている。
その中の大変貫禄のある年配の女性が、いくつかある個室の一つへ案内してくれた。
案内された個室は、三人がけのソファーと一人がけのソファーの間に、テーブルが置いてあるだけの小部屋で、落ち着いた色合いの壁紙と、清潔そうな床がどことなく安心感を与えてくれる。
「早速ですが、品物を見せてもらえますか?」
無駄な話は一切しない接客対応に好感がもてる。
これは好き嫌いあるだろうけど、私にとっては好ましい。
長い話は、主語と述語が分からなくなって、最後まで聞いても、何が言いたいのかわからなくなるので苦手だ。
普通の麻袋っぽい袋から魔石を取り出して、テーブルに並べる。
今日は街中のみの移動なので、魔法のかばんではなく、大きめの袋に先日の戦利品を入れて持ってきたのだ。
もちろん荷物係は最近、案外腹黒キャラ疑惑が噂されているレオンだ。
オーガの魔石はアビエルに全部貢いだので、今日持ってきたのは殆どがゴブリンのものだ。
それでも数が多いので、それなりになるだろう。冒険者ギルドと同じ取引が出来れば。
「こんなに!しかも、状態も良いですね!今、魔石が品薄なので良い取引きが出来ますよ」
貫禄のある年配の女性は、ホクホク顔で魔石を一つ一つチェックしている。
冒険者ギルドでは、買取り価格はほぼ一定だったけど、ここ商人ギルドは相場制なのかな?
「これで全部です」
「肉や、ほかの部位はないのですか?」
あー、まだ全部解体し終わってないんだよね。
あと、
「ゴブリンは、魔石しかとってないので」
「そうなんですね。目玉なんかも取引きされておりますよ」
「魔石と同じくらいの価格でですか?」
「いえ、魔石の5分の1くらいですかね」
「意外にそこそこの値段がつくんですね」
冒険者ギルドでは聞かなかったよ?
「滅多に出回りませんからねぇ」
そりゃ、いくら死体からとは言え目玉をえぐるのはキツい。
「何に使うんですか?」
「珍味ですね」
食べるんだ!めんたまを!
「美味しいんですか?」
「…私は食べたことはありませんね」
うん。これからも目玉を持ってくることはないな。
目玉をえぐるって食べるとか無理だし。
「ゴブリンクラスの魔石、一個につき銀貨4枚で取引きさせていただきますが、よろしいですか?」
「え!」
冒険者ギルドの倍の買取価格だ。
「品薄とはいえ、中間マージンをいただきますので、一般的な取引きよりも安値かもしれませんが、ご了承いただければと」
これで安値なの?!
「因みに、一般的な取引き価格っていくらなんですか?」
「今ですと、店舗に卸すなら、一個につき銀貨6枚。それを店舗で銀貨10枚程で売っているようです」
「銀貨10枚…」
「店売りでその価格ですので、直接取引きとなると銀貨8枚程度でしょうか」
えぇぇぇぇぇぇ…。
今まで銀貨2枚で売ってたんですけど…。
それなのにあの待遇…。
舐められてたってことなのかな…。
「リリさん?」
あ、この人私の名前知ってるんだ。
「それでいいです」
「ありがとうございます。良い取引きができました」
「こちらこそ」
心底こちらこそだよ。
「それでは今、お金を用意してきますね」
そう言って、体格のいい年配の女性は、キビキビと立ち上がり、小部屋を出て行った。
レオンと二人きりになった応接室には、微妙な空気が流れている。
「びっくりするほど商人ギルドの構成員さんはマトモだね」
「そうだな」
「これなら金銭トラブルとかもなさそうだね」
「ふむ…冒険者ギルドは思っていたより危うい組織なのかもしれないな」
レオンが思案顔で呟いている。
「もう二度と行かないからいいよ」
舐められてたのか、騙されてたのか、それともそういう組織なのかはわからないけれど、関わらないようにしよっと。
「卸売り価格が銀貨6枚なら、冒険者ギルドに魔石1つにつき、銀貨4枚搾取してる計算になるな」
「今までに売った個数を考えると、相当な儲けになってるね」
「そうだろうな」
「そんなに貢献してるのに、塩対応ってどうなんだろ」
「塩?」
「しょっぱい対応のこと。えっと、冷たい対応的な?」
「なるほど。面白いことを言うな」
レオンが笑ってくれてる。今日もまだ頑張れる。
この後、金貨とか貰ってホクホクで家路についたのでした。
商人ギルドとは、win-winの関係築けるかも。
リアル社畜辛いけど頑張る。




