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n番煎じの異世界転生  作者: ココちゃん
39/55

第39話




「凄いな。力の強い精霊獣だ」



精霊樹の木の下で遭遇した精霊獣のしろもふさんが、『場所を移動するならついて行くのは当然』的なことを主張したので、好きにさせることにした。


敷地内なら問題ないしね。



「レオンは、精霊獣のこと知ってるんだ?」


レオンが驚いたのは、しろもふさんの秘めたる強さに対してで、存在そのものには驚いていない。


「母が精霊獣と契約していた。これよりは、ずっと小型の、イタチのような外見の精霊獣だった」


「へぇー。だからしろもふさんも警戒しないのかな?アビエルの時、警戒してたのに」


「どうして?僕の方が無害じゃない?」


「どうしてだろうね?…精霊獣持ちさんが、結構いるなら、外に連れて行っても平気かな?この子たぶん、私が外に出たら付いて来ると思う」


しろもふさんから肯定の意思が伝わってくる。


「いや、僕は初めて見たよ。たぶんこの国にはいないと思う。レオンのお母さんは、帝国人じゃないよね」


「ああ。だが母親は、既に故人だ」


「そうなんだ。精霊獣持ちなんて、高位の魔法使いだったんだね」


「そうだな」


「だから、レオンは戦士ぽいのに魔法がつかえるのかー」


アビエルの目が、レオンを研究対象として見ている。優しく、熱のこもった目だ。

ロックオンされたね。


「期待されたほどの魔力は授からなかったがな」


「んー、引き出せるかもしれないよ?やってみる?」


アビエルの瞳はキラキラと輝いている。


「いや、いい」


「えー、秘められた魔力があるかもしれないのにー!たぶん回路的な何かの障害って可能性があるよ?」


「恐らくそれはないと思う」


「どうしてわかるの?」


「リリと共にいると、時々、魔力の交換めいた状態になる時がある」


え?


「なるほどー!それだと、何かの障害があったら修正されるよね」


「そう思う」


「それより、レオン、リリと魔力の交換したの?どうやって?」


そんなことしてたの?

いつ?どうやって?


「ああ、手を繋いだ時にな」


え、手なんか繋いだっけ?


「手を繋いだだけで、魔力交換出来るの?どんだけ相性いいんだよー」


ん?


「あ、しろもふさんは、私がもたれかかってダラダラしている時に、魔力交換してるって言ってる」


いつのまに!しろもふさんまで!


しろもふさんの言いたいこと、さっきより細かなニュアンスまで分かるようになってきた。


「精霊獣まで、リリと魔力交換してるの?どうして僕だけ除け者に?」


アビエルさん暴走気味です。


「アビエル、落ち着け」


「私その魔力交換?ての、やり方わからないし、やった自覚もないよ?」


「違和感ないってことは、質的に同じになったってことで、奇跡みたいなものなのにー」


「契約してるからじゃない?」


しろもふさんは精霊契約、レオンは、奴隷契約だけど。


「なるほど!一理あるかも。それなら僕も出来るよね?やってみたい」


「さっきも言ったけど、私はやり方を知らないよ?とりあえず、手、繋ぐ?」


「それよりも、粘膜接触の方が手っ取り早いんだけど…ダメかな?」


「ダメだよ」


粘膜接触って…キスとかアレのことですよね。無理です。


無言で手を差し出すと、アビエルがそーっと握る。


レオンとしろもふさんとは、無意識のうちに交換してたらしいので、特に何も意識しないで待つ。


すると、アビエルから、微かに熱のようなものが流れてくるのが感じられる。


「あ、わかるかも」


「ん、これでも奇跡みたいに相性が良いんだけど、レオンとは、わからないくらい自然だったってこと?」


アビエルは、少しむくれたような顔をして呟く。

お、嫉妬か?可愛いな!


「どうだろ。今は意識してたから気づいたのかも?」


「そうかもしれないね。…リリの魔力凄いよ」


アビエルは、何やら恍惚とした顔になってきている。


え、何?危険?


「アビエル大丈夫?」


目が、逝っちゃってる気がするんだけど。


「リリの魔力、凄い気持ちいい」


繋いだ手を、急いで放した。




ヤバい。書きだめがついに尽きた。頑張らねば!

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