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n番煎じの異世界転生  作者: ココちゃん
38/55

第38話




今朝もわりと早起きをして、庭の精霊樹にポーションやりをする。


アビエルは、ここまで大きくなったら、もうポーションあげなくても大丈夫って言うけど、なんとなくこの精霊樹は、欲しがっている気がするのだ。


もちろん、木がしゃべるわけじゃないから、そう言ってたのを聞いた訳じゃないけれど、精霊樹の周りに漂っている精霊さん達は、木にポーションをかけると、エフェクトみたいにキラキラして、喜んでいるように見えるんだよね。


キラキラはとてもキレイだし、喜ばれていると思うと、自己満足に浸れるから、これからも毎日続けようと思う。


こんな風に、精霊樹にポーションあげながら、まったりと考え事するのが好きだ。


それはいつもとりとめのないもので、例えば、夕食の献立であったりとか、もっと美味しいものが食べたいな、とか、お掃除しなきゃな、とか、狩りのこととか、魔法のこととか色々。


精霊樹の泉は、マイナスイオンぽいのが出てるので、考え込んでも、それほどマイナス思考に陥らないようなのだ。


いやーほんと、一家に一本だよね精霊樹。


急にこんなに大きくなっちゃったけど、色々と無理してないかな?


そんなに急がなくていいからね?

ゆっくり大きくなろうね。


いやほんと、この場所は居心地がいいよね。

起きたばかりだけど、ここで二度寝してもいいよね。


精霊樹にもたれかかりながら、 ウトウトと目を閉じる。

眠りと目覚めの間で、少し肌寒く感じる。


毛布とか欲しいかも。フワフワっとしたやつ。


とか、夢うつつで思ったかもしれない。


寝ぼけながら気付いてみたら、モフモフでした。




「ねえ、リリ、その子どこから連れてきたの?」


精霊樹の木陰で、二度寝をしていた私を、アビエルが起こしに来てくれた。


「んー、わかんない」


精霊樹の木の下で、アビエルが見たものは、白い大きな獣に、包まるようにして寝ていた私でした。

もうね、モフモフなんだよ。

異世界と言えばモフモフでしょう。


「その子、精霊獣でしょ?リリが使役してたんじゃないの?」


「いあ、初めて見る子だよ」


こんな大きい動物、連れてたらわかると思うんだけど。


見た目は、長毛種のホワイトタイガーのタビーが無くて、真っ白な子。


出会い頭に襲ってくる魔物とは、雰囲気が全然違って、どこか神々しい。

あと、慈愛に満ちた気持ちが伝わってくる。

この子は、私のことがすごく好きみたい。


昔、猫飼ってたからわかる。

飼い主に向ける100パーセントの信頼。


そして、アビエルに対して警戒している。


「どう見てもリリの精霊獣だね。その子に、僕はリリを決して傷つけないって教えてあげて?」


「どうやって?」


「普通に話せば通じるんじゃないかな。僕も、精霊獣は、本からの知識しかないんだ」


「しろもふさん、アビエルは身内だから怖くないよ」


理解してくれたようだ。

威嚇の気持ちが収まった。


「しろもふ?それがこの子の名前なの?」


「え?」


そんな適当な名前、気の毒じゃないですか。


「名付けの行為は、精霊たちとの契約儀式とも言われてるから…いま契約成立したのかな」


えー!


しろもふさんでいいの?!


ワサワサと長くてフサフサな尻尾を揺らして、ご機嫌な気持ちを伝えてくる。


どうせならもっとカッコいい感じの…。

ほら白虎とか…。あと3頭集めて四方に配置する感じの。


「リリってホント面白いよね。リリといると長い時間変化のなかったものが、次々と動きだすよ。大好き」


アビエルは、キラキラとした視線を、精霊獣のしろもふさんに向けている。


しろもふさんを、実験材料にしたらダメだからね?







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