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n番煎じの異世界転生  作者: ココちゃん
34/55

第34話





「うーん。悪いものではない・・と思うんだよね」


気にするほどのことではないと思うんだけど、この世界のことはまだまだ素人だし、一応アビエルに報告しておいた方がいいか。



私のこの家での主な仕事は、精霊樹へのポーションやりなんだけど、この精霊樹、成長が異常に早い。


異世界の植物ってこんなものなのかなと思ったりもしたのだけれど、レオンが植えている野菜とかは、違和感がない程度の成長速度なので、やっぱり速いんじゃないかな。


野菜よりも、木の成長速度が速いっておかしいよね?


最初はほんの小さな苗木だったのに、1週間で若木になって、今は普通に大きな木だ。


このまま行くと、年内に樹齢100年クラスの大木になる気がする。


しかも精霊樹の周りは、いつのまにか泉になっていて、木の根元に行くための小さな橋がかかっていた。


まるで昔からここにあるような存在感だ。


この泉の水も、地下からくみ上げてるのか、わき出ているのかよくわからないけれど、どこに流れ出るわけでもないのに、透明度の高いきれいな水がゆらゆらと揺らいでいる。


ちなみにすごく美味しいお水です。


少し前から、この木の周りはキラキラしてて、マイナスイオンだなと思っていたのだけれど、今日はキラキラが実体化してた。


羽のはえた小人さんが飛んでます。

虫…ではないよね?


やっぱり妖精さんかな?


いつものようにポーションをぶっかけたら、どこからともなく妖精さんが現れて、フレンドリーに肩や頭に乗っかられたよ。


さすが異世界。ファンタジー。








「わぁ、精霊が産まれたの?さすがリリだね!僕にも姿、現してくれるかな」


アビエルに報告したら、大喜びで精霊樹の泉に走って行った。


妖精じゃなくて精霊らしい。

精霊樹だから精霊ってことか。


アビエルを追いかけて再び精霊樹の泉に戻ると、アビエルがキョロキョロしながら立っていた。


こうして見ると、木の下だけでなく、泉の上にも、水遊びしている精霊さんがいる。

木の上の葉っぱの影にもいる。


虫が湧いたみたいにいっぱいいる。

大丈夫なのか精霊樹。


「精霊さんて、何食べるのかな?木の葉っぱとか?こんなにいたら葉っぱが食べ尽くされるんじゃない?」


アビエルの隣に立って話しかける。


「え、今も精霊がいるの?」


「いるよ?たくさん」


「どこに?」


「泉の上で水遊びしてる子たちとか、木の下で飛び回ってる子とか、木の上の葉っぱの影で休んでいる子とか」


「えー!僕、見えない。魔力の差なのかな」


へー、見えないんだ。


え、ちょっと待って。


「ひょっとして、私の幻覚?」


疲れてるとか?無自覚でストレス溜めてたのかも?


「いや、精霊樹から精霊が産まれるはずだから、いてもおかしくないよ。僕に見えないだけで、リリの幻覚ではないと思う」


「アビエルも他の人よりは、魔力高めなのに見えないってことは、魔力関係ないのかな?」


心のきれいな人しか見えないとか?


「ちょ、リリ、今失礼なこと考えたよね?」


いいえ?


精霊は人なつっこいのか、近づくと寄ってくる。

アビエルには行かないから、見えない人には寄らないのかも。


「精霊が来るようになったんだね。嬉しいな」


見えなくても嬉しいらしい。


「良いことなの?」


「うん。精霊樹って、人の住むような場所には育たなくて、精霊の森って呼ばれていた場所にあった最後の精霊樹の種を手に入れて発芽させてみたんだ」


「もうないの?」


「少なくてもこの国にはないと言われてるよ。他の国にはあるかもしれないけれど」


「へぇ、凄いんだね」


「うん、凄いよ。精霊樹の葉でエクスポーションが作れるからね」


「エクスポーション…」


それ、毎日精霊樹にかけてるやつです。



「…リリは、なぜか材料もないのに作り出してるけど、本来はこの木の葉がないと作れないものなんだよ」


「へぇ…、あ、だから私に毎日ポーションあげてって言ったんだ」


「あたり。いろんな人が、この精霊樹をなんとか育てようと研究したんだけど、出来なくてね。前に種を貰ったのを思い出して植えてみたんだ」


「アビエルの腕をくっつけたのがエクスポーションてわかったの?」


「あれは本当、人に見せたらダメだよ」


「うん。レオンにも言われた」


「あんな奇跡、権力者に知られたら、リリを巡って戦争になる」


アビエルは、私の顔を覗き込んで言い聞かせるように言葉を吐く。


「個人の力は、個人のものであるのに、多くの人々が、国益に使うべきと主張して、その個人を責めるんだ」


「こわ」


「特にリリのような回復系の力はね。多くの者に尽くせって言われる。その結果、リリが衰弱死しても、それは人々に命を捧げたとかいう美談になるんだ」


「やだー」


呪いじゃないですか、それ。


「大丈夫、僕が守るから」


「ん、でもね、ここにこんなふうに精霊樹育てちゃいましたってバレたら、ヤバイよね?」


「あ…」


これだから研究者は。





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