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n番煎じの異世界転生  作者: ココちゃん
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第2話




うん。


一回死んだんだし、生き返れただけ儲けもんくらいに思っておくのがいいのかも。


最悪もう一回死ぬだけだし。



さて、死なないってことは、これからお腹空いたり眠くなったりするってことだから、暗くなる前に町とかに行きたい。


知らない世界で夜にボッチとかないわー。


町、近くにあればいいんだけど。

出来れば良い人がたくさんいる町。


まずは道を探そう。


背の高そうな木に登ったらいくらか見渡せるかな。


っと、その前に自分に何が出来るのか確認しないと。



魔法。


謎の声の人は、光魔法とか使えるようにするって言ってた。


訳わかんない場所に、荷物も何もなく放り出されて絶望しかないけど、私に魔法が使える日が来るとは、人生わかんないもんだよね。


光魔法って、ファンタジーだと、神聖なやつだ。

てことは、回復魔法とか使えて、パーティではヒーラーさん担当だ。


前衛じゃなくて良かった。魔物倒すとか無理だし。

魔法も使える異世界に魔物とかいないはずがない。


さて、どうやって使うんだろ。


呪文?


杖?


全然わかんない。



落ち着いて考えてみよう。


腰を下ろして謎の石碑を背もたれにして座る。


すると突然、


ヒール 体力回復

リペア 状態異常回復

ライト 明るくなる

ピュリファイ 浄める


使える魔法のことが解った。


石造様効果?



とりあえず試しにヒールって言ってみたけど、特にキラキラ光るエフェクトもなく、恥ずかしいだけだった。


魔法の名前、口に出して唱えるとか、幼稚園児以来だよ。


誰も見てないから大丈夫。



「ライト! 」


お。


昼間だからわかりづらいけど、光の玉みたいなのが浮かんで辺りを照らしている。


ヤバい。

私、魔法使えるわ。ヒャッハー!


一度魔法を使ってみると、まるでずっと前から使えていたように身に付いているのが解る。


格ゲーだと、複雑なボタン操作を手が勝手に動いて必殺技繰り出す的な?

自分でやってるんだけど、タイミングとか口で説明するのは難しいってやつ。



あと薬が作れるとかも言ってたね。


ポーション (効果 小)

効果:体力回復、怪我治療、状態異常回復

ハイポーション(効果 中)

エクスポーション(効果 大)


また浮かんできた。


体力回復と怪我の治療と、状態異常の回復をいっぺんに担うとか、万能薬っぽいね。


作るって言っても、薬草とかすり鉢とか持ってないけどいけるのかな。


「ポーション!」


引き続き、辺りには誰もいないので、魔法の時と同じ感じでやってみた。



あ…うん。

こうなるのか。


どこからともなくザパーンと液体が出てきて地面に落ちた。


でもこれ、ゲームとかのイメージで液体を想像したから液体で出てきたんじゃね。


それなら、


「ポーション(固形)!」


白っぽい錠剤が、広げていた手のひらに現れた。

不思議。どこから出てくるのこれ。


材料とか要らないんだ。


あれかな、魔法が固まった感じなのかな。

それなら『ヒール(固形)』だよね。


物理法則ガン無視だけど、ここは異世界だし、深く考えたら負けだ。出来るんだからしょーがない。


こんなもの飲む勇気はないので、効くかどうかはわからないけれど、せっかくなので、ポーション錠剤を各種1粒ずつ作ってみることにする。


出来れば叫ばないで作りたい。


心の中で、錠剤タイプの効果小、効果中と効果大をそれぞれ作るって思うと、わりとすんなり出来た。


ラノベでありがちな、高位のポーション作成で魔力が枯渇ーとかもない。


もっとたくさん作ればそうなるかもしれないけど、今は安全を確保出来てないからこれ以上はやめておく。


これがちゃんと効果があるのかの検証はそのうちってことで。





さて木登りだ。



背が高めの、足場が適度に確保されていそうな木を探して登る。

思ってたより簡単に登れた。


体力ついたのかも。身体が軽いな。


細過ぎるとこは怖いので、その手前で周囲を見回してみると、遠くの方に壁みたいなものが見えた。


たぶん町じゃね。


かなり遠いけど、道もあるし大丈夫そう。


ホッとした。


どんな町なのかはわからないけれど、何かしらの人はいるよね。




ん?


町とは逆の方向の道の向こうに、何かが見える。

なんだろう…幌馬車の馬がないやつ?


見に行くか。


危険かもしれないけど、好奇心には抗えない。

ただでさえ、目が覚めてから、自然の音しか聞いてない。

人の声とか、車の音とか聴きたい。

人工の音が聴こえないと、メンタル的な何かがガリガリと削られていく。


あそこに、何か目ぼしいものあるかもしれないし。

ひょっとしたら、助けを求める人がいるかもしれないし?


とは言え、人間には出会いたいけど、敵対する何かだったらゲームオーバーなので、全神経を周囲に向けて集中して歩くことにする。


自分の足音がうるさくて、歩いてたら他の音が聴こえなくて辛い。


それでも危ないこともなく街道?へとたどり着いて、馬車らしきものを眺める。


うん。予想はしてた。


死体がたくさん。うげぇ。


人と馬。血みどろの。首とか腕とかが切り離されていたり、長い内蔵的なものが散らかっていたり。

なんていうか、雑にお食事して、お腹いっぱいになったので、残した的な。


ちょっと、えぐい。そして臭い。

きっと、すぐに次のお腹すかせた何かがやってきて、お掃除してくれるんだろう。

人間は食物連鎖の頂点ではないってことだ。


えぐいけれど、まだどこか夢の世界にいるような、精神に膜を張っているようだからか、人間の死体を見ても、さほどショックを受けてない。


さっき木の上から見たときは周囲に生き物の気配はなかったけれども、死体の残り物を食べに来る奴とか、町の警察みたいな人たちが来て犯人扱いされるのも嫌だと思いつつ、とっとと現場から離れようと思ったら、




「助けてくれ」



いきなり男の声がした。


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