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世界の闇と戦う秘密結社が無いから作った(半ギレ)  作者: 黒留ハガネ
一章(前) 大人が作る子供が夢見た秘密結社
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01話 お前ヒロインだろ! 知ってるんだぞ! いいから来い!

 秘密結社を作る決意を固めた俺は、翌日早速裁判沙汰にするぞ、と上司を強気で脅迫し、辞表を受理させ溜まりに溜まっていた有給休暇(給料が支払われるとは言っていない)をもぎ取った。脅迫までしないと辞表を破り捨てられ有給も取らせて貰えない会社ってこれもう分かんねぇな。日本人の権利じゃないのかよ。つくづく辞めて正解だった。

 とにかくこれで退職まで二カ月間の猶予ができた。「わくわく秘密結社結成作戦」に向けて邁進する前に、手札を確認しよう。


 まずは資産だ。貯金は120万。拠点は東京郊外の安アパート(築20年)。乗り物は大学時代に先輩から譲り受けた御歳30歳のスーパーカブ兄貴がいらっしゃる。俺より年上なのに現役のバイクだ。冷蔵庫や電子レンジ、テレビ、エアコン、パソコンと一通りの家電は揃っていて、漫画や小説、DVD、ゲームもそこそこ。壁にかけられた耐圧ブーツと鋼鉄製手甲、バリ島土産のグレた獅子舞みたいな仮面が異彩を放っている。


 交友関係とコネ。まあ、普通。家族は両親祖父母健在、兄弟は無し。正月ぐらいしか会わない従兄妹達がいるが特に仲はよくも悪くもない。仕事上の付き合いで何度か飲みに行って連絡先を交換した取引先の客とか、同僚とか、学生時代の友人のアドレスは一応スマホに入っている。遊ぼうぜと誘って乗ってくる奴もいれば、乗ってこない奴もいる。大金持ちの御曹司とか古武術道場の跡取りとか一流大卒のエリートとか、そういう人種との交流はない。一番変わったコネといえば海外旅行に行った時に列車で知り合ったプロレスラーのボブで、アドレスもらったけどアド変したらしくて通じなくなってたしノーカンで。普通だな!


 続いて大本命、俺自身のスペック。国立三門大学工学部卒、社会人二年目にして脱サラ。24歳男、身長172cm、体重65kg。健康診断異常なし、持病なし。病歴はおたふく風邪、水疱瘡。中学の頃の虫歯で右の奥歯がなくなっている。所持資格は普通自動車免許と英検準1級。


 念力。出力は測定不能。計算上はたぶんエベレストを余裕で持ち上げられる。念力で念力に負荷をかけるセルフ負荷トレーニングを思いついてからは出力向上が留まるところを知らない。もしかしたらギャグ漫画のように地球を割れるかも知れない。

 射程は三か月ぐらい前に地球の反対側に届いた。地球上に俺の念力が届かないところはない。便所の中に隠れても見つけ出してやる……!

 しかも社会人になってからもチマチマ続けていた訓練により念力には五感が付与されているので、アパートの一室にいながらにして世界中の物事を見て聞いて触って嗅いで味わう事ができる。


 戦闘能力。

 計算上恐竜絶滅の引き金になった巨大隕石も完全防御できる強靭なバリアを体表に常時展開。

 毒ガス対策に念力で圧縮した空気を持ち歩き、それを使っていざとなれば数日間安全に呼吸できる。

 念力バリアに温度遮断を付与。大学の研究室に保管されていた放射性核種を使った訓練で放射線遮断も付与できている。電波・電磁波も遮断できる。

 念力推進による高速移動は念力で耐Gスーツを再現する事により10Gの加速まで耐えられる。

 空気圧縮による発火・プラズマ化で光源確保、あるいは念力第六感感知により暗所での戦闘も支障ない。当然、宇宙空間や深海、マグマの中でも活動できる。


 うーん、この超生物。俺は本当に何と戦っているんだ。最近はエイリアン襲来や巨大隕石衝突系のパニック映画を見ていてもまるで危機感が沸かなくなってしまった。なんだ雑魚じゃん余裕じゃん、以外の感想が出ない。

 まあ蘇生や超自己再生、空間移動、時間停止、因果律操作、不老不死とかそういうファンタジーな漫画能力はさっぱり使えないので絶対無敵で万能というわけではないが。癌やエイズで普通に死ぬとしても、全世界を敵に回しても殴り負ける事はない、という確信を持てるのは良い事だ。


 さて、以上の手札を使い、これからはやりたい事をやる。

 と言ってももう失われた青春は戻って来ない。俺はおっさんという歳ではないが、フレッシュな年齢でもない。人生で最もキラキラした時期を逃してしまった人間だ。世界に超能力秘密結社が無い事を知ってしまっているし、異世界からの侵略者は存在せず、コールドスリープから復活した旧人類がいないのも知っている。夢もロマンもありゃしない。秘密結社を作っても所詮ごっこ遊びだ。

 俺にとっては。


 しかし、秘密結社の構成員にとってはどうだろう。

 例えば、俺が暇を持て余している高校生の少年の前に黒ずくめの服装で現れ、唐突に念力(超絶手加減済)で襲い掛かったとしたらどうだろう。そして念力で操った美少女人形に助けさせたとしたら。そして少年は魔法で動く(嘘)美少女に導かれ、悪の超能力者を追う秘密結社のリーダー(襲撃犯と同一人物、つまり俺)の下に案内される……

 実態がクソみたいな自作自演だとしても、当事者の高校生にとっては驚くべき鮮烈な非日常への導入になる。

 高校生は退屈が破られ嬉しい。俺はそれを過去の自分に重ねて妬ましくも嬉しい。みんな幸せだ。

 絶対楽しい。因縁が無いなら作る! ドラマが無いなら演出する!


 ああそうさ、人の人生を弄んでるとか騙してるとか批判するならしてみろ。俺は例え騙されても弄ばれてもいいからそういう青春が欲しかった(血涙)。俺と同じ鬱屈を抱えている奴はかなりの数いるはずだ。そうじゃなきゃ凡人高校生が不思議な力に目覚める使い古されたテンプレストーリーがこんなにも支持されている訳がない。

 俺は念力という捌け口があったからまだ良かったが、そういう非日常願望に耐え切れなかったやつが「むしゃくしゃしてやった、誰でも良かった」オチになってしまうのだ。それを「むしゃくしゃしたから秘密結社に入った、今は満足している」に変えられるのなら、これはもう社会貢献といえる、と強弁させてもらおう。


 よし! 自己弁護完了。

 具体的にやりたい事を列挙してみよう。


・敵のボス兼、秘密結社のボスになる。みんなには内緒だゾ!

・南極の地下に秘密基地を作る

・異世界からやってくるっぽい謎の敵を用意する

・謎の敵はたぶん地球に眠る未知の資源を狙ってるとかそんな感じ

・上記のような世界の闇と戦う秘密結社を結成

・世界各地に支部を設置

・構成員の勧誘。実は君には秘められた力が眠っているのだ(眠ってない)

・秘密結社構成員にコードネームや階級を付与

・マスコットキャラっていいよね

・電話一本で政府が動くって凄い、凄くない?

・正体を知られてはいけないのは鉄板

・笑えないレベルの資金難とか悲しすぎ。求む、出資者

・いぶし銀のメカニックや縁の下の力持ちのオペレーターで組織は輝く

・緊急招集の合図は決めておきたい

・女っけが欲しい。いっそ美少女じゃなくてもいい。男だらけの秘密結社は嫌です



 こんなもんか。

 ううむ、改めて見返すと酷い。中学二年生の妄想かな?

 でも知ってるか、これ全部実現できる可能性が十分にあるんだぜ。

 ……我ながらちょっと怖くなってきた。なんで実現できちゃうんだよ。怖い。でも実現できたら絶対楽しい。やる。


 こたつでみかんを食べつつメモを見返しながら三日ほど優先順位をつけてみたり具体的な実現策を練ったりしてみたが、一人では流石に辛い、という事に気付いた。

 大方針としては、秘密結社とその敵を作り、構成員に非日常を楽しんでもらい、それを見て俺も楽しむ。悪戯神か何かのようなムーブだ。

 しかし謎の黒幕ポジションを演じるとして、中間管理職がいないとマジで困る。謎に包まれたボスが頻繁に構成員の前に現れて作戦を伝えたり相談に乗ったり訓練をつけたりしていたら、それもう全然謎じゃないだろ。機材の買い出し、秘密結社施設の点検整備、コスチューム考案作成発注。全部俺だけでやるのは無理がある。せめて一人、一般構成員とボスの間のクッションになる、副官的存在が欲しい。その副官になら、まあマッチポンプの真実を知らせてもいいだろう。というか知らせないと意味がない。色々相談に乗ってもらったり裏方作業を分担してもらわないといけないのだから。

 謎に包まれたボスの正体を唯一知っている副官……いいじゃないか。


 という訳で副官探しを開始。条件は

①非日常願望がある者。秘密結社所属経験者歓迎

②相談役を務める以上は有能である事。特に資格は要らない

③金持ちか権力者だったりするとコネ作りが捗って良し

④できれば美少女か美女。


 ①は外せない条件だ。現状に満足している日常大好きマンを非日常に誘っても仕方ない。お互い幸せになれないだろう。

 ②は順当な条件だろう。酷な言い方になるが、いくら熱意があっても頭パーのド無能に副官は務まらない。熱意ある脳筋は一般構成員枠でどうぞ。

 ③はちょっと厳しい条件だ。秘密結社設立には金が要る土地がいるコネが要る。念力で力任せに解決もできるが、金か、権力があれば捗る。

 ④は相当キツい条件だ。別にこれは満たしていなくてもいい。なにしろ美少女or美女という希少性が他の条件と並立する可能性は非常に低い。登場人物がみんな美少女とかラノベじゃないんだから、流石にそこは拘らない。①~③を満たしているならハゲ&肥満おじさんでも十二分に同志になれる。でも夢を見るぐらいはいいよね。


 俺は英語がそれなりに話せるので、副官は英語圏の人間でもいい。秘密結社はいずれ世界展開する予定なのだから、副官に海外の人材を招くのも悪くない。

 よって副官探しの捜索範囲は日本、イギリス、アメリカ、カナダの高級住宅街。念力を自宅に忍び込ませ、私生活を覗き見る事で適性を測る。

 SNSから日常に退屈していそうな人材を探して住所特定にチャレンジしてもいいのだが、SNSは退屈している人間の巣窟(偏見)だし、母数が多すぎて抽出が大変だ。そしてSNSから住所を特定されるような情報管理ガバガバ人間は副官として不適格だろう。秘密結社の副官がSNSやってて情報流出なんて間抜け過ぎる。


 まずは近場から。埼玉、千葉、東京、神奈川の首都圏の高級住宅街の豪邸に念力を飛ばして探索する。

 意識分割や並列思考、分身ができれば効率的に探索できるのだが、そういうスキルは持っていないので、一件一件虱潰しに探索する。念力の侵入を禁じる法はないので紛れもない遵法行為だが、紛れもないマナー違反でもある。そんな事を気にしていたら秘密結社なんて作れないので気にしないようにしているが。

 おじゃましますからおじゃましましたまで、最短一時間。家にフィクション小説や漫画、映画DVDが置いていない奴は論外。置いてあったら、ラインナップから趣味が合いそうか考える。血みどろ残虐ファイトとかグロ系で統一されてたり、異世界ほのぼの日記みたいなラインナップだったらサヨナラする。

 有望そうな人を見つけたら、帰宅を待って行動を観察。今のままでも人生を満喫していそうだったらそっとしておく。幸せな奴に面倒事を持ち込むつもりはない。性格悪そうでもそっとしておく。副官相手に胃を痛めたくないです。

 異世界いきてーなー、とか、空から女の子降ってこないかなー、みたいな願望が感じられたら、更に観察。地頭が良く、こいつはいける、と思ったら接触して勧誘だ。


 三週間ほど金持ちの生活を観察する生活を送ったが、なかなかこれは、という人物には出会えない。芸術鑑賞や友人との外食、ドライブ、旅行など現実と向き合った人生の楽しみ方をしている奴ばかりで面白みがない。漫画や小説は意外とどの家にも普通に置いていたが、ラインナップは普通。普段の行動を見ていても現実逃避している気配はなかった。たまに借金や人付き合いでぐったりしてる金持ちもいたが、超能力やファンタジーに逃避している様子はない。やっぱ金があると充実した人生送れるんですかね……


 面白い人物を見つけたのは探索を始めて二十五日目だった。東京の高級住宅街の庭付きの豪邸に住んでいる、鏑木栞という女性だ。年齢は二十三、通いの使用人を除外すれば独り暮らしで、自宅でのパソコン仕事を見る限りどうやら株や仮想通貨、先物取引で儲けているらしい。そこだけなら多少珍しくも評価に値しないのだが、ここからが凄い。


 一つ目。使用人に自分の事をお嬢様と呼ばせている。

 現代日本で、お嬢様! 正気か? 実際に念力越しに聞くまで絶滅した非実在系の呼び名だと思っていた。それを臆面もなくお嬢様と呼ばせている。ヤバい。


 二つ目。文句なしの美女。金持ちの家を歴訪してきて、金持ちの娘を山ほど見てきたが、鏑木栞ほど美しく整った美貌の持ち主は知らない。クール系で、ポニテにして竹刀持たせたら超似合いそうな大和撫子だ。トップアイドルや女優とも十二分に張り合えるだろう。


 三つ目。正々堂々整形美人。彼女は仕事部屋の机に二十三枚の、恐らく毎年の誕生日のものであろう写真を飾っている。中学入学まではピザ体型に耕運機で耕したような顔面だったが、中学三年間で様変わりしている。高校入学時点で見違えるようなプロポーションと美貌を手に入れていた。明らかに整形手術をしているし、間違いなく血の滲むようなダイエットをしている。生活を観察していても、毎朝六時に起きて柔軟と走り込み、インナーマッスルトレーニング、シャワー、髪と肌の手入れ、化粧、服選び、昼食後の体操、外出時には日傘と日焼け止め、使用人への栄養バランスのとれた食事メニューの指示(栄養士資格を持っているようだ)、夜十時には必ず就寝、と、毎日絶対に欠かさず美容と健康によく気を遣っている。何が凄いかというと、美容の努力を全く隠さない事だ。醜かった過去の自分の写真を使用人も入ってくる仕事部屋に堂々と飾っている事からそのスタンスが伺える。男でも醜かった過去があれば隠したくなるというのに。鋼のメンタルだ。ヤバい。


 四つ目。服装。美人は何を着ても似あうというが、鏑木栞の服選びは半端ではない。なんと、中世ヨーロッパの絵画でしか見ないような本格的ドレスを普段着にしているのだ。二度言おう、正気か? もしかしてファンタジー世界出身者ではないのかと怖くなって役所に忍び込み戸籍を確認したぐらいだ(ちゃんと日本人だった)。とんでもない奴だ。休日には着物に下駄で外出したりもする。ヤバい。センスと度胸がヤバいし普通に着こなしているのはもっとヤバい。ちなみに朝の走り込みは普通にジャージ姿である。


 五つ目。貪欲な向上心と高い知性。パソコンで仕事をしている時間は毎日3~5時間で、残りの時間は美容を除き読書に充てられている。その読書の実に九割が高度な専門書である。洋書も普通に読んでいるし、どうやら高い金を払って海外の論文を自由に読める契約もしているらしい。土曜に歌舞伎を観に行ったかと思えば、日曜にハリウッド最新作の試写会に参加したり。東大の講演に出席したりもしている(どうやら卒業生らしい)。


 六つ目。ガチ過ぎて馬鹿にできない中二ノート。

 鏑木栞は二十三歳になってもまだ妄想ノートを書いている。が、内容が専門的過ぎてもう学術ノートになっている。ゾンビパニックが発生した場合の感染経路想定とか、感染源の特定法推察とか。異世界に召喚された場合の生存確率とか、物理法則が違う事による身体への影響考察とか。タイムスリップやコールドスリープ、超能力覚醒、古代文明の存在についても論じていて、広範で豊富な知識量と、愉快な性癖と、高度な論理的思考能力が伺える。ヤバい。

 二部屋ある書斎の三分の一を埋める古典からラノベまでの空想小説・漫画が彼女の性癖を物語っている。最近買った書籍から察するに、この頃は悪役令嬢モノにハマっているらしい。


 以上、六つの「鏑木栞のここが凄い」。

 知的美人の私生活を覗き見る事に興奮を覚えたのは観察初日だけで、一週間の張り込みを終えた今となってはもう敬意しかない。すげえよ鏑木さんは。副官っていうか、もう鏑木さんが望むなら鏑木さんにボスに収まっていただいてもいいわ。俺が副官になる。勧誘確定。

 これほどの逸材がいるとは思いもしなかった。彼女はもうほとんど物語の住人だ。


 鏑木さんには俺の念力と計画の全てを明かすつもりではあるが、最初ぐらいはサプライズをかまそう。

 鏑木さんのお仕事中に、万年筆を念力で浮かび上がらせ、メモ用紙に文字を書く。突然の出来事に鏑木さんは目を見開いて固まり、完全にフリーズした。


『突然の念力失礼します。私は佐護 杵光です。御覧の通り超能力を行使する事ができます。今回は是非鏑木さんと共に超能力秘密結社を立ち上げたいと思い連絡させて頂きました。興味がありましたらその旨を口に出すか、紙に書いて頂ければ連絡先をお知らせします』


 文言を読んだ鏑木さんは少し考え、おもむろに万年筆を分解し始めた。プロの手際で素早く正確に分解した後、よく観察し、今度はそわそわした様子でまた組み立てる。

 続いて窓の戸締りをチェックし、脚立を持ち出して天井まで調べ始める。一つ調べ終わるたびに頬が紅潮し、まさか、本当に、などと呟き始める。

 なんかこの行動、覚えがあるぞ。そう、俺が初めて念力に覚醒した時と同じだ。本当に超常現象が起きたのか疑い、トリックや自然の悪戯ではないか確かめているのだ。

 すぐに超常現象に飛びつかない慎重さと、隠し切れない好奇心と期待! いいっすね。


 やがて納得したのか、鏑木さんは緊張した様子で咳払いをしてから、メモに向けて言った。


「佐護さんの話に興味があるわ。連絡先を教えてくれるかしら」


 よっしゃ来た! 99%は断られないと思っていたが、やっぱり口に出して言って貰えると安心する。俺は喜んでスカ〇プの連絡先をメモに新しく書き込んだ。それを見た鏑木さんが複雑そうな顔をする。


「専用の通信機が転送されてくるとかじゃないのね……」


 あっ……雰囲気ぶっ壊してマジでごめん。確かにスカ〇プで勧誘してくる秘密結社とか無いわ。許して。金が無いし転送もできないんだ。マッハ10で窓から手紙を投げ込むのはできるけど絶対に衝撃波で大惨事だしそういうのはたぶん望んでないだろうし。


「でも」


 鏑木さんはすぐに気を取り直し、口元に手を当て綺麗な笑みを零した。


「ふふ、楽しくなってきたわ」


 ほんとだぜ! ひゅー!

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― 新着の感想 ―
複雑な顔をして、からの 「でも」  鏑木さんはすぐに気を取り直し、口元に手を当て綺麗な笑みを零した。 「ふふ、楽しくなってきたわ」  ほんとだぜ! ひゅー! が最高にワクワクを感じられる。 この描…
[良い点] ひゅー! [一言] 主人公真面目ねえ
[良い点] 最高に楽しんでて草 こうでなくっちゃ!
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