10話 ババァは無慈悲なアルヴの女王
クマさんはベテラン刑事で、いくつもの事件に関わり、解決し、数々の大会に出場し優勝するなど顔が広く信頼も厚い。そのクマさんは翔太くんとの一件の後すぐに東京近郊の現場警察官達に「世界の闇、超能力者関連の事件は自分に知らせるように」と周知してくれた。それは元々超能力者の調査を担当していたため違和感なく受け入れられていった。
これで天照が警察に捕まってもまずクマさんに連絡が行き、クマさんが余程の大事件でも無い限りすぐに現場警官を言いくるめて解放してくれる。流石にまだドッグタグを見せただけで警察フリーパスとまではいかないが、追い追い浸透していくだろう。相方のゲスイ刑事にも話をつけておいたとババァが言っていたので、そちらも安心だ。
クマさんは更に、遠回しに調査を自分達に命じた鏑木さんが掌握していない上層部に、役に立たない断片的情報を報告。成果を示し継続して超能力案件の調査担当の立場を維持すると共に発言力を増強。調査には慎重を要し真相を明らかにするには時間がかかる事を納得させた。
警察の上と下を、鏑木さんは外から、クマさんは内側から取り込んでいってくれている。頼もしい。
現実問題として人型世界の闇は割と凶悪だ。設定上の強さだと、警察官でも普通に死ぬ。警棒は効かないし、骨も内臓も無い体は体術をほぼ無効化する。動き回る相手の握り拳大の石の核を拳銃で正確に撃ち抜くのは至難の技。まず、勝てない。
爆弾や火炎放射器など、世界の闇のスペックを理解した上で対策を取れば勝てるのだが、爆弾や火炎放射器を普段から持ち歩く訳にもいかない。専用の対策部隊を用意する必要があるだろう。一番お手軽な倒し方は車で轢く事だが、世界の闇が出没する路地裏や地下下水道や廃ビルは大抵車が通れない。
総論として警察には天照案件に首を突っ込まず引っ込んでいてもらった方が賢明なのだ。人間の恐怖によって凶暴化するという世界の闇の設定上、半端に立ち向かったり公表したりするのが一番マズい。
クマさんは仕事帰りに天岩戸に時々飲みに来るようになった。大体愚痴をこぼすのを俺が聞くか、たわいも無い雑談をするだけなのだが、これが不思議と楽しい。話が合うのだ。俺は超能力者として活躍したい派、クマさんは超能力者を素手でボコボコにしてやりたい派、という違いはあるものの、その違いすら思いもよらない意見が聞けて楽しい。
クマさんは現代異能バトルモノの走りとなった古典SF小説・漫画を貸してくれ、俺は最近流行りのラノベを紹介する。実に充実した交流だ。
俺の自惚れでなければ、クマさんと俺は瞬く間に親しい友人となった。休日に鏑木さんも混ぜて三人一緒にスパイ映画を観に行く仲である。
また、クマさんたっての頼みで俺用だった念力燃料手甲型PSIドライブをサイズ調整して贈呈した。スイッチを入れて殴ると短射程の念力が放出される。実質衝撃波。PSIドライブがあれば世界の闇と遭遇しても勝てるだろう。
PSIドライブは優秀な武器だ。携行が容易で周辺被害や騒音なし。火力も申し分ない。ただ、整備性が悪いのが玉にキズ。あと材料がプラチナだからクソ高価。警察に配備するのは難しいが個人に渡すぐらいならなんとかなる。
クマさんは超能力の素質がある(という事にしてある)のだが、本人はあくまで無能力で超常をボコる事に拘り、覚醒を拒否。その割にはPSIドライブを欲しがったが、武器を使うのは良いらしい。クマさんの拘りだ。ちょっと分かる。無能力ゆえに道具と知恵を駆使し機転を利かせて戦う、みたいな。翔太くんとの戦いでも雨樋でリーチ確保してボコってたしな。
そんなクマさん――――新たに外部協力者となった刑事を、学生組は大いに頼った。
クマさんはPSIドライブ流出時点で全くの部外者だった。そして今は警察に根回しを行い、天照に協力してくれている。確実に犯人ではなく、味方で、しかも調査能力に長ける。頼らない方がおかしい。
当初の想定では少しずつ手がかりを集め疑心暗鬼と戦いながら真相に近づいてもらう予定だったのだが、相談を受けたクマさんが保管庫のPSIドライブがすり替えられたケース内側から指紋を採取。そしてそれを分析官に送り、容疑者の指紋と照合。一発でババァが犯人だと分かってしまった。
専門の鑑識使うのはズルいと思います。
確かに道理ではある。裏切り者を確実迅速に特定する良い方法だ。
でも用意していた手がかりや捜査撹乱イベントを全部ショートカットされた俺の気持ちも考えてくれませんかね。子供のチャンバラごっこに剣豪が乱入してきたようなもんだぞ。
しかしやってしまったものは仕方ない。そもそも裏切り者イベント開始早々に刑事コンビがやってきた時点でシナリオは崩壊していたのだ。むしろ上手く収拾がついたと考えるべきか。
季節は春。二人の高校入学式が終わった日の事。二人は秘密基地のトレーニングルームにババァを呼び出していた。
トレーニングルームは耐熱タイルの下に分厚い鉄板を入れてあり、ちょっとやそっと暴れたぐらいではなんともない。換気扇と出入り口以外は何も無い殺風景な部屋で、超能力を全開にしても問題ないように設計されている。
PSIドライブについての相談という名目で連れ出されているババァは、後ろ手にドアに鍵をかける翔太くんに首を傾げた。
「うん? 何か聞かれたくない話かの」
「ああ、ババァにとってな」
出入り口を塞いで立ちはだかる翔太くんの硬い顔を見たババァも表情を強張らせる。
「燈華、これは――――」
「ババァさん、幾つか質問をするから正直に答えて。絶対に嘘は言わないって御仏に誓って」
背後に回っていた燈華ちゃんを振り返って尋ねようとしたババァに、燈華ちゃんは宣誓を迫る。
「あ、ああ? うむ、誓おう」
「一つ目だ。保管庫のPSIドライブを赤ニシンとすり替えたのはババァか?」
「…なんの話じゃ?」
翔太くんの尋問に、ババァは僅かな間を開けて問い返した。芸が細かい。
「二ヶ月前、保管庫のPSIドライブが赤ニシンとすり替えられている事が発覚した。すり替えが行われた全てのケースの内側にはババァの指紋があった」
「シモン?」
「分からないのか。ほら、指についてるコレだ」
翔太くんが手を広げ指を見せると、ババァは笑った。
「何を言っておるのじゃ、そんなもの誰にでもついておる。指の大きさで縮尺は多少変わるが、模様は老人も赤ん坊も変わらぬ。知らんのか?」
「それはたぶんエルフだけだ。ババァこそ知らないみたいだな。人間は一人一人指紋の模様が違うんだよ」
翔太くんがズボンのポケットから指紋の比較図を出して見せると、束の間緩んだババァの顔が再び強張った。よくこんなに細かく表情操れるな。すげぇよババァは。冷や汗まで滲ませている。
「ワシは……PSIドライブの開発者じゃ。ケースにいれて納入する作業もワシが手ずからやっておる。納入作業の時についた指紋に違い無かろう。赤ニシン? なんぞ聞いた事もない」
「赤ニシンにもババァの指紋ついてたぞ」
翔太くんの冷たい声にババァは息を詰まらせた。
これは嘘だ。赤ニシンからは鱗や表面のぬめりのせいで指紋を採取できなかった。クマさん直伝のカマかけである。
実際にPSIドライブケースから採取された指紋は、全てのケースの外側に天照メンバー全員のもの。そしてすり替えられたケースの内側にはババァの指紋のみだ。
「ねぇ。さっき御仏に誓ったよね。絶対に、嘘は、言わないって」
「ひっ!?」
背後から燈華ちゃんに肩を掴まれ瞳孔が開ききった目で間近から覗き込まれたババァは悲鳴を漏らした。怖い怖い怖いって。念力で視ているだけの俺も怖い。呪いの日本人形みたいだぞ、燈華ちゃん!
しかし母国語ではなく日本語で悲鳴を上げたという事はババァはまだ余裕ある。演技力高い。
「どうして嘘ついたの? ねぇ、答えてよ。私達を納得させてよ。仲間でしょ? ババァさんがPSIドライブを横流ししてないなら、指紋はどうやって説明するの?」
「落ち着け燈華。あー、ババァ。何か事情があるなら正直に話して欲しいんだ。この話は鏑木さんとかマスターには伏せてある。どうしようもない理由で仕方なくやったならそうと言ってくれ。力になるし、一緒に謝ってやるから」
「でも私を馬鹿にするつもりで赤ニシンにすり替えたなら、ババァさんの頭で梵鐘百八回撞くから。煩悩消えるまで泣いてもやめないから」
「燈華」
「何?」
「ちょっと黙れ」
「…………」
燈華ちゃんは静かになったが、ババァの肩は掴んで抑えたままだ。
翔太くんが優しく言う。
「なぁババァ。燈華は怒ってるけどな、なんも心配しなくていいぜ。PSIドライブをバラまいちまったなら回収すりゃ良いんだ。手伝うからさ。罰は受けなきゃならんだろうけど、一緒に受けてやる。俺達一緒に暮らしてるだろ。一緒に飯食ってるだろ。一緒に服買いに行っただろ。楽しい時も、辛い時も、一緒だ」
膝をつき頭の高さを合わせ、真っ直ぐ目を見て言う翔太くんからババァは眩しそうに顔を背けた。高一でこんな台詞言える奴は早々いないぞ。というかこれほとんど告白……ああっホラ! 燈華ちゃんが不貞腐れてる! ヒロイン黙らせておいてロリババァとイチャついてるから! お前巨乳好きだろうが! 色々成長期な燈華ちゃんをちゃんと見てやれ!
まあそれはそれとして、二人の出した結論は分かった。イベント解決ルートD「対話」だ。結構穏便なルート行ったな。
何の根拠もなく「仲間だろ? 本当の事を言ってくれ」と脳死で絆を盲信したら現実の厳しさを教えお仕置きする予定だったが、二人はちゃんと証拠を揃え、裏切り者を特定し、その結果を受け入れた上で親身に寄り添おうとしている。賢く、優しい子達だ。
ババァの不意を突いて縛り上げ鏑木さんに突き出すAルート「捕縛」が濃厚かなとか思っててごめんな。俺の心が汚れていた。
俺はババァが首から下げ服の下に入れているドッグタグを震わせモールス信号を送り、Dルート決定の合図を送る。するとババァは頭を抑えて苦しそうにしゃがみ込んだ。
「翔太……燈華……わ、ワシは……ううっ」
「やっぱり何か事情があるのか?」
「待って。様子が変」
ババァが白眼を剥いてぶつぶつ言い始める。
「や、やめるのじゃ。うるさい、うるさい、そんな事はせぬ。家族に、仲間にそんな事など。うう……黙れ……黙れ!」
「え、何これどういう事? 私そんなにうるさくした?」
「違うな、たぶん幻聴だ……いやもしかしたら。燈華、そのままババァを抱きしめてやってくれ。ババァ、大丈夫だ。俺がついてる。頑張れ。負けるな!」
察しがいい、というか、似た展開を漫画か何かで読んだのだろう。俺も読んだ。翔太くんはババァの手を握った。背後から抱え込むようにババァを抱きしめた燈華ちゃんは苦しみ悶え暴れ始めた小さな体を必死に抑えつける。やがて頭の中に囁きかけるナニカと精神的激闘を繰り広げた(フリをした)ババァは一際大きな声で叫んだ。
「ワシの頭から出て行け!」
ババァの絶叫に合わせ、ボリュームたっぷりの長い銀髪に隠していた小さなガラス球を中心に、小指の爪ほどの大きさのミニマムな世界の闇くんを作る。ガラス球を念力で引っ掻き擦り耳障りな悲鳴っぽい音を出しながら頭頂部のあたりから飛び出させた。
「うおっ!?」
「きゃっ! えっ何やだくっついた!?」
ミニマム闇くんは飛び出した勢いのまま燈華ちゃんの手に張り付き、無数の短い足をカサカサ動かし腕を這い上がり始める。この生理的嫌悪を催す気色悪い動きを再現するために、俺は何時間見たくもないゴキブリ動画を見続けた事か。
目論見通り燈華ちゃんは甲高い悲鳴を上げ、炎を吹き出しミニマム闇くんを焼き払った。熱風で三人の髪が巻き上がり、瞬間的高温で表面が融解した世界の闇の残骸が床に転がる。
取り憑いていた世界の闇が仲間の優しさによって高められた強い意志に苦しみなんかいい感じに追い出されたのだ(適当)。すごいね、友情パワー。ファンタジーな世界ならこれぐらいよくある事だから何もおかしくない。
なお追い出された世界の闇が新しい寄生先を求めて燈華ちゃんの頭を目指したのはオマケのホラー演出である。
脂汗を垂らす燈華ちゃんの手を弱々しくとったババァは消え入るような声でありがとう、と礼を言い、そのまま気絶した(フリをした)。
険しい顔で残骸を見下ろす翔太くんと、心底気持ち悪そうに腕をさすり身震いする燈華ちゃん。不穏な空気を残しつつ、ババァを唆していた魔王の手先……寄生型世界の闇は無事駆除されたのであった。
その後ミニマム闇くんの残骸は貴重なサンプルとして鏑木さん経由でボスに送られて、ボスから調査結果を送り返された。
ボスによれば、世界の闇はそもそも単純な暴力欲求の具現化であり、今回ババァに寄生したように回りくどい搦め手を使うのは有り得ない。しかし実際に起きている。何故か?
明確な理由はボスにも分からない。だが、ババァが魔王を倒す武器を作ろうとしている事と、ババァが寄生先に選ばれた事は偶然の一致ではないだろう、と述べた。
ババァの主張する通り世界の闇に何らかの意思が介在し(それは魔王かも知れない)、悪意を持って動いている可能性を認めた上で、ババァの今回の遠回しで生温い裏切り方から、やはり世界の闇はその本質に反する搦め手を苦手とするのだろう、とボスは推定する。
ババァが完全に世界の闇に乗っ取られていたのなら、不意打ちで翔太を殺したり、自害したりしていたはずである。それをPSIドライブ流出や赤ニシンすり替えといった迂遠な手段に訴えたのは、洗脳ではなく悪意ある誘導程度しかできなかったからに違いない。魚が無理に走ろうとして失敗したようなものだ。世界の闇が搦め手を使うのは本質的に無理がある。
最後に、残骸から残留思念読み取りで検出した世界の闇の痕跡は極めて小さく不安定で、撃退せずとも数日中に自壊していたであろうという事と、あまりに弱いため超能力者やその素質を持つ者、警戒している者にはそもそも寄生すらできないだろう、という調査結果を添えてボスの回答は締めくくられた。
要するに寄生への警戒心を持っていれば寄生されないし、超能力者は警戒すら不要=天照の構成員は今後ミニマム闇くんの寄生に悩む必要はない、という事だ。サイコメトリーは分析に信憑性を出すための嘘だ。
こうして公式声明を出しておかないと二人はずっと仲間が寄生されているのではと疑いながら生きていく事になってしまう。カバーストーリーによるメンタルケアは重要だ。
……ババァが寄生された理由だのミニマム闇くんの正体だの、後付け設定を作り放題なのは楽だが、やり過ぎると収集つかなくなりそうでもある。気をつける必要があるだろう。
ババァは寄生を受けた事による精神的疲労を癒す名目でしばらく鐘山テックへの出勤を中止し、高橋家で静養する。その間にバラ撒かれた事になっているPSIドライブの回収のフリだ。鏑木さんが金とコネで回収した事にする手筈になっている。
ババァが静養から戻るころには全て元通り。疑い、その上で信じる事を覚えた二人の心機一転高校生編が始まるのだ――――
♯
その日の夜。
服と下着を脱ぎ、髪に挿していた枝を花瓶に移し替えたロナリア・リナリア・ババァニャンはそっと浴室に入った。浴室のドアをしっかり閉め耳を澄ませる。アルヴ特有の優れた聴覚は、高橋家の住人が誰も浴室に近づいておらず、注意も払っていない事を明らかにした。
ババァニャンは浴槽に目もくれず、まずはシャワーを隅に向けて出しカモフラージュ用の水音を確保する。次に浴室の壁のタイルの窪みに指を添え、右、上、下、奥、右の順番で僅かに動かす。
すると、ロックが外れる小さな音と共にタイルが外れた。タイルに隠された空間はアタッシュケースがちょうど入る程度の広さで、そこには削りかけのプラチナの延板と、それを加工するための数種類の道具、設計図、フレームの断片が収められていた。ババァニャンは全て何事もなく元の位置にある事を確かめ、ホッと息を吐く。
この小さな秘密の空間を作るために、ババァニャンは半年の時間を要していた。この空間の事は誰も知らない。高橋家の面々だけでなく、佐護でさえも。
空前絶後の念力使い佐護杵光は、鏑木栞との約束により、女性の入浴を念力で覗く事を禁じられている。従って髪や下着に隠し少しずつ道具を持ち込み、一日三十分の入浴時間に紛れ込ませて作業を進める限り、探知不能の念力監視から逃れて事を進める事ができる。
ババァニャンは延板と工具を秘密の空間から取り出し、高速でしかも精密に削り出し始める。その動きは機械より機械的で、ババァニャンの目は真剣そのもの。
作っているのは当然PSIドライブである。それも性能を最大限まで上げ、強力な伝染攻撃機能を持たせた最強の魔王殺しの武器だ。
また一つ、PSIドライブの部品を削り出す。
鐘山テックでの研究により、既に地球に存在する超能力に最適な構造は割り出してある。設計図は完成している。後はその通りに仕上げれば良い。
不意に、ババァニャンの脳裏に佐護に秘密結社の真実を明かされた記憶が蘇る。ババァニャンは咄嗟に口を押さえた。吐き気と激しい怒りが飛び出しそうだった。
ババァニャンの長い人生でも間違いなく最大の怒りはそう簡単に消えはしない。未だにジリジリと胸を焦がしている。叫び出し、当たり散らしたい衝動をなんとか押さえ込む。
決して悟られてはいけない。秘密の計画なのだから。
協力を取り付けた安井には計画の全容は明かしていない。謎めかせた他愛も無いお使いを繰り返させそのたびに高額な報酬を支払い、味を占めさせ信頼を積み上げ、最後の一働きのための籠絡を進めるに留めている。
「……急がなければ」
ババァニャンは呟き、加工を再開した。
二十五分で加工を中断し元通りにしまい、残り五分でさっと体を洗い何食わぬ顔で風呂から出る。
風呂上がりのアイスをすすめてくる翔太に、ババァニャンは笑顔を浮かべ礼を言った。
何の邪気も伺えない、綺麗に透き通った笑みだった。




