おんななつの欲望
七つの大罪。
傲慢、貪欲、邪淫、憤怒、貧食、嫉妬、怠惰。
それらが人が持つ七つ欲望。
だが、男という性別が持つ、常に求めている、7つの欲望というものがある。
「顔!!」
……
「おっぱい!!」
…………
「可愛さ!!」
ごめん、なんか。全て。邪淫でまとまりそうだ。七つの邪淫ってタイトルに変更したくなってきた。
「家事全般!!」
そうでもないってアピールも含め
「優しい性格!!」
欲深き事である。
「○○○○○○○○」
放送禁止用語が入るので、ここは割愛。
「最後に、もっともっと求めたいので!!もう一回、7つの要望をください!!」
「おい」
◇ ◇
要望はいくらでもある。
「弓長さんは彼女がいるんですよね?」
「ええ」
弓長晶は小規模とはいえ、ゲーム会社の社長を務めている。ただし、代理という側面が強く、内部の権限を握っているのは別の人。ゲーム会社を運営するために彼が必要だった。
若くして、いちお社長であり、容姿も良い彼に、彼女がいるのは客先の女性陣にはガッカリさせられることは良くある。
「あーあ、残念です。もし、弓長さんと早く出会っていたら、猛アタックしていました」
「あはははは。そーいう後悔はありますよね。でも、私にとっても嬉しい事です」
交友関係、女性関係についての問題に対し、彼は通常の意味で困った事はなかった。
また、それを悪として使わない。故の性格の良さも優れている。
外見と中身がピッタリ一致しているという、極めて珍しい男性。故に女性達から好意を持たれる。
「カッコよくて、優しくて、年収が凄くて、仕事ができて、様々なコネを持っていて、意識が高くて、きっときっと。あなたの良いところばかり、知ってしまいそうです」
「私、そこまで凄くないです。大袈裟です」
「謙遜されるところも素敵」
本心はなんであれ、前半で詰められているだろう。複数あっても良いじゃないか。
「どのような彼女なんです?どーいったところを好きになったんですか?」
「そーですねぇ。言い寄ったのは彼女からでしたが、私もそんなところ気に入ってまして」
彼女自慢をしろって言われると、なんだかんだ照れる。
『この野郎、羨ましいぞ!!』なんて、多くの男から言われるだろうし、逆もある気がする。
弓長はあーだこーだと、並べられる七つの欲望的な事を使わず。たった一つ。真っ直ぐに輝いているところを伝える。褒められるところはそんなところ。でも、ダメだって貶す部分はとても少ない。そーいう安定した人の形を、良きところって伝え辛いものだ。
「一途に私に対して、従順なところですかね?そこが好きです。私、どっちかっていうとSなんで。相性がいいんです」
「えー!?Sなんですか!やっぱりって感じですけど!じゃあ、彼女ってどMなんですか!!」
「社蓄ではありますが、私のためだけにいるペットでもあります。可愛いです。彼女なんて言い方の方が、世間的には真っ当なんでそっちを使ってますが」
「弓長さんのペットか…………」
ブサイク、低収入、性格最悪、そんな奴の彼氏になんて成りたくないけど。
イケメン、高収入、性格良好、そんな人のペットになら成りたいもの!!
「私を弓長さんのペットとして、一緒に暮らしてもらえないでしょうか!?」
「あなた、私の職場仲間と同じ匂いがします。お気持ちだけ受け取ります」
「ですか……」
「それとその。私にとって、鶴見さんはペットです。でも、彼女も兼任です。将来の奥さんです。ペットというのは、食って、寝って、散歩させるような。主人を癒し、困らせるためだけ。そーいうのは言葉が通じなかったり、ルールを分からない小動物ぐらいが好まれます」
「……あははは。そりゃ厳しいです。ごめんなさい」
「謝らなくても良いですよ」
求めるものを本当に求めるのなら、祈りや誰かの救いよりも。己が求め続けること。
自分が嫌悪するのなら、なおさらのこと。
「励むこと、変わること。それらを止める者は私だけじゃなく、他の人も嫌います」
「はい。私も嫌ってます。縁がなくて、悲しいですけど。少し…………いえ」
運命はきっと残酷。残酷だけれど。
人って生き物は残酷な奴等ってわけじゃない。
「弓長さんと出会えた事だけでも、私は幸せでした」
どんなときでも、前くらいは向こうや。
仕事の関係で、長編を書き辛い状況です。
短編を小まめに書いて、ストレス解消を図る所存。
人手不足の荒波には勝てませぬなぁ~。