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お嬢様と謎の男たち

お嬢様の寝室の変化から何がこれから起こるのでしょうか。

「何かしら…………部屋を出るときにテラス側のドアを閉め忘れたのかしら」


 クリスティーヌ嬢は自分の寝室に入って、部屋がいつもと違う事に首を傾げた。


 そこへ突然、後ろから声が掛かった。


「お待ちしていましたよ。クリスティーヌ嬢様」


 クリスティーヌ嬢は一気に顔が青くなった。


 それはこの部屋には自分しかいない筈なのに後ろから声が聞こえてきたからだ。


「だれなんですの!」


 クリスティーヌ嬢はとっさに後ろを振り返ろうとし、首に激痛が走って自分の意識が離れていくのを感じた。


「まったく。うるさいお嬢様だ。仕方ない……。おいジョン!俺と一緒にこのお嬢様を俺たちのアジトまで運ぶんだ」


 図太い声の男がそう言った。


「兄貴…………ほ、本当にこんな事して大丈夫なんですかい」


 変わりに今度は細い声の男が答えた。


「大丈夫だよ。俺たちにはこの国でも強い見方がいるからな。さあ、さっさと運べ!」


「へい。兄貴」


 そこで私の意識は完全に途切れてしまいましたわ。






 それからその方達のアジトまではまったく意識がないまま運ばれたのですわ。


 私が目を覚ました頃にはあたりはまったく知らない狭い部屋に閉じ込められておりましたの。


 服装は攫われたときのままで幸い体は自由に動かせたので、立ち上がり部屋の中を調べてみたのですわ。


 やはり出口は鍵の掛かっている扉が1つしかありませんわ。


 窓はありますけれど、部屋の天井近くに小さい窓があり日の光を通すだけでとても人が通れるほどの大きさではないのですわ。


「どうしましょう……。ここはどこなんですの。そしてあれからどれくらい経ったのかしら。お父様は私が居なくなった事に気づいてくれたのかしら……でも日の光があるってことは朝になったってことですわよね」


 私は思考を巡らせましたわ。


 そこへ複数の足音が近づいてくるのが聞こえてきたんですの。


 足音は1つしかない扉の前で止まり、扉についている小さい扉から誰かがこちらを見ていましたわ。


 私はその者と瞳が重なって、急に怖くなり後ろへ後ずさりましたわ。


 何故……後ずさったのか分かりませんが……おそらく数々の修羅場を潜ってきた者しかやどらないような瞳をしていたのでしょう。


 その者は私がすでに目を覚ましていることを確認し、扉の鍵を開け部屋に入ってきましたわ。




 その者はよく見たら背の低い小太りの男でしたわ。そしてその後ろからひょろっとした背の高い男と身なりの良い男が部屋へ入ってきたのですわ。


 私はその者達から離れようと徐々に後ろに後ずさりしていき、壁へぶつかり仕方なしにその男達を睨み付け声を張り上げましたわ。


「あなた達はだれなんですの!私をこんなところへ攫ってきて、お父様が知ったらただじゃおきませんわよ。その覚悟はあるんですの!」


「ふん。威勢の良いお嬢様だな。それなら心配いらないぜ。お前を殺しても俺達は絶対に捕まらない」


 背の低い小太りの男が図太い声で答えましたわ。


(この声は聞き覚えがありますわ。確か…………気を失う前に、聞いた声に似ていますわ……。)


「大した自信ですのね!でもリッチモンド公爵家を甘く見すぎですわ。私に傷ひとつでもお付けになったらお父様が必ず地獄の底まで探して家族もろとも処分いたしますわよ」


「ふっ、残念だな。すでに家族なんてものはないからそんな必要もないし、お前の親父さんは俺達を探し出せないさ」


「そう、ならあなた達の目的は何なんですの!まさか本当に私の命なわけないですわよね。命がほしいならこんなところまで運ばずとも私の寝室で殺せば良いだけのことですわ」


「あんんた女にしちゃ~頭がよくまわるな……。嫌いじゃないぜ」


 小太りの男は薄気味悪い笑いをしながら言いましたの。


「それじゃそろそろ本題だが…………月の雫の在りかを話して貰おうか。俺達を謀るなよ。すぐに確認したら分かる事だからな。体に残るような傷を付けられたくなければさっさと話しな」


「ふ……ふふふ……そう……あなた達の目的は月の雫でしたの。ならお答えしてさしあげますわ。黒鷲(イーグル・ノア)にお伝えなさい!こんな事をせずとも月の雫はあなたに渡しても良かったのすが、私に傷を付けるというのなら話は変わってきますわ!さあ、聞いているのでしょう黒鷲(イーグル・ノア)!」


「はぁ?この女何を言ってるんだ。兄貴、この女……やっぱり頭がおかしいんじゃ……」


「黙れジョン!この女は頭がおかしいんじゃない。イカレているだけだ」


「兄貴……それって同じ意味じゃ……」


「まったく…………黙って見ていれば、あななた達は何をやっているんです。こんな小娘ひとりに宝石の在りかひとつ聞き出せない。こんなんじゃクライアントにお話できませんよ。報酬のお支払いもできませんよ」


「えっ!どういうことですの……あなた達は黒鷲(イーグル・ノア)の手下じゃないんですの」


「お嬢様……何を寝ぼけたことを言ってやがる。さっさと月の雫の在りかを言え!言わないと身の安全の保証はしないぜ」


 背の低い小太りの男が懐から隠してあったナイフを取り出し、私に近づきながら言いましたわ。


 私は振るえ上がり、背の低い小太りの男がナイフを私に突きつけようと腕を振り上げ、私は腕をとっさに上げ目を瞑ったのですわ。


 次に腕とかに激痛が走ると思いきやいつまでたってもそれは訪れなかったのですわ。


 何故ならいつのまにか背の低い小太りの男のナイフがあらぬ方向へ飛んでいき、男は右手を左手で庇って痛がっていたからですわ。


「まったく、心配して急いで着てみれば……あなたは本当に期待を裏切らない方ですね。クリスティーヌ嬢」


 身なりの良い男のさらに後ろから、全身黒ずくめの服装で顔にはマスクをしている男が突然1つしかない扉の前に姿を現したのですわ。


 私は目を疑いましたわ。


「何故、あなたがここにいらしゃるんですの……」


(私を攫った男達が言う事を信じるなら…………この男達と黒鷲(イーグル・ノア)とは無関係だということですわ。どうやって私の居る場所が分かったのかしら……。)


 それよりも私は助かったことにより、全身から力が抜けその場に座りこんでしまいましたの。


 黒鷲(イーグル・ノア)を見てからすごくホッとしている自分に気づき何故こんなにも落ち着いているのか自分の気持ちが不思議でなりませんでしたわ。もちろんそんなことは一切、顔には出しませんけれども。


「そうですね……。今回は親切で腹黒な友人とのコネクションのおかげでクリスティーヌ嬢の居所がすぐに掴めたというところです。まあ……あまり面白い話ではないので省きます」


 黒鷲(イーグル・ノア)は何でもないような事のように言ってましたわ。


「おい!てめーら何を勝手に話してやがる!」


 3人の誘拐犯の中で一番短気な背の低い小太りの男が喚いたのですわ。


「そうだ!おまえはどうやってここまで来たんだ!外には多くの仲間がいたはずだぞ!」


 ひょろっとした男が続いて声を張り上げたのですわ。


「それにあなたは誰なんですか。私たちの計画の邪魔をすると高くつきますよ」


 身なりの良い男も続いて質問と脅しを掛けましたわ。


「せっかちは女性に嫌われますよ。そこの小太りの人。そしてそこのひょろっとした人は良い質問をしました。あなたのお仲間たちは仲良く外で寝ておりますよ。全員ね。そしてそこの身なりの良い方の質問はナンセンスですね。この私の服装を見ても分からないとは……残念な方だ」


「黙って聞いてりゃ~付け上がりあがって!良い度胸だ。覚悟しな」


 小太りの男はあらぬ方向に飛んだナイフを素早く拾い上げ、黒鷲と対峙したのですわ。


「兄貴!俺も加勢するぜ~!」


 ひょろっとした男は懐から小さい銃を取り出したのですわ。


「はは!面白い男だ。怪盗 黒鷲(イーグル・ノア)よ。だが遊びの時間は終わりだ。さっさと奴を殺せ!」


 身なりの良い男は笑っていたのに一瞬にして怖い顔に変化させ言ったのですわ。


「ああ……分かってるさ」


 背の低い小太りの男とひょろっとした男は同時に黒鷲に遅い掛かったのですわ。


「ふう……私、普段はこういう格闘あまり得意じゃないんですけれどね…………仕方ありません。先に手を出したのがあなた方だ。お相手致しましょう」


 黒鷲も二人の男に対して応戦致しましたわ。




 最初に手を出してきたのはやはり小太りの男だった。


 右手にナイフを掴み、私から見て右側から切り付けてきたのを避けずに、右手を振りぬく前に私の右腕で右手を中から外へ弾き返した。弾き返した際に胴体へ隙間が開いたのでそのまま腹に蹴りを数回叩き込んだ。


 小太りの男が動けないうちにもう一人を片付けようとチラッと視線を左に動かせば、私から見て左側にいたひょろっとした手下みたいな奴は拳銃を構え、私を狙っていた。


 私は左手で素早く懐に入れてあったトランプのカードを一枚抜き取り、素早くそいつの手元の銃へ狙い済ましたように投げた。そうするとバーンと1発の銃声が聞こえた後、その銃は男の手から後ろへ弾かれた。


 最初に小太りの男のナイフを弾き飛ばしたのも同じ方法だ。銃が男の手から離れたのを見て、私はその男に詰め寄り、右手の拳で男の顎を下から上へ振りぬいた。これで男は脳震盪をおこし暫くの間は動けまい。


 最後に身なりの良い男へ視線を合わせた。


「なるほど……黒鷲はただのコソ泥ではないのか。詰まらん」


「そうですね。ただのコソ泥じゃすぐに警察に捕まるでしょうね。で……どうしますか。私とまだやるつもりですか」


「私を追い詰めた気でいるのかね。それは詰めが甘いというものだよ」


 身なりの良い男は薄ら笑いを浮かべながら、腕に隠してあった細い針を取り出し後ろに居たクリスティーヌ嬢へ飛ばした。


クリスティーヌ嬢はとっさのことで目を大きく見開きながら愕然として身動きがとれていなかった。


「なっ!汚い奴め。クリスティーヌ嬢、避けるんだ!」


私は叫んだ。

前回からだいぶ更新が遅れましたがなんとか更新致しました。

次回は黒鷲視点でお嬢様が誘拐されてからのお話を書こうかと考えています。

更新はまた遅れるかもです。

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