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黒鷲と王太子


クリスティーヌ嬢はアランの屋敷にてどうなったのでしょうか?

クリスティーヌ嬢がマンチェスター家に来て数日が経った。


 それからというものクリスティーヌ嬢は特に何をするでもなく部屋に閉じこもっていた。


 今は、隠れなければならないとは分かっているが…………こうもずっと部屋の中に居るのは落ち着かない。


 なんとかお菓子を食べたり、本を読んだりと暇を潰してみたがどうも性に合わない。


 できれば屋敷の周りとかを少し歩きたかったが…………意外とマンチェスター家は人の出入りが激しい。


 こんな片田舎にしてはであるが。


 勝手に外に出ては、アランに迷惑が掛かると思い、外出は思いとどまったが…………。


 アランとは朝夕時、一緒に食事をとったりするが会話はその時くらいで……あれから特に何もない。


(もう!どういうことなんですの!)


 クリスティーヌ嬢は部屋の中をぐるぐると歩きまわっていた。


(な、なんでこうも何にもないんですの?あの微笑みは私の錯覚なの……)


 こうもアランとの進展がないとこの屋敷に来た時のあの視線はなんだったのかと思いたくなる。


 普通は少しでも異性に好意があるならば、色々と食事以外にも接点をもとうとしてくるはずなのなのに。


 それとも自分は自意識過剰だったのだろうか。


 朝夕の食事では普通に当たり障りのない会話をしていたと思うが……。


 特に嫌われたような素振りもないし。


 クリスティーヌ嬢は悶々としながら部屋の中にいた。


 そんなとき部屋の扉からノックの音が聞こえた。


「クリスティーヌ様、ローズです。入ってもよろしいかしら」


 アランのお母様の声が扉の奥から聞こえてきた。


 クリスティーヌは慌てて、扉を開けて微笑んだ。


「もちろんですわ。どうぞお部屋へお入りになって。ちょうどお話相手がほしいと思っていたところですの」


「あらまあ、良かったわ。では侍女にお茶とお菓子を持ってこさせてお茶会をしましょうw」


「まあ、嬉しいですわ。ではソファーへお座りになって」


 2人はクリスティーヌ嬢の部屋でお茶会を始めた。


「クリスティーヌ様。どうです。数日経ちましたが、我が屋敷は慣れてきましたか」


「ええお陰さまで、恙無く暮らさせて頂いております。感謝しておりますわ」


「そうならいいのですけれど……。ここ数日少し気分が落ち込んでいるように見えたので何かあったのかと思っていましたわ。何かアランとありまして?」


「え?ど……どうしてそう思われたのです。別にアラン殿とは何もありませんわ」


「あら……何もないの?本当に何も?」


「ええ……本当に何も……」


「もう!あの子ったら何をやっているのかしら!こんな可愛いご令嬢をほっとくなんて」


「いえ。そんな……アラン殿は良くして頂いてます。ここへお世話になることもアラン殿のおかげですし」


「いいえ……。あの子はこの家の次期当主なのです。いくら仕事が忙しいからとこんな可愛いご令嬢をずっとほっとくなんて許せないわ。私の方からも言っておきます」


「いえ、そんな……。今は色々と身を隠さないと行けないですし。この姿ではすぐに身元がバレてしまいます。だから外出も控えているのです」


「あら!確かに……。でも数日もずっと部屋に引きこもっていたら良くない…………。そうだわ!良い事を考えた。あの手ならアランも少しはクリスティーヌ様の相手もできるし、外にも出られるようになるわよ」


「え?ローズ様。それはどういうことなんですの?」


「うふふ。ちょっと待っていて。侍女に準備させるからwああ……久しぶりに腕がなるわ!」


「え…………それはどういう意味で…………」


 クリスティーヌはローズの話を聞いて途端、不安になった。


 これから何をするのだろうと…………。




 ローズがクリスティーヌ嬢の相手をしている間にアランにはまたしても厄介な客が訪れていた。


 アランの屋敷内の客室にその客は居た。


 そう、つい数日前に自分を捕まえろと言った悪友のアンジュー皇太子殿下様だ。


 クリスティーヌ嬢が居るのをバレると面倒なので母に相手をしてもらい、万が一の為に部屋へ留めておいてもらっている。


 アンジューはにこりと微笑んで先日の事などは微塵も感じさせない程、フレンドリーに話しかけてきた。


「やあ、久しぶり。アラン、調子は最近どうかね。色々と忙しかったようだけど?」


「ああ……。誰かさんがくれた情報で助かったが、その分面倒事が増えて大変だったよ」


 ここで怒鳴るのは色んな意味でムカツクのでアラン同様に何事もなかったように話そうとしたが、うまくいかなかった。


 苦虫をつぶしたような顔になった。


「そうかいwそれは大変だったね。実は、前に提供した情報の見返りとして1つお願いごとがあって来たんだよ」


「何を言っているんだ。そんなの知らん。自分でなんとかしろ」


「いやいや。そこを何とかって……まだ話の内容も聞いていないじゃないか」


「お前が持ってくる話は面倒事しかない。だからこっちにもってくるな。自分の部下を使え」


「いやいや、話は最後まで聞いた方が良いと思うよ」


「どう言う意味だ。分かる様に言え」


「私のお願いを聞いてやってくれたら、クリスティーヌ嬢の件で便宜をはかってあげるよ」


 王太子殿下はにやりと人の悪い笑みを浮かべて言った。


 アランは一瞬だか目を見張った。


 思いもよらない提案だったからだ。


「な、何を言っているんだ。それに便宜とはどういうことだ?」


「うふふ。分かっているだろう。クリスティーヌ嬢の免罪の件さ。彼女は何も知らなかった被害者なのにあいつと一緒に罰せられるのは君も良しとは思っていないんだろう?アラン……いや……黒鷲」


 アランはふっと笑った。


 なるほど……何もかもお見通しってわけか…………本当に嫌な奴だ。


 俺が黒鷲だと分かってあの資料も、クリスティーヌ嬢の件に関わっていたってことか。


 あいつの手のひらの上で踊っていたわけか……おれは……ちくしょう。


 覚えていろ……必ずこの仕返しはさせてもらう。


 だが、ここまでくれば、隠す必要もないなと思い本音でアランは話し出した。


「で……何をするんだ。」


 アランの諦めの声を聞き、アンジューは清々しい笑顔になった。


「おお!話を聞いてくれるのか!さすが私の悪友だw」


「別に……聞きたくて聞いているわけではない。仕方なくだ。黒鷲の件の口止めとクリスティーヌ嬢の便宜を図ってもらう為に一時的にお前と手を組むだけだ!いいか、一時的にだからな!」


「ああ……それでもいいさ。まずは話をしよう!」




 アランとアンジュー殿下は客室でお茶を飲みながら話し始めた。


「実はね。近々、王宮で私の一大イベントがあるんだよ。まだオフレコの話だから、外部に漏らさないようにね。もし、漏らしたら分かっていると思うけど……君たちの一族がどうなるかわからないからね。」


「そんな脅しをしなくても、そんな話はしないさ」


「そう、良かった。まあ、念には念をね。ということで近く私はあるご令嬢と婚約発表をする予定なのだよ」


「でその話とおまえのお願い事は何なんだ?」


「そこでね。そのイベントの際に良くない事が起きそうな情報を掴んでね。できればそのご令嬢の周りを少し調べたりしてほしいんだ。実はそのご令嬢の事は顔すら見た事もなければ、声も聞いたことがないんだ。どんな人か気になるだろう?まあ、調べさせてもいいんだけど…………表面上しか分からないからね。でできれば内面とかも調べてもらえると助かるなと思ってアランにお願いへ来たんだよ」


「やっぱり……碌な事じゃないな」


「ね。頼むよ。私の周りは男の部下しかいないんだよ。君みたいに綺麗なご令嬢がいるわけじゃないんだ」


「おまえ……まさかクリスティーヌ嬢にその件を頼もうとしてるのか!」


「やっと気づいてもらえたか。そうだよ。男の君じゃ僕の婚約者には近づけないだろう?」


「あのな……そんなお願いは私ではなく彼女に頼めばいいだろう!なんでこっちに話を持ってくるんだ!」


「だって居場所しらないもん。」


「しらないもんって……まあ、確かにそこまではバレてはいないんだな」


「だから君へお願いに来たんだよ。彼女に話をしてみてくれないか?」


「それは本人へ聞いてみないと何とも言えないぞ」


「まあね。でも話をするだけでも価値がある話だと思うよ。何時までも隠れて暮らすわけにはいかないだろう?」


「確かにそうだが……」


アランは確かにこの話を悪くないと思った。


王太子殿下の婚約者の身辺調査くらいならなんとかなりうるだろうが・・・・その分危険が伴う。


それを分かってて言ってるんだろうな……この腹黒殿下は……。


さてどうしたものかとアランは悩んだ。

また腹黒王子登場w

アランはまた頭を悩ませる事態へ


更新がまた遅くなると思いますが、気長にお読みいただければ幸いです。

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