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お嬢様とメイド

さてアランの屋敷にてお世話になることになったクリスティーヌ嬢はこの後どうなっていくのでしょうか。

アランとクリスティーヌ嬢は暫くアランの両親達と談笑をした後へメイドに客室へと案内された。


「クリスティーヌ様。こちらがクリスティーヌ様のお部屋になります」


「ありがとうですわ。あなたのお名前は何と言うんですの?」


「申し遅れました。私はこの屋敷のメイドをしております。エルザと申します。何か足りないものやご用がありましたらそちらの鈴でお呼び下さい。すぐに参ります」


「わかりましたわ。これから宜しくお願い致します」


 クリスティーヌ嬢はエルザに向けて微笑んだ。


 メイドのエルザは執事のレイモンドが選んだだけあって、私と歳も近くみえるわ。


 容姿も金髪の髪をアップにして後頭部の高い位置にきっちり綺麗にまとめあげられているし。


 体形はほっそりしていて背が平均より少し高い印象がありますわね。


 気立ての良さそうな娘だこと。


 でも何となく普通の娘とは少し違う感じがするわ。何故でかしら?


 首元はここのメイド服なのかきっちりと首元が隠れていて、こころなしか体形が少し筋肉質な感じするし。


 どこか異質な感じがするわ。


 でも会話はいたって普通のどこにでもいるようなメイドですし。


 クリスティーヌ嬢は内心、首をかしげたが人様の家の使用人に口出すことはないと思いそのまま記憶の彼方に消えていった。


 エルザは微笑み返し、部屋を出て言った。


 それを見届けるとアランは私に夕食まで時間があるからそれまで部屋でゆっくり休むようにと言っただけで部屋から退出したのですわ。


 私は与えられた部屋を見回した。


 いかにも貴族の部屋の客間と言うようにブルーの花柄の壁紙に天蓋付きのベットへ赤い絨毯に調度品は全て白で統一されていて備え付けの机には季節の花が添えられていた。


 私は近くにあるソファーへ座り、安堵のため息をした。


 ここ最近、私の近くでは目の回るような出来事ばかり起こり、少し疲れを感じたので落ち着けるところができてアランには感謝と少しの怒りと期待が変に混ざったようななんともいえない感情が芽生えた。


 夕食までに少し時間があったので、その疲れを癒すためにソファーから立ちあがり、天蓋付きのベットでクリスティーヌ嬢は横になった。




 クリスティーヌ嬢のいる客室から出たアランはそのまま自分の執務室に戻った。


 さっそく執事のレイモンドを部屋に呼んで事の顛末を話し出した。


「アラン坊ちゃま。ご無事でなによりです。それにしても坊ちゃまのご友人がまさか王太子殿下だったとは驚きでございますね」


「レイモンドもやはりそう思うか。まったくあれを友人と言って良いのか私にはわからないがあまり読めない奴だからな。もうあまり関わりたくないな。危うくあいつのせいで捕まるところだった」


「左様でございますね。今後はなるべく注意するように使用人たちにも言い聞かせておきましょう」


「ああ。そうだな。頼む。今はクリスティーヌ嬢がいるからな。あいつに見つからないように世話を頼む」


「畏まりました。精一杯、おもてなしをさせて頂きます」


「ああ、それとメイドのエルザだ…………気をつけるように言っておけ。まあ、バレることは無いとは思うが念の為だ」


「わかりました。エルザにはそのように言っておきましょう。ではご用事が以上であれば、私は下がらせて頂きます」


「ああ、宜しく頼む」


 アランがそういうとレイモンドは執務室から出て行った。






 レイモンドは自分に与えられた部屋へ戻ると使用人にメイドのエルザを呼ぶように言った。


 ほどなくしてメイドのエルザがレイモンドの部屋のドアから声をかけた。


 レイモンドは入るよう命じた。


「それでレイモンド様、私に用とはなんなんです?」


「エルザ何時までそんな高い声を出しているんだ。普通に話せ」


 エルザはフッと微笑むといつもの声音とは一段低い声で話だした。


「あら、こっちの声の方が女性っぽく聞こえるから好きなのにw」


「今は2人だけなのだから、そんな声は出さなくていい。それとクリスティーヌお嬢様はどうだ?」


「もう!さっき顔合わせが終わったばかりですよ。そんななんでもかんでも感想なんてないですよ」


「いや……そう言う事を聞いているんじゃないんだが……。ときたまお前の事が読めなくなる」


「そうですか。他の人からは良くわかりやすいって言われんですが……。まあ、第一印象そんなに悪くは無いですよ。上流貴族のお嬢様だからもっと高飛車な感じがするかと思ったらそうでもないし。まあもう少し観察させて頂いて、報告しますわ」


「ああ……しばらくは色んな意味で監視を頼むと坊ちゃんからの伝言だ。あとお嬢様は何かと感が良いからバレるなともおしゃっていた。」


「あらら……坊ちゃんはもうそこまであのお嬢様にご執心なんですか……。これはじっくり観察しないといけませんわね」


「そんなにやけた顔でお嬢様に接するなよ。話は以上だ。仕事に戻れ」


「は~い。かしこまりました~」


 エルザはそう言うと部屋から出て仕事に戻った。


 レイモンドはため息をつき、これからのこの屋敷で問題が起こらない事を願った。




 その頃、王宮の王太子執務室では黒鷲がクリスティーヌ嬢と行方不明なってからの事後処理に追われていた。


「はあ……。あいつも面倒な事をしてくれたものだ。大人しく捕まればこちらの手間も省けたのに。まったく最後の最後で私がしくじるとは!」


「殿下それは仕方ありませんよ。相手が殿下より一枚上手ってことで。早くその書類のサインを下さい。愚痴を言っても書類の山は減りませんよ」


「う……うるさい!わかっている!言われんでもサインするわ!どうせアランの家に行ってもすでにあいつがクリスティーヌ嬢を隠した後だからまた探すのにも人手に手間もかかる。この件はここで終いにするぞ」


「はっ、殿下がそうご判断したのならそのように。この件については部下の捜査も切り上げます。では弟君たちの件はどうなさいますか。なにやら不穏な事をしそうな情報が部下から上がってきておりますが」


 王太子のアンジューが大きなため息を吐いた。


 報告を上げてきた側近も苦々しい顔をしている。


「またなのか!あの弟どもは碌な事を考えんな。さて、どうしたものか…………」


「ええ、あの弟君たちも懲りないようですね。あれだけ殿下に嫌味や嫌がらせをされながらも毎回よくやると思いますよ。そこは殿下が気の毒なくらいに」


「わかっているなら。なんとかしてくれ。最初は弟たちの悪戯や後ろにいる妃たちの嫌がらせかと思っていたが……だんだんと酷くなり、後始末をする私の身にもなれ。そろそろ本格的に対処しなければならなくなってきたぞ。」


「そうですね。もう少ししたら王宮でも大きなイベントがありますからね。それも殿下の」


「ああ……。そのイベントが終わるまでは何としてでも弟たちには大人しくしていて貰わねばならん。でないと……後がまた面倒くさくなるぞ」


「そうですね。それはなんとしても弟君たちの計画を知る必要がありますね。もう少し情報を集めてみましょう」


「ああ、頼む。こちらの方は至急の案件だ。でないとまたあの令嬢に愚痴られる」


「あはは……殿下のまわりって本当に個性的な方たちがいらしゃいますよね」


「笑いごとではないぞ。あの令嬢の話長いのだ!私は公務で忙しいというのに!」


「殿下……心の声が駄々漏れです。相当嫌なんですね」


「当り前だろう!誰が好き好んでそんなことを!あっ!良い事を思いついたぞ!」


アンジューは悪い事を企んでいるような顔になった。


「殿下・・・どうみても良い事ではなく、悪い事を企んでいる顔ですよ・・・」


側近は殿下の言葉にまた自分が振り回されそうな嫌な予感がした。

昨年は忙しくあまり更新ができなかったので、今年はも少し頑張りたいと思います。

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