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序曲

あなたはこの世で一番美しいものを見たことがありますか?


それは道端に咲いている花ですか?

それとも大きな宝石ですか?


あなたが思う美しいものとは・・・・

さて皆さんはこの世で一番美しいものは何だと思うかね?


 道端に咲いてる一輪の花かい?それとも何カラットもする宝石かい?


 ああ……若い女性とか美術館にある絵画や骨董品とか…………。


 まあ人それぞれ価値観というものが違うからね。


 私は今じゃもう70を超えるお爺さんになってしまったがね……。

 

 これでも若いときは美しいものを盗むことを生業としていたものだ。


 私の家は古くからの貴族の家だったんだが時代が経つにつれて落ちぶれていたんだ。


 そして私の曽祖父がこれではこの一門を守れないと考えたんだろうね~。


 何を思ったか人様の物を盗んでそれを売ってお金を儲けようとしたんだ。


 曽祖父は幼いころからやんちゃで手がとても器用でね。


 青年ぐらいに成長するともう玄関の鍵を開けたりするのなんて朝飯前な腕前だったんだ。


 それを自分の息子にも教え込んでそれを生業にして生きていくようにと言ったらしい。


 だが私の祖父はそれを最初は拒んだらしいんだ。


 何故かって?


 そりゃね~人の物を盗むって言うのは悪いことだとは小さい子供だって知っていることだろう。


 でもやっぱり生きていくためには背に腹はかえられなかったんだろうね。


 結局は盗むことにしたらしいけど決して貧しい人からは盗みをしなかったのさ。


 そう全てお金持ちか美術館からしか盗まなかった。


 それが盗むときのポリシーらしい。


 私もそれを習って貧しい人からは物は盗まなかったし、人を殺めたりもしなかった。


 今の時代みたいに誰かが誰かを殺すことは何時の時代でもあるものだからね~。


 それでも私は……。一族はそれだけやってこなかった。


 これだけは胸を張っていえるだろう。




 おっと……話がそれてしまったね。


 話は最初に戻るがこの世で一番美しいものと言えば何を思い浮かべるかね?


 私はねこの歳になるまでいくつもの美しいものと遭遇してそれを頂いてきた。


 その中でも私は人生の中でこれほどまでに美しいものを見たことはなかった。


 それは私がやっと怪盗家業に慣れてきたころのことだった。


 その日のことは今でも鮮明に覚えている。


 そう今宵のように月が満ちている夜だった。


 私は自分の書斎にある椅子には深くもたれ、ガラス張りの窓の外へと遠く視線を彷徨わせた。




 今から約50年近く前のことだった。


 先ほども行ったとおり、ちょうど満月の夜で雲ひとつない日だった。


 その日は国でも有名な美術館からとても有名な絵画を盗み逃げるところだった。




 ジリジリジリーン――――ッ。


 突然美術館内の警報のベルがけたたましい音をあげて鳴り出した。


 そこへ大人数の人だかりが何やら館内で何かを追いかけるような足音が聞こえてくるではないか。


「しまった……絵画を盗まれたぞ。怪盗 黒鷲(イーグル・ノア)が現れたぞ!みんな奴を探せ」


「おーい!あっちに行ったぞ――――っ。捕まえろ!決して逃すなよ」


 黒鷲(イーグル・ノア)は全身黒ずくめでよく小説に出てくる怪盗みたいなカッコをしながら黒いマントを優雅に翻し、にやついていた。


「フン……私がお前らごときに捕まるわけがあるまい」


 私は後ろから追いかけてくる警官どもをあざ笑うかのようにかわし、3階建ての美術館の最上階の広いフロアーに出た。


 だがその部屋は今入ってきた入り口以外に逃げ場所が無かった。


 ただ逃げ場所があるとすればそれは部屋の西側にある大きなガラス張りの窓だけだった。


 しかしこの最上階から地上まではかなりの高さがある。


 とても人が飛び降りられる高さではない。


 警官たちは追い詰めたと思いジリジリと私に忍び寄ってきた。


 だが私も馬鹿ではない。


 そんなことは百も承知である。


 そんなことは露にも知らず警官たちは獲物を捕らえたかのように言った。


「さあ、もう観念しろ黒鷲(イーグル・ノア)よ。逃げ場はもう無いぞ。おとなしく捕まれ」


「フッ、そう簡単に私が捕まるとでも?逃げ場が無いなら作ればいいだけのことさ」


 私は踵を返し、部屋の西側の大きなガラス窓へ向かって突進した。


 ガッシャ――――ン!


 美術館の最上階の窓を蹴破り、私は外へ飛び出した。


 そしてもともと背に隠してあった大きな布みたいなもの(今で言うパラシュウト)を開き、近くの家の屋根へ飛び移ろうとした。


 警官たちは最上階の蹴破られた窓から呆気にとられながら見ていた。


「そんな馬鹿なことが…………。ありえん……あいつは魔術師か」


 口々に警官たちは呟いた。


 だがその警官たちの中で唯一追手の手を緩めなかったものがいる。


 それがロナウ警部補という男だった。


 彼は昔の古臭く上から下までボサボサとしているオヤジみたいな警部補ではなく金髪長髪の美男子と言えるようなとても若い青年だ。


 見た目だけならば、どこかの軟弱そうな貴族の御曹司にでも見えるが、この歳で警部補というのだからそれなりにキレるし捕まえる腕もいい。


 ロナウ警部補は腰から拳銃を取り出し、私に照準を合わせて引き金を引いた。


 バ――――ンバン!という何発かの銃声の音が聞こえる。


私は慌ててその銃弾を交わそうとしたが運悪くその中の一発が私の肩に当たった。


私はバランスを崩し地上へと落下していった。


今盗んできた絵画とともに私の体は地に叩き付けられ、私はそのまま意識を失った。

完結できるように頑張ります。

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