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白百合の姫君  作者: オダジョリ・ギー
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序章

オフィスラブ~それは働く者達にとって最高の報酬であり、時には人を狂わす最大の毒薬でもある。今宵もまた、心と身体を磨り減らした戦士達がお互いを癒すために愛を育んでいた。


「あぁ・・・貴女の唇、熟した果実のように甘くて美味しいわ。このまま蕩けて無くなりそうなくらいに。好きよ、玲奈・・・」


「ぶ、部長・・・私も、部長の事・・・大好きです。」


あぁ、なんて可愛いのかしら。口付けを交わし舌を絡めただけで顔を真っ赤にして火照っている。甘色のショートカットで癖ッ毛。童顔で身体も平均的な女性よりもかなり小さく、少女服を着れば小中学生に見間違えるほどに幼い容姿をしている。


「ふふ、でもここはまだ、実ったばかりの青い果実のようね。」


「あぁ・・・ダメです・・・そんなところ、触っちゃ・・・」


見た目通り、性的な経験が全く無いらしい。膜もまだある。触る度に小さな身体を震わせながら捩る。危ないわ。本気でこの娘を好きになってしまいそう。


「やっぱり今年の新入社員は当たりね。私好みの美少女が多いし、時代なのか経験の無い娘が多いわね。ふふ、彼女達の白いキャンバスを私色に染め上げることを考えると気分が高揚してくるわ。その中でも玲奈ちゃんはイチオシだわ。」


鳥籠の中の小鳥たちをどのように可愛がろうか思案しながら私はデスクに戻った。


「先輩・・・」


帰り支度を済ませ、会社を出ようとしたところに思いもよらぬ来訪者が現れた。


「可憐!?あなたどうしてここに!?香港で行われている会議に出席しているはずじゃ・・・」


彼女は私の後輩の伊万里可憐。新規案件のため香港支店に出向させていた。その彼女がなぜ東京の本社にいるのか理解出来なかった。


「先輩・・・さっきの娘は誰ですか?」


「え、あ・・・あの娘はその・・・」


どうやら玲奈との情事を見られていたらしい。


「いつも言ってくれていたじゃないですか・・・私には可憐しかいないって・・・愛してるって!」


「そ、そうよ!私には可憐だけ!可憐だけを愛しているわ!」


頭が真っ白になってしまい何も考えられなかった。まるで浮気がばれ見苦しく言い訳をする夫さながらの典型的な文句を口に出すことしか出来なかった。


「だったら・・・私と一緒に・・・死んでください・・・」


可憐が言葉を言い終わった瞬間、私の腹部に刃渡り20㎝ほどの包丁が刺し込まれた。刺し終えた今も柄を強く握りしめている可憐を、激痛と出血で意識が朦朧としながら持てる力を振り絞り押し退け距離を取ろうとした。しかし、力無き抵抗は虚しく、私は身体中を刺され血の海に倒れた。


「か、可憐・・・な・・・んで・・・」


血まみれの包丁を握りしめ、笑いながら泣いていた可憐を見つめながら意識が途切れた。




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