プロローグ
何がいけなかったのかな?
どうすればよかったのかな?
考えることはいつも同じ。
幼い頃に母をなくして、父親が新しく連れてきた母親は、私のことが嫌いらしく、毎日暴力を振るわれる。
父はそんな私には興味がないらしく、仕事から家に帰ってきたことはない。
父の再婚相手には連れ子がいて、母はその子達を溺愛している。
連れ子は、二人いて、私より2才年上の姉と、私より1才年下の弟がいる。
母親と同じく、その子たちは、私のことが嫌いらしく、毎日嫌がらせをされる。
姉と弟は優秀でおまけに、容姿もいいので、どこまでも平凡なスペックしかもたない私は周りからも本人達からも劣ると比較されてきた。
家族は誰も家事をしないので、家事は私の仕事だ。これがなければ、多分もっと酷かったと思う。
とはいえ、割りとお金持ちの部類に入るわが家では、私の存在意義もそのうちどうなるかわからない。
扱いは完全に都合のいい家政婦・・・下手をすると奴隷かなんかに思われてそうだ。
そんな私は、いつしか心を閉ざす以外に自衛の手段がわからなかった。
黙って大人しくして、都合のいい存在である。それしかないと思った。
そんなこんなで気がつけば高校生になり、そして・・・彼に・・・一条正也に出会った。