始まり?
俺は自称アーサーに異世界転移された。
知らない町。俺の事情なんてお構い無しという……
「ようこそ、空木神人君。私の世界に!」
そんな能天気に笑顔で言う自称アーサー。
よく見たらワンピースから鎧になっている。
着替え早いね!
「ねぇ、学校が有るのだけど間に合うの?」
「ガッコウ?あぁ、神人君が居た世界の話かな?」
「はい、俺は学生なので……」
もう、帰って寝ときたい。学校に行くといって家に帰って寝る。
これで話を進めよう。
「率直に言うと元の世界には戻れないわ。神人君には私のパーティーに参加して、魔王を討伐してもらうよ!」
「……う…嘘だよね? 元の世界にはちゃんと戻れるよね?」
「嘘じゃないよ! 私は嘘つかないし、気にしないで頑張って行こう!」
「んな、理不尽な話があるか!!」
俺はキレた。自称アーサーは少しびっくりしていた。
「おい、自称アーサーさん、貴女は勝手に人を異世界に連れてきては、魔王討伐に参加すれと!? ふざけんなよ? 俺の気持ちなんて考えたのか? 俺はいつも通りいつものように変わらない日常を送りたいんだよ。こんな勝手が許されると思っているの?」
「……」
黙り込む自称アーサー。
「……私には…私には今仲間が必要なの、でも貴方を無責任に巻き込んだ。……わかったわ。貴方が私と一緒に魔王を討伐したら、貴方を元の世界に帰すわ。空木神人君」
悲しそうに言う自称アーサー。
ズルいよ。そんな顔をするのは……
「はぁ、わかりました。魔王討伐には協力します」
パァ~と表情が明るくなる自称アーサー。
「ただ一つだけ聞いて良いですか?」
「ん?なにかね?」
「なんで元に世界には戻れないと嘘ついたのですか?」
「私の力では戻れないわ。嘘は言ってないと思う?」
なんで自分で言っといて疑問系なのか……
「どうやって戻るのですか?」
「それは、あの人に頼めば大丈夫だよ! それよりも、私をお前や自称アーサーだなんて呼ばないでね!? 」
「わかったよ。アーサー。それであの人って誰?」
「それは、追々話すとして。さてと、私はこれから王都の方に行かないといけないから、はい、これ!」
彼女は巾着袋のような物を渡す。受けるとかなりの重みがある。
「これは?」
「これは、二日分の宿費と武器代とギルドの入会金だよ! 冒険者ギルドはこの道を真っ直ぐに行ったら有るから。それじゃ、私はこれで!」
「えっ、ちょっ……」
「あ~、そうそう足りない分は自分で稼いでね? それじゃ、一ヶ月後に迎えに行くから」
嬉しいに話を言い終えると彼女は、青いオーラを纏い空へ飛んで行った。
……
一人取り残された俺。
えっ、どうしよう? 一ヶ月後? 一ヶ月後ってなに?
あの女は人を異世界に連れてきて、放っておくのか? しかも、具体的な説明は何もしないまま……
次会ったと時は、覚えておけよ!?
……怒っていても仕方ない。とりあえず、ギルドに行くか……
俺は、途方に暮れながらギルドに向かって歩く。
不安しかない異世界のお話が始まる。
いや、マジで帰りたいよ……
だいたい、周一のペースで行けそうです。
次回も頑張っていきます!