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【詩集】日常から

シルバースプーンの魔法

作者: につき

それぞれが思い思いに過ごしている

地下鉄の車両の中である

わたしは座っている

隣に若い魔女が二人座った

何故魔女とわかったのかというと

結局そうだったから

気まぐれな彼女らの姦しい呪文の詠唱が終わった時

車両の中の人々は皆、経済動物になってしまった


例えば

でっぷりと太ったスーツの中年男はブタになり

逞しい半パンの若者はウシになり

痩せすぎの派手な老女はニワトリになり

他の皆もそれぞれ似つかわしい動物になった

わたしは何になったのかって?

それは伏せておくことにする

でも、脈絡なく突然にそうなったのではなくて

こうなるにはなるべくしてなったかのように

兆候ははっきりとあった


例えば

運ばれるためのエスカレータを

駆け上がりまたは駆け下っていた

それは生き死にを急いでいたのではなく

ニンゲンに飼い馴らされて躾けられた行進であった


しかし

魔女たちが窓に映った動物たちをくすぐれば

その魔法は解けて

生まれ変わったニンゲンらしさを取り戻す


なんだか頭が軽くなったな

なにか悩んでいたような気がするけれど

生きているんだから生きていいのだから

いいじゃないか


最寄り駅までに

ニンゲンに戻れた者は

少し幸せになるかもしれないけれど

戻れなかったものも

案外今までと変わらないかもしれないな

お読み頂いてありがとうございます。

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