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ロヴィーナ・ピャネータ  作者: ビィ
1/3

プロローグ ーロヴィーナー

生命の栄華は必衰をもたらす。

恐竜

哺乳類

……

絶対王政

ナチスなどのファシズム

アメリカの覇権主義

一時期の栄華

全ては新たな栄華をもたらして衰え

その栄華もまた同じように退化を辿っていく。

人々はその瞬間を「終焉」と捉えた。

そして、それは魔法の言葉として

人々に恐れられてきた。

だが、実際はどうなのだろうか?

過去、現在、未来

この世界に「終焉」など存在するのだろうか?


ーーーーーーーーーーーーーーー


2097年 11月26日 13:47

イタリア某所


私はその瞬間を見ていた。


建物内に鳴り響くサイレンと人々の悲鳴と奴等の勝ち誇った雄叫びが耳で唸りながら不協を奏でる。


目の前の視界が揺らみ、少しずつ意識が遠のいているのを感じていた。


苦しげな息をあげ、心臓が鼓動を激しく打ち付けている。


既に私は片足を無くしている。もう立ち上がる気力も残っていない。


奴等に食われぬよう、走って走ってここまで辿り着いた。



というのに……


多くの人がその痩せこけた胴体を、「奴」の細長い腕で挿され、引きちぎられ、ハサミのような口で食われていった。


その時に発せられるあの生臭い音は未だに耳から離れられない。


妻とずいぶん前に奴等の餌となってしまった。


顔は見れなかった、いや、見たくなかったのかもしれないな。


ーどんな顔で死んでいったのだろうが。


そして、私にもその時が来ているようだった。


先程から私が隠れている部屋のドアを誰かが叩いている。


誰がではないな。「奴」が、だな。


一体どうやって見た目からは想像も出来ないパワーを出しているのか。


あぁ、どうやら、どうでもいいことを気にするようになってしまったらしい。



あの子は無事に逃げられただろうか。


この部屋じゃ窓がないから、空を確認はできない。


まぁ、もう遠くまで行っているだろうから見ることはもう無理か。


彼女は最後まで私の前で笑ってくれていた。


いつもと同じだった。


もし今彼女が私の目の前にいたら抱き抱え、頭を撫で、パパだよと言ってあげたい。


ーだがそれが出来ることは、もうない


自然と涙が溢れた。


死にたくない。心ではそれを、覚悟していても拒否してしまう自分がいる。


蘇る思い出を頭で振りきりながら、壁にもたれる。


どうやら終わりが来たようだ。


奴等がドアをへし折って中に入ってきた。ドアにもたれていた私は床に投げつけられた


奴等はその体格からは合わない大きな頭をこちらに向けうでの先についているハサミを煩くならしながらこちらへと向かっている。


奴等にこの涙はどう見えているのだろうか


奴等はこれを見て、笑っているのか?それとも同情でもしてくれているのか?


やはりそれは一瞬のうちであった


奴等のうち、一体が私に腕を突き刺した。体が大きく前傾姿勢になり、吐血した。私の中の音声と映像が途絶えた。


案外楽なものなのだな。実感など何処にもない。ふわふわとした感じだ。


奴等は今、私の何処から食べるか考えているはずだ。タンパク質は豊富だが、骨は太いから気を付けた方がいい。


少しずつ、思考も途絶えようとしている。


生きろ、決して負けるな。人類に「それ」が来ても逃げてはダメだ。


君は強い子だ。必ず君についてくる人がいるんだ。


私の分まで頼む。


そこで、私の思考は途絶え、私という人物は終わりを迎えた。

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