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礼儀正しいクマと大らかで慌てもののサイ、二羽の燕

作者: miliku

 例えばの話。


 昨日、雨が降った。


 だからぼんやりした朝の光で目が覚めた。


 部屋の中は静かでひんやりとしている。太陽は霧の向こう。




 まだ、すこし眠い。




 頭も身体もボンリとしているのは、最近の考えごとのせい。


 生温かい霧が、近くの川から立ち昇って、あたりに溢れている。


 その光景 は、まだ私の目には見えない。私は仄暗い部屋でまだぼんやりとしている。




 ぼんやりとした光の中で四つの可能性、四つの未来について考える。


 お風呂に入る。湯気の中で、すこし痩せた足。二の腕。


 それをぼんやりとみている。それでまたぼんやりと胸が痛む。あたまはチクチクと痛む。





 素手で、もちろん一人で戦わない。


 そもそも争うとしないこと。


 機会を伺うこと。


 自ら傷つこうとなんて考えないこと。


 投げ出さないこと。





 簡単に言わないで





 服を着て、身支度を整えることを考えようとするすこし前。


 いつか四つの未来のうちの一つを選ぶことをぼんやり考え、また布団を被って横になる。




 テレビをつける。




 霧深い山手通りからの中継です。


 礼儀正しいクマと、大らかで慌てもののサイが坂を下っている。


 そのまわりを二羽の燕が鳴きながら飛んでいる。




 思いの外、静かな中継です。




 柔らかい光が、窓から私の部屋に入り込む。




 クマとサイと燕を迎えにいくことにした。




 その前に、彼らに振る舞う温かい朝ごはんを私はつくることができることに気がついた。




 私は彼らを迎え、家に招くことができる。



 私は自分で5つ目の未来を選ぶことができる。



 クマとサイを味方にできるのと同じように。つがいの燕が導くほうへ。




 だから朝ごはんをつくり身支度をして出かける。




 その前に私は自分のために、温かいごはんをつくり、食べようと思う。



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