◇◆第一章◆◇
重たい瞼を開く。空が朝日に照らされ輝いている。
こんな朝を繰り返してもう何度目なんだろう。
人気の無い古い家。軽く髪を整え外に出る。外も一切、人気が無い。
「…何日経っても、やっぱり寂しいモンだな。」
問い掛ける様に呟くが言葉を返す人はいない。
この地球には恐らく俺しか残っていないだろう。
随分と前にどっかの偉い科学者だか政府だかが地球がもうすぐ滅ぶだどうだと騒ぎ人類は皆、どこかの遠い惑星に移住してしまった。
俺も当然、移住を考えたがその頃読んだ本に地球が滅ぶことはまず無い。と書いてあったから移住はしなかった。今考えれば随分と馬鹿な選択をしたのかもしれない。しかし他の人々が移住に成功したかというと実のところ不明だ。
人々が移住するときに発電所はとうに運転を停止したから情報が一切入ってこないのだ。
「…水でも汲みに行くか。」
いくつかの容器を持って歩く。
人がいないと言うことはさっき言った電気の様に、ガスも水道も止まってしまったために自分でなんとかするしかないのだ。
昼になるくらいまで歩くと割れたアスファルトの道から草原に入った。そして湖が見えてきた。
相変わらず綺麗な湖だと思う。
人の手が加えられていない場所。山が並び、風で湖と草原がちいさく波を立てる。
あぁ、やっぱりこの風景はいつ見ても素晴らしい。歩き疲れたし、少し休憩しよう。
草原に寝転がる。風が頬を撫でる。気持ちいい。
このまま少し寝てしまおうか。少しだけ....。
そして少年は心地好い睡魔に誘われ眠りについた。