−愉快な怪盗団の脱獄大作戦!!−
−−メイ−−
ウチは曲がりくねった裏路地を出ようとした。
しかし、目の前を監視員のかたまりが目の前をよぎった。
「この辺のはずだ捜せ!」
彼等は、手元のタブレット端末を見ながら辺りをキョロキョロする。
先から目の前の大きな通りを一分間隔で大量の監視員が過ぎってく。
はて……、困ったもんだ。手詰まりとはこれのこと。
ウチとレイ、ルカはいわゆる怪盗という人(脱獄中の……)。皆にロマンを届けるために活動してました(過去形)!!
……と、まぁ自分で訳もなく虚空に自己紹介してみる。
そんなことをやっても事態は好転しないけどね……。
ふとアナウンスの音質が変わった。自然と耳が傾く。
「……10013号、10014号、10015号が脱獄。
手枷、足枷、魔術封じの札はまだつけたまま。
破壊される前に捕獲せよ……」
やっぱりバレてたか。ウチらが攻略したのは、魔術的拘束の魔術のみ。
さすが世界最大規模の監獄。設備が最新だし、手枷も強固でびくともしない。
ってわけで、他はぶっつけ本番の脱獄劇で、この有様。
ところで、敵様はウチらのことどれくらい知ってんだろ?
ウチは目の前を通った、隊列から少し離れた最後の一人の監視を襲う。
後ろから近寄って、右手と左手の手枷を繋ぐ鎖で、そいつの首をぐっとこちらに寄せる。
「うぎっ……。助けっ」
監視員は叫ぼうとした。
ウチの攻撃に対して、ではなく。
ウチの背後から高速で接近してくる二つの気配に対してのようだ。
なんだろうっと、ウチが後ろ向いて確認しようとして……。
「うるせー(うるさい)黙れ!」
一組の男女の小声と共に、監視員の助けも虚しく力一杯のゲンコツが監視員とウチに落ちた。
−−ルカ−−
メイが目を覚ました。
ちなみにさっきメイを殴ったあたしの手はまだジンジンする。
「ったく、再会した瞬間仲間を殴るなんて……。
血も涙もないね。」
「ってか、お前が俺らからはぐれたんだろ。
しかも、周りにたくさんの監視員がいるのに監視員を襲ってるし。」
メイはさっき警報がけたたましく鳴り響いた時、闇に隠れようとして暗すぎてあたし達からはぐれてたの。
「これはそのツバよ!!」
「バツな!」
あたしは二人と違うってジャパニーズ出身じゃない。間違えては、レイに訂正される。
あたしはメイを殴る真似をする。
「わかったわかった、ウチが悪かったかも。
でも、もー少し手加減できなかったかなールカ?
可哀相に、この監視員とばっちりなのに完璧のびちゃってるよ。」
「残念でした〜、メイ。」
「ざんねんな……」
「メイを殴ったのはあたしだけど、監視を殴ったのはレイよん。
……って何やってんの?気持ち悪っ!!」
メイはあたしに殴られた頭を摩りながら、のびてる監視の服を脱がし始めた。
「メイ……。いくら仲間とはいえ、その趣味は共感できないから。」
「メイ、俺もちっとばかしショックやね。」
レイは変な関西弁と言われるものを使って会話に割り込む。
あたしは二人と出身地が違うからわかんないけど、レイいわく、ジャパニーズの生れつき選ばれた人にしか使えない言語らしい。
「違うんだよ、二人とも!
情報は武器、脱獄に使えそうな地図、向こうの調査精度……。
調べられる物は調べないとね。」
メイは監視員のポケットからいろんな物を取り出す。
あっなるほど。
あたしとレイはお互いを見合い、メイの作業に加わった。
ってか、女二人に男一人で男の服を脱がすってシュール過ぎでしょ。
でもなかなか成果が上がらない、携帯食のチョコレート、身分証明書、一人一個支給されたタブレット端末(暗証番号のロックあり)……
使えない物ばかり出てくる。
「おぉっ!」
レイが突然なんか叫んだ。
「何かあったの?」
「い、いや何でもない。」
メイが覗きこもうとするが、レイはすぐさま背中へ隠した。
一瞬肌色が多い写真が見えたような気がするんだけど……。
本人は隠してるつもりかもしれないけど、レイは超変態!(メイは気付いてない)
実際気付いてるのは、あたしとあたしが教えた友達くらい。
あたし達はここに収容される前は『6色の虹』という犯罪組織に属してた。
スパイ部、クラッキング部、暗殺部、怪盗部などいろんな部署があったんだけど、噂ではレイが怪盗部一のモテ男だったみたい。
ちなみに女子は、えーと……、その〜、あたしだそうです、はい。
「何だろこれ、気になるかも。」
メイが監視のウエストポーチから紙束を抜き出す。
表紙なのかな、一枚目は文字か少ない。
さっと目を通す。
『脱獄中、10013号、10014号、10015号について』
「相手がどれくらい自分を知ってるか……。ただでさえ、情報が少ない俺らには、わずかな見逃しが命取りやな。」
レイがメイから紙束を受け取り、一枚目をめくる。
二枚目は、メイの写真が右上に貼ってあって、あとはびっちりと文字に埋めつくされていた。
うわっ、なにこれ……気持ち悪。
「これは、常にウチらを追っかけないといけない監視員には、読む暇はないかもね〜……。」
メイの苦笑。
「これは動体力視がないと走りながらも読めないじゃん!」
「動体視力やね!」
すかさず、レイのつっこみ。ほんっとうざいよ。
途端にメイがピクッと顔を上げる。ジェスチャーで静かにするように、あたし達に促す。
「この場所がバレたかも。行こう!」
メイはとある事情で五感が鋭い。あと、運とか勘が第六感とするならそれも。
あたし達は、メイを先頭にいつの間にか人気がなくなった目の前の大きな通りへ出た。




