超世界征服マグネスFire
13本目
突如アフリカに出現した悪の秘密組織マグネスは、驚異の科学力によって作り上げた超磁力兵器によりアフリカ全土の電子機器、金属製品の使用を困難にし、ちょっとした不便に陥らせた。
世界の警察たるアメリカは直ちに軍を向かわせたが、敢え無く潰走。中国、ロシア、EU等各国と協力し包囲網を築くに留まった。
世界は恐怖し、人々は沈黙し、慢性的な肩こりから開放された者たちは密かに歓喜した。
そんな中、一人の勇敢な若者が単独インタビューに成功する。
「なんの目的でこんなことを?」
「我輩は、世界で初めての世界征服者になるのだ。ふはは」
「そんな事のために!」
「イヤなら抗えばいい。反抗の自由を我輩は侵害しない」
「くっ。世界征服してどうするつもりだ!」
「Fire」
「世界を火の海にするつもりか!」
「いやいや、そんな酷いことしないし。Fire」
「……早期……退職?」
「オフコース」
「どういうつもりだ!」
「世界征服が目的だから、達成したら満足」
「いや、それは困る!」
「それはそっちの都合であって」
「むしろ世界を統一したら色々な問題解決出来るだろう!」
「知らんし。悪の組織に社会貢献求められても」
「無責任な!」
「ええ……。何、君征服されたいの?」
「そんな訳あるか!」
「じゃあ責任とか関係ないじゃん?」
「それはそれとして、考えておくべき案件だろう!」
「我輩、政治家でも活動家でもないし」
「そんな、世界征服したいからするだなんて、無意味なことはやめろ!」
「やだよ」
「いや、やめろ!」
「君、話聞かない人だね。結論ありきのインタビューはどうかと思うけど」
「そんなつもりはない!」
「余計タチ悪いね。……ところで君、趣味とかある?」
「当たり前だ!」
「それ、今すぐやめて。無意味だからその趣味卒業しなさい」
「ふざけるな!」
「だろう? 好きなことを頭ごなしにやめろと言われて、やめられるわけがない」
「それは……ごめん」
「いいよいいよ、気持ちは分かる」
「だが、貴様のそれは人に多大な迷惑をかけている!」
「うん。だからちゃんと悪の秘密組織を名乗ってるじゃん?」
「確かに……。いや、悪を名乗ればいいという問題じゃない!」
「そうだねぇ。じゃあどうする? 我輩を捕らえるかい?」
「それが出来れば苦労はない!」
「うん、理解の早い子は嫌いじゃないよ。……さて、質問変える?」
「あぁ、えっと、なんでアフリカ?」
「一次被害が穏便そうだったから」
「穏便だと? どこがだ!」
「欧米中露……制御を無くした交通手段はそのまま質量兵器じゃない?」
「え」
「原子力発電が制御を失ったら、環境被害すごいよね? せっかくFireしても安心して過ごせないのはちょっと」
「そんな理由で」
「考慮しない方がよかった?」
「それは……!」
「冗談だよ冗談。それにしても君、面白いねぇ」
「……は?」
「我輩、気に入ってしまったよ。決めた! 我輩がFireした後、この悪の秘密組織を継いでもらおう」
「いや、誰が」
「イヤなのかい? まぁ無理強いはしないけど。気が変わったら何時でも言っておくれ」
「いやいやいやないないない。……やめてくれ、心臓に悪い」
「ところで」
「はい?」
「せっかくのインタビューだったから、気を利かせて世界中に生配信してるんだよね」
「おぅ?」
「君、帰ったら一躍時の人だよ。大スターだ。誰も君を放っておかないだろうね」
「…………?」
「ファンとか、見知らぬ親戚とか、……あぁ、各国の諜報機関とかも。おや? もう出待ちがいるみたいだ」
「え、それって」
「無事に帰れるといいねぇ。さて、そろそろインタビューもお終いにしようか。最後に聞きたいことはある?」
「ど」
「ど?」
「……どうやったらこの組織に入れますか?」




