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卒業パーティーと婚約破棄①

 眩しいシャンデリアは火魔法使いの生徒が制御しており、安全も確認されている。

 その装飾も華美すぎず、上品な光を会場にもたらしていた。

 そして、その煌びやかなシャンデリアに負けない、本日の主役たちのドレス。

 紳士淑女たる振る舞いで、中央で音楽に合わせてパートナーとダンスする者、卒業後のことについて話に花を咲かせている者。

 別れを惜しむ者。

 そして、そんな卒業生を誇らしく、温かく見守っている在校生たち。

 アメジスト王国立学園の卒業式後のパーティはつつがなく進んでいた。

 もう少しで音楽が終わり、学園長であるこの国の王太子から卒業生への言葉を賜る予定になっている。


 アリーナ・フォン・アメジリウスは、知らず緊張していたのか、力が入っている自身の体の強張りに気づき、一度深呼吸をしてから、そっと胸を撫で下ろした。

 この卒業式後のパーティは、彼女が生徒会長になって初めての大きな仕事であったからだ。


 アメジスト王国立学園の生徒会長は次年度最高学年へ進級する者の中から、学業はもちろん、魔法、マナーなど全てにおいての成績優秀者から任命される、栄誉ある役職だ。

 そんな生徒会長を支える生徒会役員も、多方面での活躍が将来的に期待できる、優秀な者が選ばれることとなっている。


 王族が最高学年にいる場合、生徒会長に選ばれるのは王族である場合が多く、第三王子エリオ・ルクシル・アメジストも例に漏れず、生徒会長として活躍をしていた。


 アリーナの同じ学年には第四王子がいるため、一部の生徒と教師を除いて、きっと第四王子が第三王子からその任を引き継ぐと思っていた。

 しかし、生徒会長に指名されたのは、第四王子マルセル・ルクシル・アメジストではなく、アリーナ・フォン・アメジリウスであった。


 幼い頃から学園の最高学年で生徒会長になることを夢見てきたアリーナは、エリオ王子から次代生徒会長として名を呼ばれた瞬間、柄にもなく飛び上がって喜んだのだ。

 幼い頃からの夢を叶えるため、生徒会長になり、最高学年を最高の形で納めることが、父親、そしてとある人物から課された条件だったからだ。


 まずはこのパーティを成功させること。それが今のアリーナの使命だった。


 そろそろダンスのために流れている、優美な音楽が終わりに近づいていた。

 次は学園長である王太子殿下に、卒業生に向けてお言葉をもらうことになっている。

 共に生徒会の役員に任命されている生徒の1人に目配せをして、学園長である王太子殿下、そして共に卒業生たちを祝いに来ていた王太子妃殿下の元へ場所を移動してもらうための合図を送った。

 王太子夫妻はパーティ会場が見える少し高いボックス席から、時に笑顔で手を振りながら、優しく微笑んでいる。


 —きっと素敵なお言葉を述べられるのだろう。


 音楽が優しく終わり、王太子夫妻が椅子から立ち上がり、ホールへ降りるための階段へ近づいた時だった。


「少し話を聞いてもらいたい!」


 急に大きな声がして、ホールの空気が凍りついた。


 王太子夫妻に視線を向けると、側近であるアリーナの兄、アドリアンが2人を守るように一歩前に出て、腰に下げている剣に手を添えていた。

 アドリアンは王太子の仕事を文官として補佐をしているが、剣の腕もそこそこのため、こういう場では護衛の役目も担っている。

 その兄が王太子夫妻を守っているのを確認して、アリーナは安心した。


 視線を会場中に巡らせ、他に混乱が起きていないことを確かめて、アリーナは大きな声を出した主に視線を向けた。

 そこには第四王子、マルセル・ルクシル・アメジストが、ふわふわの髪の毛をした可愛らしい少女を連れて立っていた。

 その顔は険しく、とても卒業生を祝う表情ではなかった。


「私はこの場で皆様に伝えなければならないことがある。本日の主役の1人、エレオノーラ・ルイーゼ・フォン・アルデンティアの悪事について、聞いてもらいたい!」


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