34.
クリスの治療が終わってからしばらくして、噂でクリスが貴族院に復帰したことを聞いた。
貴族院に復帰するまで元気になったのだったら、もう大丈夫だろう。
また、クリスが元気になったことで、現王妃陛下が少し落ち着いたみたいだった。
一度表面化した派閥争いは、簡単には下火にならないが、大きくぶつかることがないように祈っている。
さて、私が今何をしているかというと、ちょっとしたアイテムを作ろうと考えている。
いつも夜の散歩は後数時間は楽しんでいるところだけど、ちょっと思うところがあって、早々に切り上げて部屋に帰ってきたのだ。
まずは薬を作る。
この薬は、例の精霊共鳴者と精霊術師にのみ罹る病の特効薬だ。
お義兄様に相談された時は作れなかったけど、クリスを診て治療したことで、治療薬の目処がついたのだ。
病に罹った人は、まだ回復していない。
あれは自然に回復するようなものではないからだ。
私が治療するか、これから作る特効薬でしか治らない。
病の原因が特定できればその限りではないが、今のところそんな事実はない。
なので私が作ることにした。
用意するのは、私が作った精霊石、夜鳴花の雫、冬鈴草、歌蛇の毒。
精霊石は私の力をギュッと固めたものだけど、精霊石なら何でもいい。
夜鳴花は、夜に咲く花で、風に揺れると悲鳴のように聞こえる音を出し、涙のような雫を数滴落とす。
使うのはその雫。
冬鈴草は、冬に鈴なりの丸い身をつける草。
歌蛇は、その名の通り多種多様な歌を奏でる蛇のこと。
夜鳴花の雫で変質した霊力を消し、冬鈴草で体力を維持、歌蛇の毒で霊力と気力を落ち着かせ、精霊石は素材の効果を高めつつ、素材同士を調和される役割を担う。
まずは冬鈴草を、原型がなくなるまですり潰す。
そこに、夜鳴花の雫を入れて混ぜる。
次に歌蛇の毒を30℃に温めて、先ほどの液体に加える。
最後に精霊石を入れて混ぜる。
すると、あら不思議。
精霊石が溶けて、夜空色の液体が完成した。
一人一匙で想定して、一瓶50人分。
それを二瓶で100人分用意した。
これだけあれば足りるだろう。
薬は作ったから、後の対応はお義兄様任せだ。
あとは、お義兄様を守るためのアイテムを作ろう。
地の精霊に加工してもらった銀の腕輪に、守護の祝福を込めた小さな精霊石を5つ、等間隔にはめ込む。
一つ一つは小さくて弱いけれど、5つあれば、大抵のものは防げるはず。
腕輪の内側に、さらに守護の意味を込めた精霊言語を刻み込んだら完成。
こういうのは初めて作ったけど、何となくで何とかなった。
明日手紙を出して、お義兄様に会えないかどうか聞いてみよう。




