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32.


いつもの夜の散歩の時間。

いつもなら気分良く飛び出すのだが、今日はそんな気分にはなれなかった。


思い出すのは、昼間にケイティとミューエから聞いた話。

第三王子殿下が病に倒れたということ。

それも、原因も、経路も、治療法もわからない病。

その病には、心当たりがあった。

長期休暇が終わる前に、お義兄様に相談を持ちかけられた病と似ていた。

もしかすると、同じものかもしれない。

あの時は、見たこともない病だからどうしようもないと言ったけど、病に倒れたのが第三王子殿下なら、話は変わってくる。


第三王子殿下は、私にとって初めての大切な友人だ。

お義兄様は、この病で亡くなる人もいると言っていた。

そんなのはダメだ。

第三王子殿下を、失いたくなんかない。


第三王子殿下に会いに行こう。


もしかしたら、私の手に負えないかもしれない。

けれど、何もしなかったら後悔する。

後悔するくらいなら、全力で手を尽くして後悔する方がいい。

やれるだけ、やってみよう。


私は意を決して、第三王子殿下がいる場所に向かって飛ぶのだった。




と、まぁ、かっこよく決意したのはいいけれど、第三王子殿下を見つけるまで、結構な時間がかかった。


何でお城って、こんなに広いのよーーーー!!!


私は、自分では方向音痴ではないと思っていた。

でも今回、ちょっと自信を無くしてしまった。


だって、広すぎるんだよ!

仕方ないよねぇー!?


誰に言い訳するのでもなく、私は心の中で、一人自問自答するのであった。


かれこれ2時間ほどフラフラしていると、ようやく第三王子殿下を見つけた。


お、お邪魔しまーす……


お義兄様以外の、男性の部屋に入るのは初めてだ。

悪いことをしているようで、ドキドキする。


……いや、悪いことなんだけどね!?

皆んなは、人の部屋に勝手に入ったらダメだよ!

これは精霊特権だからね!


天蓋のカーテンをすり抜けると、青白い顔でベッドに横たわっている第三王子殿下と、傍らの椅子に座って手を握ったまま眠っている現王妃陛下がいた。


第二王子殿下と対立しているって聞いていたから、どれだけ怖い人なのかと思っていたけど、第三王子殿下のことを大事にしている優しい面もあるのだと知った。

一方から偏って見ただけでは、その人のことがわからなかっただろう。

私はもっと、多角的に見る目を養わないといけない。


今まで人間や精霊ってだけで、こうだと決めつけていたところがあった。

それを反省しなくては。

精霊にしても、人間にしても、個々の違いがあるだろうから。






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