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30.


一部では何やら不穏な気配を漂わせているが、時間は止まることなく日々過ぎていく。

あれ以上の情報がないため、私は少しモヤモヤした気持ちを抱えつつ、日々を過ごしていた。


私が知らない間に、ご当主様と奥様はアルバン子爵領の片隅に遷居され、お嬢様は修道院に移っていた。

そしてお義兄様が子爵位を引き継ぎ、正式にアルバン子爵となった。

全てが終わった後に、お義兄様から事後報告を受けた。




2ヶ月の長期休暇が終わり、私は一人で貴族院に戻った。

お嬢様方がいないのは、アルバン子爵邸でだいぶ慣れたと思ったが、貴族院に戻るとお嬢様がいないことに少し違和感を覚えた。

それでも日常は回っていくし、お嬢様のいない貴族院もそのうち慣れることだろうと、少しの違和感を気にしないようにした。


2ヶ月ぶりに会ったケイティとミューエと、お互いの長期休暇の話をした。

貴族院に来ていないお嬢様のことは私からは話していないが、すでに社交界で噂になっていると聞いた。

社交界の噂は、しばらくアルバン子爵家の話でもちきりになることだろう。

きっと、お義兄様の周りも騒がしいのだろう。


貴族院でラース様を見かけたが、お互い知らんぷりをした。

新たな噂を提供する気はないからだ。


私の貴族院での生活は、お嬢様関係以外はあまり変わりばえがない。

授業を受けて、ケイティやミューエと話をして、図書館に行って、本を読む。

そして時々、サロンの招待を受けて参加する。

アルバン子爵家のことを聞きたいがために招待されることもあれば、ただの交流会で終わるサロンもある。

ケイティとミューエ曰く、色んなサロンに行って、敵か味方か、毒か薬か、メリットかデメリットかを見極めるといいらしい。


私はより深く、人間を観察することにした。

人間を観察すればするほど、人間の感情や考えが複雑になっていくことがある。

人間って難しいと、日々感じている。




お嬢様のいない貴族院生活に慣れてきて、アルバン子爵家の噂が下火になってきた頃、別の噂をよく耳にするようになった。


一つは、第三王子殿下がしばらく休んでいる理由が病に罹ったからではないか、ということ。

もう一つは、現王妃陛下と第二王子殿下が対立しているということ。


これらの噂が囁かれ始めた途端、貴族院中の空気が少し変わった。


私がよくわかっていないのを察したケイティとミューエが、その原因を教えてくれた。

簡単に言えば、現王妃陛下派と第二王子殿下派が対立していることが原因なんだとか。






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