27.
目が覚めた時には、すでに日が暮れそうな時間帯だった。
泣くのって、こんなに疲れるものだったなんて。
ベットがの上で一人落ち込んでいると、お義兄様がいい香りのする紅茶を持ってきてくれた。
「落ち着いたか?」
「はい。ごめんなさい、迷惑をかけて。」
「迷惑じゃないし、家族なら迷惑をかけるものだ。気にするな。」
「ありがとうございます。」
紅茶を飲んで一息ついたところで、私が寝ていた時のことを教えてもらった。
使用人の半数は犯罪者として連行され、アルバン子爵夫妻とお嬢様も一旦貴族牢に入れられているらしい。
つまり、しばらくは静かに暮らせそうということだ。
私の新しい部屋は、明日総出で整えるのだとか。
私自身はドレスメーカーが来てくれるので、採寸とドレスの購入を行う。
アクセサリーや身の回りのものは、これから早めに整えてくれるらしい。
今までやっていた仕事は、改めてしなくていいと言われた。
そして、今まで働いた分は、給料としてくれるという。
これは普通に嬉しい。
自分で使えるお金が手元にあると、何かあった時にあんしんだから。
あとは、自由に過ごしていいし、やりたいことがあればお義兄様とその都度相談することが決まった。
「やりたいこと……そうですね。今のところ夜の散歩は続けたいので、夕食の後は誰も部屋に入らないでください。」
「ああ、そう言えば、それも聞いていなかった。あの姿は何なんだ?」
「実は、私の父は精霊なんです。」
「…………は?」
「どういう経緯でそうなったのかはわかりませんが、私は人間の母と精霊の父の間に生まれた半端者なんです。父は夜の精霊で、私はその血を強く引きました。なので、昼は人間、夜は精霊になるんです。」
「あの姿を見た以上、信じるよ。でも、身体に不調はないのか?」
「大丈夫です。この状態が私の普通なので。」
「それならいい。夜の散歩の件も、了解した。」
「ありがとうございます。」
「それから、影魔討伐の時、助けてくれてありがとう。あの時は、少し危なかったからな。」
「いえ、たまたまですから。」
「この後はどうする?」
「いつも通り、散歩に行ってきます。」
「そうか。私は客室を使うから、この部屋は自由に使うといい。」
「はい。そうさせてもらいます。」
「じゃあ、おやすみ。」
「おやすみなさいお義兄様。」
お義兄様が、私のことを受け入れてくれてよかった。
もし受け入れてもらえなければ、行くところが無くなってた。
本当に良かった。
私は軽くなった心で、ふわりと空に浮かぶのだった。




