SIDE:ラース3
影魔討伐が終わった後、魔物の森で出会ったシャルについて調査することにした。
可能性があるとしたら、中位貴族よりも下位の者、もしくは商家。
シャルにつながる道筋は、思わぬところからやってきた。
貴族院は噂が回るのが早い。
情報は何よりも大切だからだ。
そこで、アルバン子爵家の話を聞いた。
バレないようにこっそり見に行って、あの子だと確信した。
その後の行動は早かった。
貴族院の聞き取りから、内部監査が必要だと判断し、長期休暇の間に実行することになった。
予想外だったのは、ロベルトが急に休暇をとって帰宅したこと。
事態が複雑化しないように、急遽行動を早める羽目になった。
アルバン子爵邸で会ったシャルは、魔物の森で会ったシャルと何処か雰囲気が違っていた。
少し顔を合わせて会話しただけで、感情の発露が乏しい子だと思った。
きっと、今まで抑圧されていたせいだろう。
今は思いっきり泣くといい。
そして、たくさん泣いた後は、笑顔を見せて欲しい。
「これから使用人を尋問して、貴族に対する傷害で捕縛する。アルバン子爵夫妻と娘のリリアンナ嬢は、一旦貴族牢に入って、裁定を待つ。おそらくアルバン子爵夫妻は爵位を譲って遷居。リリアンナ嬢は修道院になるだろう。ロベルト、爵位の引き続きの準備をしておいてくれ。」
「わかった……」
「何をそんなに落ち込んでるんだ?」
「私は、あの子を泣かせてやれなかった。それに、私自身、あの子から見れば加害者だ。」
「そんなの、これからだろう。これから挽回すればいい。じゃないと、これからのシャルを誰が守るんだ?」
「それは…………と、いうか、シャルって何だ?馴れ馴れしくないか?」
「別にいいだろう?彼女がいいって言ったんだから。」
「よくないっ!!うちの可愛い妹は、誰にもやらん!私が一生守るからな!」
「今からそんなんで大丈夫か?義兄上?」
「私は、お前の兄ではないっ!今後も、あり得ないからな!!」
「はははっ!」
「おい、ラルグ。あんまりロベルトを揶揄ってやるなよ。」
セルトゥスが呆れながら突っ込んできた。
結構、本気だったんだが……
ロベルトの壁は厚そうだな。
これを攻略していくのも、また一興。
まぁ、それよりもまずは本人からか?
熱中できるものなんて見つからないと思っていたが、もしかしたら見つけたかもしれない。
俺自身、これからどうなるか、楽しみだな。
泣き疲れて眠っているお姫様を眺めながら、この先の未来に思いを馳せたのだった。




