26.
「さて、じゃあ今までどうやって暮らしてきたのか、誰にどんなことを言われたのか、覚えている限り全て話してくれ。あとで怒られるとかは、関係ない。そんなことはさせないから、安心するといい。」
「わかりました。」
ことの始まりは、やっぱり不義の子だったこと。
幼い時は、無視されたり、忘れられたりするくらいだった。
酷くなったのは、やっぱりあの一件から。
私が7歳の時から、私の周りのものがだんだんなくなっているのに気がついた。
そしてそれを、お嬢様が使っているのを見かけた。
返してほしくてお嬢様にそう言ったら、「私が欲しいからちょうだい」と言われて、挙げ句の果てには泣き始めた。
そんな時に奥様がやってきて、「それぐらいあげなさい」
と言って、結局私のものは何一つ返ってこなくなった。
無くなった分の服や道具が欲しいと言ったら、「情けで置いてもらっているのに、図々しい」と言われて、何一つ買ってくれなくなった。
そんな中で、お嬢様が、奥様の大切にしていたアクセサリーを壊してしまって、それを私に押し付けてきた。
奥様は、私の言葉なんて聞いてくれなくて、あの物置き部屋に閉じ込められて、ご飯を抜かれた。
使用人が数枚の服だけ持ってきて、もう私の部屋が無くなったと告げてきた。
確認してみたら、お嬢様のもう一つの遊び部屋になっていた。
その時から私の部屋は、地下のあの物置き部屋になった。
「それからは、ご飯をくれなくなって、役立たず何だからせめて仕事をしろって言われて……」
私は覚えている限り、全てを答えた。
言われたこと、されたこと、その時の気持ち……
一つ思い出せば、頭の中からどんどん溢れてきた。
途中から時系列もぐちゃぐちゃになったに、皆んなは黙って最後まで聞いてくれた。
全部吐き出した後は、心が空っぽになったみたいに、ポッカリ穴が空いた。
「よく頑張ったな。偉いぞ。」
そんなに子どもじゃないのに、ラース様が頭を撫でてくれた。
覚えている限り、それが初めてで……温かくて……
「……う、あ……うわぁぁぁぁぁぁん!!!」
初めて、涙が溢れた。
初めて、大声を上げた。
初めて、話を聞いてくれた。
たくさんの初めてが、抱えきれないくらいいっぱいだった。
でも、一つも取りこぼしたくなくて、必死に心の中で抱えた。
途中から、悲しくて泣いているのか、嬉しくて泣いているのかわからなくなった。
けれどずっと、ラース様は頭を撫でてくれていたし、お義兄様は、背を撫でていてくれたのだった。




