24.
「シャルフィーネ……?」
まぁ、見られてしまったものは仕方がない。
大人しく、諦めよう。
「はい。お久しぶりでございます、次期当主様。」
「次期、当主、様……?何で……そんな呼び方……?」
「私は使用人ですから。」
「ち、違うっ!!シャルフィーネは、私の義妹で、アルバン子爵家の一員だ!誰がそんなっ!」
「アルバン子爵邸に住んでいる全ての方です。」
「そんな……そんな、ことって……」
次期当主様が、膝をついて顔を両手で覆う。
かなりのショックを受けたようだ。
だが、ここで固まられても困る。
私は今から、仕事をしないといけないから。
「あの……仕事があるので、失礼しても……?」
「……仕事?何をしているんだ?」
私は朝起きてから寝るまでの日課を、わかりやすく丁寧に伝えた。
そう、だから私は忙しいのだ。
私が話している間、次期当主様は、顔を青くしたり赤くしたり、一人忙しそうだった。
そうしてまた項垂れてしまった。
どうしたらいいんだろう、これ。
もう行ってもいいのかな?
「いい……」
「じゃあ、仕事に……」
「違うっ!!仕事なんてしなくていい!!それは君の仕事ではなく、この邸で雇われている者の仕事だ!!」
この物置き部屋は狭いのだから、声量は考えて欲しい。
耳が痛い……
「はぁ……今日は、私と一緒に過ごそう。話したいこと……いや、聞きたいことがたくさんある。部屋は、私の部屋でいいか。今日中に、普通の部屋を用意させる。それから、次期当主様ではなく、できればお義兄様と呼んでくれると嬉しい。言葉も、堅苦しくなくていいから。」
「かしこまり……わかりました。」
弱々しく微笑む次期当主様……お義兄様は、まだ16歳なんだと再認識した。
仕事をしなくていいと言われたので、何をしようか困っていたら、お義兄様の部屋で寝るように言われた。
せっかくの好意なので、お義兄様のベットを借りて寝ることにした。
幸せな惰眠を貪っていたら、部屋の外が騒がしくなって目が覚めてしまった。
「シャルフィーネ、うるさかったから目が覚めてしまったんだね。」
「何かあったの?」
「ああ、内部監査が入ったんだよ。」
「内部監査?」
「そう。この国の理念を、真っ向から無視したからね。それに、大勢の人に見られているし。先方が、事情聴取をしたいと言ってきているんだが、どうする?」
「行きます。」
「わかった。じゃあ、行こうか。私も一緒に話を聞かせてもらうことになったから。」
何故だろうか。
お義兄様の笑顔から、黒いものが滲み出ている気がする。
私はそれに触れないように、そっと視線を外した。




