SIDE:ロベルト2
叔母の願いを今になって、4年ぶりにちゃんと顔を合わせてから思い出すなんて、私はなんて愚かだったんだろうか。
悔いても悔いても、悔やみきれない。
久しぶりに帰った実家は、特に変わっているような様子は見られなかった。
両親も妹も使用人も、いつもと変わらない。
シャルフィーネのことを両親に聞いたら、体調を崩していると言っていたので、晩餐後に見舞いに行こうと思った。
だが、両親や妹が私の話を聞きたがっていたので、夜遅くまでついつい話し込んでしまった。
夜遅いとは思ったが、顔だけでも見ようと使用人を捕まえて、シャルフィーネの部屋の場所を聞いた。
その時だ、違和感を感じたのは。
部屋の場所を聞いても、夜が遅いだとか、体調が悪いだとか、外聞が悪いだとかで、部屋の場所を言わなかった。
何かあると思い、強引に聞き出した部屋は、ありえない場所にあった。
人が到底生活できないような、カビの匂いが充満した地下の物置き部屋。
それが、シャルフィーネの部屋だというのだ。
信じられなかった。
信じたくなかった。
家族が、使用人が、一緒になってあの子を虐げていたなんて。
泣きながら震えている使用人には、口外禁止と自室での謹慎を言い渡した。
使用人が逃げるように去ってから、もう一度、シャルフィーネの部屋だという場所を見渡した。
使わない家具が乱雑に置かれ、ベッドがなく、代わりに床に敷かれた湿った藁。
丁寧に畳まれているが、擦り切れてボロボロになっている服。
シャルフィーネは、こんなところで、何思っていたのだろうか。
恨みか、怒りか、悲しみか……
ただ一つわかるのは、何一つ良い感情がなかったということだけ。
どれほどの苦痛を味わってきたのだろう。
考えれば考えるほど泣きたくなったが、本当に泣きたいのはシャルフィーネの方だ。
あの子を放置していた加害者である私が、泣いていいわけがない。
シャルフィーネが部屋に戻って来たら、これまでのことを詳しく聞こうと思い、しばらく待っても帰ってこなかった。
それでも根気よく待っていたら、目の前に突然、淡い光が差してきた。
顔を上げると、そこにいたのは一柱の精霊だった。
以前参加した影魔討伐で見た、あの真っ白な精霊だ。
何故こんなところにいるのだろうか?
精霊と見つめ合っていると、その精霊の姿が徐々にぼやけて、シャルフィーネの姿に変わった。
妹よりも小さく、栄養不足の身体、細い手足、パサパサの髪……
顔立ちは間違いなく彼女だった。
驚いて声が出ないとは、このことだろう。
ふと、そんなどうでもいいことが頭に浮かんだ。
いや、そんなこと、今はどうでもいい。
「シャルフィーネ……?」




