SIDE:ロベルト1
私はアルバン子爵家の嫡男ロベルト・アルバンとして生まれた。
幼い頃は、子爵領の本邸で過ごしていた。
その本邸の離れには、とある女性が隠されていた。
後にその女性は私の叔母であることを知ったが、その時はまだ何も知らなかった。
ただ、誰にも知られてはいけない人であることはわかった。
ある日のこと。
本邸の敷地で冒険と称して散歩していた時、偶然離れに入り込んでしまった。
そこで、件の叔母と出会ったのだ。
迷子になった私を、叔母は精霊術で慰めてくれた。
そして、帰り道を教えてくれたのだ。
私はあの時の精霊術が忘れられなくて、度々、皆んなに隠れて離れに行っていた。
こっそり会いに来た私に、叔母は精霊術についてたくさん教えてくれた。
そして、お腹の中に大切な赤子がいることも教えてくれた。
叔母は何を思ったのか、私に「この子はこの世界そのものなの。どうかこの子をお願い。」と、そう言った。
叔母が何故そんなことを言ったのか、当時は全くわからなかった。
その言葉の一部を理解した時、それは叔母が亡くなった時だった。
叔母は赤子を出産して、亡くなった。
産後の肥立ちが悪かったのだ。
叔母はきっと、このことを予期していたのだろう。
赤子は叔母の遺言から、シャルフィーネと名付けられた。
叔母の出産後程なくして、母も妹を出産した。
使用人や両親は、妹の世話にかかりっきりだったので、私が中心となって世話をした。
赤子は、すぐに泣くから大変だった。
けど、私の顔を見て笑ってくれるだけで、苦労なんか全てどうでもよくなった。
叔母が亡くなってから5年後、祖父から父が子爵位を引き継いで当主となった。
それに伴い、私たちは王都に住まいを移し、祖父母が本邸に住むことになった。
当初、シャルフィーネは本邸に残る予定だったが、私のわがままで王都に連れていくことになった。
意外なことに、あまり関わっていなかった妹も賛成したことが、決定打となった。
王都に住まいを移した後、私はすぐに共鳴判定を行った。
結果は、3級の精霊共鳴者。
家族も使用人も、皆んながとても喜んでくれた。
その後から、精霊共鳴者としての教育と後継者の教育が忙しくなって、シャルフィーネとの時間がなくなっていった。
けれど、使用人も妹もいるから大丈夫だと思った。
たぶんそれが、全ての間違いだったのだろう。
そのうち関わる時間が全くなくなってしまったが、見かけた姿は元気だったので心配していなかった。
そうして貴族院に入ったり、精霊術師になったりして、叔母のお願いをすっかり忘れていた。
貴族院を卒業した後、黒白の塔に就職した。
初めてのことばかりで大変だったが、その分やりがいがあった。
そうして忙しく働いている時、アルバン子爵家の噂が耳に入った。
何でもアルバン子爵家の長女を、一家全員で虐げているという噂だ。
初め聞いた時は、政敵が流したデマだろうと無視をしていた。
けれどその声が大きくなるにつれ、同僚からの視線が厳しくなったので、真偽を確かめるために実家に一時帰宅することにしたのだ。




