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19.


テトラナ伯爵令嬢は、手をパンッとあわせると、開催を宣言した。

皆んな先ほどまでの空気を見事に変えて、各々同じテーブルのご令嬢と話を始める。


私とお嬢様のテーブルでも、近場に座る人との会話が始まったのだが、終始、お嬢様が話に割り込み、会話を掻っ攫っていく。

それが会話を円滑に進めるためのリードなら、まだ良かっただろう。

けれどお嬢様の話は、自分の得意なこと、買ったドレスや宝石など、人に合わせる気がない。

自分の言いたいことだけを話している。

これでは、反感を買うだけなのに。


他のご令嬢から、なんとかしろという視線を感じるが、私は口を挟むことなどできない。

私ができるのは、存在感をできるだけ消して、ただ座っていることのみ。

お嬢様は、一人だけ満足そうである。


「ご機嫌よう。皆様、いかがかしら?」


そんな空気の中、各テーブルを廻っていたテトラナ伯爵令嬢が声をかけてきた。

この場の雰囲気で、何かを察したようだ。


このテーブルで一番位の高いご令嬢が口を開く前に、お嬢様がまたしても割り込んでしまった。


「あら、ご機嫌よう。お茶菓子はなかなかの物だけど、紅茶がねぇ〜」


「何かございました?」


「渋味が強いのではないかしら?今回紅茶を淹れた侍女、あまり上手くないから変えたほうがいいですわ。」


「そうでしたか。(この紅茶を飲んだことがないのね)ご助言ありがとうございます。(この味がわからないなんて、ご愁傷様。)」


「ありがたく思いなさいな。」


「ふふっ。(この程度の貴族なのね)」


テトラナ伯爵令嬢は、お嬢様を上手くいなし、テーブルの全員と会話をこなしたのだった。





――――――


本日私が主催したサロンを終了させ、主家であるカイゼル公爵令嬢に報告に来た。

高位貴族のご令嬢は、特別な理由がない限り、下位貴族をサロンに誘わない。

だから私が、代わりに下位貴族の見極めを行ったのだ。

中位貴族は私の顔馴染みで、各テーブルのまとめ役を任せていた。


「どうだった?新入生の下位貴族は?」


「目立って優秀な者はいませんでした。ある意味目立って、ある意味優秀な者ならいましたが。」


「あら、どなた?」


「アルバン子爵家です。」


「姉妹のどちら?」


「妹の方ですね。まず、他者と交流する気がありません。全て自分中心の話で、自分が一番だと思っているようです。精霊共鳴者といえども、5級。礼儀をわきまえていません。あと、姉に対する扱いも気になります。」


「扱い?」


「はい。姉に様付けで呼ばせ、使用人か何かのように接しています。それに加えて、姉の方が妹より発育が悪いかと。」


「つまり、アルバン子爵家が、揃って姉を虐げている可能性があるということね。質が悪いわね。我が国の理念を理解していないなんて。相手にする必要はなさそうね。ありがとう、ご苦労。」


「いえ。では、失礼いたします。」


いずれ近いうちに潰れるか、優秀な次代に引き継がれるか、そのどちらかになるだろう。






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