18.
新入生が貴族院生活に慣れてきた頃、学生間で頻繁にサロンが開催されるようになった。
サロンとは、社交を兼ねたお茶会の場のことだ。
サロンを開催、または招待されることで、自分の立ち位置を明確にし、人脈と派閥を作るのだ。
招待される数と主催する力が、社交での権力を示すのだ。
子どものサロンは大人のサロンの練習でもあるのだが、これが後に響いてくるため、決して失敗は許されない。
だからと言って、参加しなければ、それはそれで能力の無さを証明してしまうことになる。
だから、誰もが緊張感を持って、参加するのだ。
お嬢様もまた、いくつかのサロンの招待を受けている。
それは私も同様だ。
一応、公式上は姉妹ということになっているので、同じサロンの招待状が届いている。
とは言え、私に送ってくれたものは、お嬢様のついでだろうけども。
お嬢様は5級とはいえ、精霊共鳴者だ。
お嬢様が精霊共鳴者であることはすでに貴族間で噂されているため、どんな精霊共鳴者なのか確かめるつもりなのだろう。
要は、見極めだ。
……やっぱり、貴族社会って怖い。
今日参加するサロンは、テトナラ伯爵令嬢が主催する、中位貴族下位貴族全員参加のお茶会だ。
テトラナ伯爵家は、伯爵家の中でも特に財力と権利を持つ家の一つだ。
だからこれほどの中位貴族下位貴族を集めて、サロンを開催できる。
天気がいいので、今回は外で開催されるみたいだ。
お嬢様の後ろに続いて、会場である第一庭園に入場した。
「あら、お待たせしましたか?」
ふふっと、得意気に笑うお嬢様。
私たちが来た時には、すでに全員が座っている状態だったので、視線が全身に突き刺さる。
非常にいたたまれず、恥ずかしい。
でも、当然のことだ。
入場は基本的に下位から行われる。
伯爵家のご令嬢だって何人も参加しているのに、一番最後なんて喧嘩を売っているとしか思えない。
でもお嬢様は、本気でこの場の誰よりも位が高いと思っている。
精霊共鳴者であるから、偉いのだと。
あぁ、空気が悪い。
早く帰りたい。
私はお嬢様の後ろで、縮こまるしかできなかった。
「何かご事情があったのでしょう。仕方がないわ。さぁ、席に座ってちょうだい。」
主催者は、全く動揺を見せずに対応して見せた。
あのセリフ、要はこういうことだよね。
何かご事情があったのでしょう。(どんな事情でも知ったこっちゃない、舐めてんのか?)
仕方がないわ。(礼儀を期待しない。二度と呼ばないからな。)
背筋が寒い。
こういう裏を読むのも、貴族なんだよね……




