2.
私の毎日の日課は、朝食の下拵えである皮剥きから始まる。
朝五時に起きて、井戸に行って身だしなみを整える。
夏ならまだいいけど、冬は凍るように寒い。
震えながら水を使わないといけないのは、すごく苦痛だ。
一日分の皮剥きの仕事が終わったら、庭に出て水やりをする。
その時に、今日邸に飾る花を切って、綺麗に見えるように花の処理する。
毎日違う花を選んで、適切に処理するのは大変だ。
邸中に花を飾ったあとは、邸の玄関口付近の掃除。
お客様が毎日来るわけではないが、毎日綺麗にしないといけない。
万が一、お客様が来た時に、綺麗じゃなかったら家の品格にかかわってくる。
玄関口の掃除が終わったら、書斎の掃除。
今のアルバン子爵家の皆さんは、あまり本を読まない。
使わないからと言って、掃除しないわけにはいかない。
使わない場所は、埃が溜まりやすい。
一日でも放っておくわけにはいかない。
本は貴重なものだから、慎重に掃除をする。
掃除が終わったら、ちょうどご当主様方の朝食が終わっている頃。
厨房に行って、食器の洗い物をする。
その時に、運良く残り物があったら、私の朝食になる。
堂々と食べれないので、こっそり素早く食べるのがコツ。
食器の洗い物が終われば、洗濯をする。
シーツ、タオル、服……
種類ごとに洗い方が違うため、何回にも分けて洗わないといけない。
これも、夏はいいけど、冬はつらい。
アカギレで血が出るし、血がつかないように洗わないといけないし。
でも、洗濯を干すのは好き。
綺麗になった洗い物が、一面風に靡くのを見るのが好きだ。
洗濯が終われば、再び食器洗い。
午餐が終わった後の食器洗いだ。
食器洗いが終われば、あとは他の用事や呼び出しがある時まで、ひたすら掃除。
廊下、応接室、客室……
他家を経験した人が言っていたけど、子爵家よりも高位の貴族家はもっと邸が広いのだとか。
この子爵邸の広さの掃除だけでも大変なのに、もっと大きかったら、どうやって掃除をしているんだろうか?
掃除のプロがいるのだろうか?
ちょっと、コツを聞いてみたいところだ。
夜は晩餐後の食器洗いさえ終われば、私の仕事は終わり。
その後は、私の自由時間。
とは言っても、外が真っ暗だし、邸の灯りも要らない場所のものは全て消されている。
勝手につけることは許されていない。
そんな時間帯にできることなんて、限られている。
と、思うでしょう?
でも実は、そうではないんだよね。
夜の自由時間は、秘密の散歩に行っている。
夜の散歩って、開放的で楽しいのだ。
でも、良い子も悪い子も、私の真似をしちゃいけないからね?




