15.
貴族院に来て初めて思ったのは、小精霊他、精霊たちが多いと言うこと。
至る所に精霊たちがいるのに、ポッカリ穴が空いたように、全く近付かれない人もいた。
その人は精霊に嫌われているから、私も近付かないようにしよう。
小精霊に頼んで、私のことは秘密にしてほしいと、精霊たちに通達した。
だって貴族院には、精霊共鳴者がいるかもしれないから。
そこからバレたら嫌だ。
次に思ったのは、場違い感がすごいと言うこと。
同じ制服を着ているのは変わらないのに、何故か光り輝いているように見える。
これが、生まれの違いというやつかと思った。
高貴な人は、そこにいるだけで高貴な人だとわかる。
アルバン子爵家の人たちとも違う。
これが本物の貴族なんだ。
目が覚めるような思いがした。
きっと、くだらない嫌がらせなんかしない、誇り高い人たちなんだろう。
貴族院では、相変わらずお嬢様の後ろについて歩く。
同じ学生なのに、さながら使用人のようだ。
荷物を持つことはもちろん、授業の準備、授業中の補助、食事の準備……
貴族院では、ほとんどの時間をお嬢様の後ろに控えている。
寮内では別行動なのが、唯一の救いだ。
使用人としての扱いは変わらないが、貴族院に入学して良かったことがいくつかある。
一つはやっぱり寮生活。
朝から晩まで働かなくて済むし、初めてお腹いっぱいご飯を食べられた。
お腹いっぱいになるって、幸せなことなんだと知った。
しかも、美味しい。
二つ目は、本が読み放題なところだ。
アルバン子爵邸の書斎では、堂々と本を読んことができなかった。
それに書斎自体も小さかったから、隙間時間だけでも全て読むことができた。
けれどここの図書館は違う。
建物一つが本のために建てられたもので、3年間で何処まで読み切れるのか挑戦してみたい。
三つ目は、アルバン子爵邸のように、全ての人が私を蔑むなんてことがないことだ。
もちろん私を見て、嫌な笑いをする人もいる。
けれどそれだけではない。
そんな嫌な笑いをする人を、嫌そうに見ている人だっている。
そうした人は、揃って高貴そうな人たちだ。
高貴な人は、きっと心も綺麗なのだろう。
四つ目は、お嬢様のいじめが、アルバン子爵邸にいた時よりも控えめなことだ。
アルバン子爵邸では皆んなが同調していたが、ここでは同調する人としない人がいる。
お嬢様も、多少は人目を気にしているみたいだ。
怪我するほどのいじめが少なくなって、ホッとしている。
兎にも角にも、こうして私とお嬢様の貴族院生活が始まったのだった。




