13.
あの後、ラースさんに護衛してもらって、無事に魔物の森の外に出ることができた。
もちろん小精霊たちの案内で、時々道を軌道修正したので、魔物に遭遇しなかった。
ラースさんは不思議に思っていたみたいだが、私は運がいいと押し切った。
ラースさん、壺とか買っちゃダメですよ?
無事にアルバン邸に着き、料理長にジュエリーフルーツを渡した。
非常に驚かれ、化け物を見るような目で引かれた。
色々と思うことはあるが、仕事をこなせたのでよしとする。
まぁ、頑張って取って来たのに、お礼も褒め言葉も何一つなかったけど。
皆んなの機嫌がいいなら、いじめられる機会が減るから、それでいい。
数日後の夜。
私はいつものように夜の散歩をしていたのだが、何かに引き寄せられる感覚がして、魔物の森の方へ行った。
人間の気配と、複数の精霊の気配。
それから影魔の気配。
何柱かの精霊が私に気がついたので、口元に人差し指を当てて、シーってした。
そしたら皆んな、わざとらしく視線を逸らすので、なんだか笑ってしまった。
人間の観察をしていると、先日会ったラースさんとアルバン子爵家の次期当主様もいた。
最近全然顔を見ていないから、うっかり顔を忘れかけていた。
次期当主様は、なんて言うか、物静かで人にあまり関心を持たない人だ。
家族にさえも、あまり興味を示していなかった。
私の存在も、もしかしたら知らないのかもしれない。
そんな感じの人だから、私にとってもすごく印象が薄い。
姿を隠しながら見守っていると、人間たちが影魔と戦っていた。
ラースさんがこの討伐隊の指揮をしているみたい。
ラースさん……実は、偉い人だったのかな?
失礼しちゃったかな?
……でもいいか。
どうせ一庶民のことなんて、すぐに忘れるよね。
皆んな頑張ってるなぁ、って見ていたけど、段々押されてきた。
精霊術の持続時間が残り少ないみたいだ。
もっと仲良くなれば、もっと効率よく精霊術を使えるのに、もったいない。
この中で一番強い精霊術師でも、本来の精霊の力を6割くらいしか出せてない。
残念。
仕方ない。
見ちゃったし、今回はは助けてあげる。
私は皆んなに姿が見えるようにして、ラースさんの前に降り立った。
本体から切り離されてしまった、可哀想な影。
あなたたちは、ここにいるべきではない。
さあ、帰りなさい。
人間と影魔の間を縫って、ふわりふわりと移動する。
腕を一振り、二振り……
おやすみなさい、夜の子たち。
全ての子を還した私は、人間たちに声をかけられる前に、その場を飛び立つのだった。




