第7話 広がる脅威と2人の力
「ミナミ様、ヨウコ様。
スープが出来ました」
「ありがとうメリア」
私達はスープを飲みひと息つく。
「黒龍はどんな攻撃をするの?」
「まぁ、私も戦った事は無いのですが尻尾を振ってきたり、火を吐いたり、爪で斬りかかったりしてくると思います」
「今の状態で勝てるか不安」
「大丈夫だよ、ミナミ」
「どうして?」
「ミナミは私が守る、どれだけ私が傷つくこうが私は決して諦めない。
ミナミが受けた辛い日々に比べたら全然だから」
「ヨウコは私がまだ信用してないって分かるの?」
「分かるよ、私は貴方を見捨てた………反応とかで分かるよ。
それまでで色々とミナミの事を見てきたから」
「……ごめん」
「いいの、私が原因でもあるから。
何でこんな事になったんだろうね………」
パン。
!?
メリアが手を叩く。
「はい!暗い話をしない!まずはこのダンジョンを攻略することを考えましょう。
その件はまたおいおいやっていきましょ、時間が解決する時もあるから。
ね?」
「うん」
「貴方達2人はギルドマスターに期待されている。
勿論私もだけど、だから強い意志と優しく思い、負けない覚悟で挑む事。
いいね?」
「うん、セリーナさんも言っていたし。
頑張ろうミナミ」
「うん……」
「そうだミナミ、これあげる」
ヨウコはポケットから貝殻を渡した。
「これ、貝殻だよね。
何処で拾ったの?」
「ううん、ずっと持ってたの。
小さい頃に貴方のママと私のママと共に海に来た時があったの覚えてる?」
「うーん………分かんない」
「私が海で遊んでいる時ミナミがくれたのがこの貝殻だよ」
!
その時ミナミの頭に浮かぶ記憶が。
数年前
バシャバシャ。
ミナミは波がかかりながらも地面を見て何かを探している。
「あ、あった」
(何だろう)
「ヨウコちゃん、あげる」
!
小さい頃のミナミが渡したのはヨウコが渡した貝殻だった。
「いいの?」
「いいよ、私とヨウコはお友達だもん」
「うん、一緒に遊ぼ」
「うん」
………。
…………え?
「ミナミちゃん?………泣いている?」
私はヨウコに言われ頬に触れると涙が流れていた。
(泣いている?私が?………小さい頃の記憶で)
コツコツ。
ヨウコはミナミに近づき抱きしめた。
「ミナミは私が守る、小さい頃に守って貰ったから」
「守った?」
「この記憶は秘密……」
「……」
私はヨウコの温もりに包まれ眠ってしまった。
(人の温もりは温かい、嫌いだったはずなのに……憎いはずなのに……どうし・て涙が出るの?)
心の中に眠る記憶はまだ少し開かれたばかり。
その頃
ギルド地下
「クククッ、この先にあれがある」
一人の女が居た。
(あれを開ければ更に魔物が更に出て凶暴化して地上は破滅する!クククッあははは!!!)
女が近づく所には大きな白い扉があった。
「これだな」
女は魔法を唱えようとした時
「貴方!何をしているの!!」
一人のギルド職員が声をかけた。
「ふふっ、私はこの扉を調査しに来ただけよ」
「近づかないでください、扉を開けるつもりでは無いですよね?」
「クククッ、開けるつもりだったらどうするつもりだ?」
「拘束しますが」
「ここは封印されている扉の一つに過ぎない。
死ぬ者に言うことも無いけど闇の扉は開かれている」
「な!?闇の扉が!?そんな!封印されているはずじゃ!」
「残念だけど開かれている」
「まさか貴方が開けている?」
「悪いけど死んでもらうわ」
「貴方がね!!」
ギルド職員は杖で魔法を構える。
「クククッ………愚かね」
コツコツ。
「何を」
「誰が一人で来るとでも?」
!
「むぐっ!?」
ギルド職員は後ろから首を締め付けられる。
(ぐぅ!苦しい!な、何て力なの!)
「死ね、ギルド職員が」
ギチギチ。
「あ、あが……あ……あ………あ」
ドサッ。
ギルド職員は口から泡を吹いて倒れた。
「良くやったわ、グレン」
「はい、マービセル様」
「さてと開けましょう、混沌な世界に変えるために!」
「はい」
マービセルは魔法を唱え白い扉の取っ手が動き出し、扉が開き始める。
ギギギ!!
その瞬間、
「グギャアー!!!」
隙間から沢山の魔物が突如として現れそしてマービセルやグレンに襲いかかる。
「ちっ!転移」
2人は転移魔法を唱えた。
倒れるギルド職員は魔物に貪られる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
その頃
地上に出たロム、マリン、アレックスは蛇の滝を目指すのだが何やら地面が揺れていることに気づく。
「な、なんだ!?」
「ちょ!これ!揺れてる!?地震!?」
「いや!これは!!」
どかーん!!!
突如地面に亀裂が入り、そこから幾つもの魔物が現れ世界に飛んでいく。
(な!?魔物!?でも明らか数が多すぎる!!)
グギャ!
こちらに襲いかかる魔物達。
「私がやるわ!!!フレアバースト!!」
グギャア!!!
「よし!俺もやらせてもらうぜ!!落ちろ雷!サンダーボルト!!!」
グギャア!!!
ギギギ!
小さな魔物が迫ってくる。
「ここは僕が!スラッシュ!!」
ギギギー!!!
アレックスの技が直撃し魔物が倒れる。
「それにしても地面から魔物って、何なの!?」
「他の街や村は大丈夫だろうか」
「冒険者が各地に行ってくれているから大丈夫だと思うけど、僕達もバラけて倒す?」
「蘭波、いい考えだ!氷火もそれでいいよな?」
「ちょ!蛇の滝は!?」
「魔物が溢れて困っている奴らが居るんだ!俺はやるぜ今度こそは!」
!
「………分かったわ、あの時のような手遅れになる前にやるわよ」
「ふっ!じゃあ俺は北に!」
「それじゃあ私はこの辺周辺をやらせてもらうわ」
「じゃあ僕は西を!」
3人は別れて魔物が向かった所へ急いだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その頃
キシャー!!!!
(こいつ!)
「やはり生きていた……」
「速攻で終わらせるぞ!!!何やら嫌な予感がする!」
キシャー!!!!
「魔神来たぞ!!」
「プロテクション!!!」
ガキン!!
「今よ!!覇神、火蓮!!」
「ああ」
「ええ」
「ジャッチメント!!!」
「業火の針!!!」
グギャア!!!!
「とどめは俺が!!!断罪剣!!!消えろ!!!!」
暴剣は綺麗な一刀両断で真っ二つになる魔物。
「はあはあ!」
「よし!宝箱が出てきた!持ち帰り、出るぞ!」
「はい!」
7ブレイカー達は急いでダンジョンを出るのでした。
(生体反応があったような?私視力の調整ミスかしら?)
全員が出るとダンジョンの穴は塞がり消えた。
「!?おい!ヤバいぞ!」
覇神が空を指差す。
!
全員が空を見上げ唖然とする。
「クソ!まさか!扉が開かれたのか!」
全員が目の当たりにしたのだ、空には真っ黒な大陸が浮いている。
(天空の大陸………あんなものまで出てきたのか?いや、ありえん)
「あれって大陸よね?何であんなものが!?」
「分からんが!だが、何やらヤバい事だけは分かっている。
暴剣、天雨、火蓮、魔神、鈴風、亜留分かっているな?」
「ええ、散らばり魔物を討伐せよでしょ?」
「ああ、だが闇の使者が必ず来る。
気をつけろよ」
「ふん、誰に言ってるんだよ」
「そうよ、私がやられるもんですか」
「へっ、別に心配してるんじゃねぇよ。
ヘマはするなって事だよ」
「それじゃあ分かれて討伐するんだよね?僕は先に行くよ」
そう言い天雨は行ってしまった。
「天雨め、余裕かましてやられねぇだろうな」
「ちょいちょい俺らの若返りの魔法が切れるんじゃねぇか?」
「あ、そうだ!?」
「ふっふーん分かってるよ」
!?
突然の声に振り返ると天雨が居た。
「戻ってきたのか?」
「うん、そうだよ。
長い時間若返りさせるからちょっと待ってよ。
はあああ!!!」
シュン。
!?
「風の槍!!!」
バシュ!
「鈴風!どうした?!」
「鈴風、敵が来た。
鈴風が守った」
「くっふふ〜、よく見てましたね〜流石ですね〜」
現れたのは黒と紫のドレスを来た紫髪の女性だった。
「お前は………誰だ?」
「長い戦いになるかもしれませんし、自己紹介させてあげますね。
私は闇の使者の一人、パプル。
以後お見知り置きを、と言っても私が貴方達を始末しますけど」
「なめるなよ、俺達の力を」
「ふふっ、私も貴方達のような力のある者と戦えるのは嬉しいのです〜。
強者が堕ちる顔ほどご飯が進みますからね〜」
「出来た!若返り!」
!?
光に包まれた7ブレイカー達、若返りの魔法がかかり長い時間若返りに成功した。
「僕は他の所に行く!」
天雨は急いで向かった。
「行かせるとでも!」
パプルが魔法を天雨に向かって構えようとした時
「はああ!!」
「くっ!」
暴剣が剣で斬りかかる。
「お前の相手は俺だ……二つ名は暴剣」
「くっふふ〜暴剣ですか〜。
楽しめそうですねぇ〜」
「みんな!散らばって街や村を守るぞ!!」
覇神の声でみんなは散らばる様に空を飛んでいった。
「一人で勝てますか〜?」
「ああ、悪いが女に負けるほど軟じゃないんでな」
「くっふふ〜、女の私を楽しませてくださいね〜。
弱い男は嫌いなので」
(なんだこいつ!ふわふわしたような口調)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その頃
「よし、準備も出来たしそろそろ行きましょうか」
「うん!ヨウコ、メリア頑張って倒そう!」
「はい!」
「分かりましたミナミ様」
私達は最深部にあるダンジョンのボス、今回の場合は黒龍が居る部屋へとたどり着くのでした。
私達の前にある大きな扉。
その向こうに黒龍が居る。
「お二人共いいですか?中に入れば倒すまでもしくは………いいえ、これは野暮などで言いません。
必ず勝ちましょう」
「うん、私もやってやる」
「ミナミも張り切ってるね」
「ヨウコちゃんもでしょ?」
「バレちゃった?」
「クスクス」
私はヨウコを見てクスッと笑い少し深呼吸をする。
「魔法で扉を開けます、開錠」
………ギギギ。
音を立てて開く扉、漆黒のような闇が広がっている訳ではなく中は割と広く明るい。
コツコツ。
私達は中に入ると扉が勝手に閉まる。
(逃げさせないってわけ)
ドスン!
!
私達の目の前には
グオー!!!
(あ、あれが!)
(これが)
「黒龍」
黒いドラゴンが現れた。
………。
「やるしかない!!みんな!」
「はい!私の魔法をくらえ!!ライトバースト!!!」
グギ。
(き、効いてない!?)
!
「尻尾攻撃が来ます!!」
「よっと!」
「わっ!」
私とヨウコは何とか避ける。
「グオー!!!」
(ブレスか!)
「やらせない!!!ダークバースト!!!」
ドカーン!!!
グギ!
(怯んだ!?いや、まだだと思う)
グオー!!
(うわぁ~!)
ブレス攻撃を何とか避ける。
(はぁはぁ、疲れる……このままじゃ)
「ライトバースト!!」
「ダークバースト!!」
グギャア!!
!?
(攻撃が通じた!?二人で放ったから!?)
私はヨウコの方を見るとヨウコも私を見ていた。
どうやら考えている事は同じだようだ。
「行くよ!!!ヨウコ!!」
「うん!!ミナミ!!!」
「私達の力は無限!ダークインフェルノ!!!」
「私達の力は無限!ライトインフェルノ!!!」
ドカーン!!!!
グギャア!!!!
(ミナミ様とヨウコ様の2人の力!………ふふっ本当に凄い子ですよこの子達は……)
ドカーン!!!
黒龍は地面に倒れ、息を引き取る。
「はぁ、はぁ………うぐっ!た、倒したの?」
「お二人共、黒龍は倒せましたよ」
「やった!!!」
私とヨウコはハイタッチする。
(あ!)
「………ヨウコ、私の考え分かってた?」
「ふふっ勿論、友達………でしょ?」
「お二人共、黒龍の素材は私が回収しておきますのでダンジョンマスターである黒龍を倒した事で宝箱が出てきましたので開けてみてください」
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