第4話 思い出と集う7ブレイカー
ディアス・マール・・・ギルマスやハーベルの仲間の一人。
白髪の老人、二つ名は暴剣である。
◯◯◯◯◯◯◯・・・ギルマス達の仲間の一人。
二つ名は天雨、ピンク髪にショートヘア。女の子らしいフリフリのスカートを履く。
◯◯◯◯◯◯◯・・・ギルマス達の仲間の一人。
二つ名は火蓮。
魔神・・・ハーベル。
覇神・・・ブラヒム
ギルマス=ギルドマスター
「何なの」
「私はミナミを守れって言われてここまで来たの」
「守る?私を?………あの時、何したか分かってるの!!!
あんたなんかに守られたくない!!」
「ミナミ様?」
「ミナミ、あの時はごめん。
私もいじめられるって思って、抗えなくて」
「だから、私をいじめたの?見捨てたんだよね?私につば吐いた事………忘れてないんだから」
!
「ごめんなさい……そして許さなくていい、でも貴方を側で守らせて欲しい」
「何で、何で私を守るの?私はもう仲間が居るから守られる必要は無い。
あんたには用は無いよ」
「お願い!守らせて!!!」
「どうしてよ!!!」
「!妹が!」
!
私は知っている、ヨウコの妹は病弱で外にあまり出られず、最近弱ってきている事を。
「何?私には関係ないよね?私を守るのとあんたの妹、関係ある?」
「………あのね、私さあんたの家に行ったの。
そしたらあんたの両親が死んでいたの」
!
「………そう、アイツラクズだから別に悲しくないから」
「それであんたの闇の一部って言う者が現れて私に光の力を与えた。
それで守れってあんたを」
「守らなくていい、私は守られる程弱くないから」
「あのね、ミナミが死ねば私も死ぬ、そして妹も死ぬの。
そしてあんたに嫌われれば死ぬの」
「何?それがどうしたの?」
!
「どうし・て、私はもう嫌いなの?」
「嫌い?……そうね、私はあんたの事好きじゃ無い。
守ってくれるって思ってた、助けてくれるって思ってた。
友達って言ってくれた、楽しかったあの日も……でも私がいじめられるようになってあんたは変わった。
あまり私に声をかけてくれなかった、無視する様になった」
「それはアイツラが!」
「そして、私が助けを求めたのに手を差し伸べず見捨てた………だから、あんたは特に憎い。
他の奴も嫌いだけどあんたは特によ!!!」
「嫌、死ぬのは嫌なの。
あんたの気持ち、分かるから」
「分かる?私の気持ちが分かるわけ無いでしょ!!!」
「ミナミよ、そいつは憎いのか?」
「ギルドマスター、コイツはクズと同じ嫌な奴です。
法がなければ殺ってますよ」
!
「憎いか………あのな、わしもハーベルとの中は今のお前らと同じだった。
ワシはハーベルの事をよくいじめておった、そしてワシはハーベルに嫌われ、そしてワシのミスでハーベルの娘を死なせてしまったんだ」
!
(ハーベルさんがあの時、あの顔をしたのって)
「そしてワシは自分を憎み、愚かさを悔いた。
何故ワシはハーベルにあんな事をしたのか、なぜワシは愚かなのか、なぜワシはアヤツに手を差し伸ばさなかったのか。
ずっと悔やんで居たんだ………だがな、数十年前ハーベルと共に依頼をした時があった。
ハーベルはワシを信用していなかった、そりゃそうだ。
ワシの性だからな、だが共に行き、共に冒険している内にハーベルもこちらの悔いを飲んでくれた。
いつも、ワシがハーベルの娘の墓に行っている事を知り、そしてワシを許した。
………なぜ許すのかと聞いたら、あんたがそこまて悔やんで居ると私もなんかもどかしいって言ってね、もう許すよってな。
そしてワシは毎日の様に墓に行くんだ、花を携えてな」
「でも私は」
「憎いか?」
「憎いですよ!!コイツは私に手を差し伸べもせず!」
「だが、もしもそいつが死んだらどう思う?」
「死ぬ?死んだから何ですか?私には関係ありません。
私が死ぬ訳じゃないし」
パチン。
!
「お前は全てが憎いのか?こいつの、全ての記憶が憎いのか!!!」
!
「ギルドマスターには分かりませんよね!!私がどれだけ苦しめられたか!!
友をどれだけ信用してきたか!!!それを裏切られる気持ちは!!!」
「そうか、辛かったんだな」
!
ギルドマスターは私を抱きしめた。
「何……を?」
「こいつ顔を見ろ、もう憎い顔か?」
私はヨウコの顔を見る。
ヨウコは涙を流していて、悲しみの顔のような顔をしていた。
「ミナミ、私は憎まれてもいいよ。
それだけの事をしてきたから、でもお願い………貴方を守らせて欲しい。
妹の為もあるけど一番はミナミともう一度一緒に居たい……」
「ヨウコ」
「やられた気持ちは忘れてはならんが、ずっと憎んで居たら自分が壊れる。
だから、許す事も大事だ。
勿論、相手が反省していなければその時は剣で斬ればいい。
勿論、その覚悟があるのならな」
「………本当にごめんなさい……ミナミ」
「………ヨウコちゃん、私は貴方を信じれないの。
一度裏切られたら信じるのは難しい。
でも………ヨウコちゃんの妹もヨウコちゃんの気持ちも分かる。
分かった、一緒に居よう……」
「うわぁ~ん」
ヨウコちゃんは駆け寄り私を抱きしめた。
私も涙が溢れた……。
全ての記憶が憎いわけではない……一緒に帰ったあの道や楽しおお話……それは憎く無い。
幸せの記憶だから。
「ワシは戻るぞ、お主らの家はワシが用意しておく。
ハーベルの家に戻り支度を済ませて街まで戻ってくるのだ。
その頃にはわしも準備をしておくから」
そう言いギルドマスターはギルドを出て行った。
「ミナミ様、ヨウコ様、私は少し用事がありましたのでそちらの方に行ってきます。
直ぐに戻ってくるのでお二人でお話でもしててください」
メリアはそう言いギルドを出た。
「………ヨウコ」
「何?ミナミ」
「ごめん」
「いいよ、私が圧倒的に悪いから。
それでも私は貴方を見捨てたと言う罪を背負いながら守るよ。
私もこの力でミナミを守るから」
「………ヨウコは怒られないの?村を飛び出してさ。
親とか心配しているはずだよ?私の両親はクズだけど、ヨウコの両親は優しくていい人でしょ?」
「うん、でもいいの。
ポストに手紙をなぐり書きで入れておいた。
……まぁ帰ったら間違いなく怒られるけど、ミナミと妹の為だから」
「……ヨウコ、最初出会った頃覚えてる?」
「うん、あの時は近くの川で遊んでいた時だっけ?」
数年前
2人がまだ更に幼い頃
村近くの川
バシャバシャ
私は川で遊んでいると近くで私を見ている女の子が。
「どうちたの?」
「あの、えっと……あ、遊ぼ?」
「いいよ、わたちと一緒に遊ぼ」
「う、うん」
名前はヨウコと言う、私は小さい頃からヨウコと遊んで居た。
近くの草原。
ばふぅ。
私とヨウコは草原に寝転がる。
「ポカポカ気持ちいいね」
「うん」
数時間後
「…………おや?ふふっ二人ともすやすや寝てる。
可愛いわね」
「そうですね、家の子と貴方の子はとても仲が良いですね。
そうだ、後で街に行きません?いいお店知っているんです」
「本当ですか?それは楽しみです」
ふふっ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「楽しい思い出だね」
「ヨウコも冒険者になるけどいいの?」
「いいよ」
「………信用して………いいんだよね?」
「………今はしなくてもいい、でも少しでもいいから元の状態に戻ろう。
私も変わる努力をするから」
「うん………ヨウコ………私は……」
「いいよ、グレンの代わりに私が守るから」
「そう言えばグレンって村でどうしてるの?」
「グレン?そう言えば、数日前にグレンが兵士に連れて行かれたのを見たよ。
なんか偉そうな王様みたいな人も居たし」
「え?そうなの、もしかして何かあったのかな?」
「分かんない………だけど周りの大人はあたふたしていたのを覚えてるよ」
「何なんだろう………まぁグレンなら何とかしているし、私達はギルドマスターに言われた通りダンジョンを攻略しよう」
「うん」
そうして私達は少し談笑してメリアを待ってハーベルさんの家へと戻った。
そして支度を済ませ
「………ハーベルさん、ありがとうございました」
「ふふっ、お前さんの笑顔が見れてよかったわい。
それにあんたと共に居る仲間が出来てよかったのぅ」
「はい」
「何かあればまた戻っておいで、私はここに居るよ。
それとダンジョンは気をつけるんじゃぞ?
罠やら何やらあるし、魔物も外に居るものとは違う。
本格的にお前たちを襲う、だが案ずる事は無い。
今のお前達には力がある。
戦えるはずだ」
「はい分かりました」
「ミナミ、行きましょ?」
「さぁ行っておいで」
「あの、街に居た時に娘さんが居たって」
「ははーん、ギルマスから聞いたね?まぁ、アヤツの性でもあるが今は気にしておらん。
あやつは毎日来て花を変えてる、私ももう許している。
それにお主が数日居ただけでも昔の記憶が蘇るよ。
それじゃあ行っておいで」
………。
ばふぅ。
私はハーベルに抱きつく。
「こりゃ、まだまだ子供だね。
大丈夫さ、お主には今は仲間が居る、心配ない。
お主を苦しめる者があれば仲間がきっと守ってくれる。
だから心配ないぞ」
「うん……うん」
「さ、仲間が待っとる。
あ~そうじゃこれを」
ハーベルは黒いひし形の首飾りをかけてくれた。
「これは?」
「私からのお守りみたいなものじゃ。
もしもの時お主を守ってくれる……………かも知れない」
「ふふっ」
「さぁお行き、世界がお主を待っとる。
まだ知らぬ大地を踏みしめ、いい思い出を聞かせてくれ」
「はい………行ってきますハーベルさん」
「ああ、いってらっしゃい」
ギーバタン。
私は仲間と共に街へと戻る。
ハーベル家 外
「………ブラヒム………姿を消して見ているとは変態か?」
「いいや、そんな事は無い。
それよりもハーベル、お主に聞きたいことがある」
「なんじゃ?昔話でもするのか?」
「蛇の滝」
!
「どうしたんじゃ、そこは滝しか無いぞ」
「あそこで魔物が活発に発生しているらしい。
しかもグレートヘビーまでおると噂までされとる」
「グレートヘビーじゃと!?確か、昔お主と私とその仲間で倒したはずじゃが?」
「ああ、何かが蠢いてる可能性がある。悪さをする者は居るがそんな事をする者は未だおらん。
遠くの大陸の話では悪い組織が暴れていて戦いになったとか話をきいたこともある」
「うーん、まぁそれは後5人揃ってから考えようかの。
歳を取るとここに来るのに時間がかかるからのぅ」
「まぁそうだな、7(せぶん)ブレイカーが揃うのはいつぶりだろうか。
奴らも元気だといいが」
「ああ、元気だとも」
!
突然の声に振り向く二人。
そこには高齢のおじさんが居た。
「ディアス・マール。
暴剣と呼ばれた事もあるしそっちでいいか?」
「ああ、そっちでいい。
お前達こそ、魔神と覇神と呼んだ方がいいだろう?」
「ああ、好きにしてくれ。
昔の二つ名はあまりいい感じじゃ無かったし」
「ホッホッホ〜、相変わらずジジイ臭いのぅ〜」
!
コツ。
木の上から降りてきたのは小さな体の少女だった。
「天雨か、お前はあんまり変わらんのだな」
「まぁね、あんたらと同じ人間じゃないし。
それにしても厄介なものが復活したみたいだね、それで他のメンバーは?まだ着いてないとか?」
「お前も知ってるだろ?まだ来てない3人を」
「ふふっ、若い頃は言い合いになってたわね。
特に、火蓮とはな」
「今思えば、アイツは俺の事を結構きにかけてくれたんだなって思ってるんだって分かったような気がする」
「ふふっ、それは再会した時に言ってみれば?」
「天雨、それは言わないほうが良いと知ってるだろ。
戦いに支障が出たじゃろ?」
「はいはい、分かってます〜。
それよりもさ、風の噂なんだけど覇神がいい人を見つけたんだよね?
魔神がその者を助けてってそれほんと?」
「ああ、アイツの腕は本物だと思う。
箱が開いたと言う事はそう言う事なんだと思うのじゃ。
練習としてこれからダンジョンに行くことになっている」
「へぇ~、僕としてはそっちの子をみたいんだけどなぁ〜」
「天雨、今回の敵は想像以上かもしれん。
しかも我々は歳を取り、あの頃のようには動けん。
お前らが奴らに関わる必要は無い」
「そっか〜、まぁいいや。
それじゃあ魔神、ティーを出してくれる?飲み物欲しくて堪らないから」
「ふふっ、いいですよ」
魔神は家に入りティーを作るのだった。
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